一関市藤沢町藤沢地区南部、山中での踏査を終えて国道へと下って行くと、道下の沢沿い
に黄色い花が群れ咲いているのが見えます。花が大きいので、キショウブでしょうか。
細い農道を下って沢まで行くと、やはりキショウブで、傷みのないきれいな花がたくさん
咲いていて、ツボミもけっこうありますね。
平野部や沿岸部ではキショウブの花は終わっていますが、この沢沿いでは今が花の盛りで
すから、花期が10日ほども遅いようです。この地点の標高は150mほどですが、それよりも
冷たい沢水の影響が大きいものと推測されます。
二枚とも2020.6.4撮影
山間の沢沿いにも入り込んでいるキショウブですが、この植物はヨーロッパ原産の帰化植
物で、我国へは明治30年頃に観賞用に移入されたものです。それが庭園などに植栽され、
やがて野に逸出して、水辺を中心に各地で繁殖するようになりました。
キショウブは種子繁殖しますし、根茎を伸ばしても繁殖することから群生する傾向があり
ます。更に汚濁した富栄養な水域でも盛んに繁殖することから、ときに在来の競合種を負
かすこともあって、環境省により要注意外来生物に指定されています。
2020.6.4撮影
アヤメ科アヤメ属の多年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。草丈は50〜120cm。
現在ではほぼ全国に分布していて、湖沼や湿地、河川や用水路沿いなどに生えている。
地下の根茎は横走して分枝し、これを伸ばしてしばしば群生する。
1株に6~7葉がつく。葉は2列に根生し、剣状で先は細くなり鋭頭、長さ50〜120cm、
幅1.5〜3cm。中央の脈は隆起して明瞭。
花期は4〜6月。花茎は直立して、高さ50~120cm、数個の苞葉のもとで分枝する。
花は外花被片3個、内花被片3個と花弁状に3分枝した花柱からなり、外花被片は広卵形
で長さ5~7cm、幅3~4cm、先が垂れ、基部に褐色の条線がある。
内花被片はごく小型で細長く、長さ2~3cm、斜上または直立する。
3分枝した花柱は放射状に横に広がり、先は2裂して立ち上がり、縁には歯牙がある。
果実は断面が3稜状の長楕円体で、長さ4~7.5cm、幅1.5~2.5cm。
成熟すると3裂して種子を落とす。種子は水に浮いて拡散する。
種子は褐色で扁平、直径7~8mm、厚さは4mmほど。
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