里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

セリバオウレン 矢車状の果実

2018-07-04 | 日記
大和町吉田地区の、大畑山麓の雑木林内に農業用の水路が巡っていて、これに沿った
北向きの斜面にセリバオウレンが群生していました。
花が咲くのは3月末頃と早いですから、果実が熟す時季も早く、既に茶褐色に変わって
いる株もありました。果実の並びは、和柄の矢車に似ていますね。
家紋に「八ツ矢車」というのがあるので、下にそれを貼り付けます。


                                 2018.6.24撮影


〈八つ矢車 WEB家紋帳より〉

果実は袋果で、矢車状に並んだ果実の先が開いていて、風で草が揺れるとそこから種子がこぼ
れ出て、周辺に散布されます。各袋果の中には、ナツメ形で長さ2~3mmの種子が、4個ほど
入っています。

セリバオウレンを漢字表記すると芹葉黄連となります。
これは葉がセリの葉のように細かく裂れこんでいて、中国の薬草である黄連と同じように
薬草として用いられることから、名付けられたようです。
やや肥大した根茎が横に這っていて、これを掘り上げて乾燥させたものが生薬の黄連です。
消炎、健胃、鎮静などの効能があり、食欲不振、腹痛、下痢、意識障害、不眠、鼻血などに
用いられます。ただ、セリバオウレンの根茎は小さめですから、市場に流通している山採りの
黄連は、ほとんどがキクバオウレンの根茎のようです。




                             二枚とも2018.6.24撮影

キンポウゲ科オウレン属の常緑多年草で、本州~四国に分布する。山地の針葉樹林~落葉樹林
下の、やや湿った斜面に自生し、しばしば群生する。雌雄異株。
根茎は短く横に這い、多数の黄色いひげ根を出す。葉は長い葉柄があって、根元から叢生する。
2回3出複葉、小葉は広卵形で不整の鋸歯があり、葉表は深緑色で光沢がある。
花期は3〜4月、長さ10~20cmの花径を伸ばして、小型の白色花を5〜9個付ける。
花の直径は1cmほど。雄花は花弁状の萼片が5個、雄しべが多い。葯は白色。
雌花は淡い紫色を帯び、花弁状の萼片5個、へら状の花弁と雌しべはともに10個ほど。
花後の果実は袋果で、矢車状に並んだ果実の先が開いていて、種子を散布する。


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