しばらく前の地元紙に「南三陸町の山間部で藍染原料となるアイ(藍)を栽培」との記事が
載っていました。アイはタデ科の植物ですから、イヌタデなどと同じ頃に花が咲くと予想。
ただ、花が終わってからでは一年待たねばならないので、少し早めとは思いつつも8月下
旬のこの日、栽培地を訪れてみました。
隣の地区からの集落道を下って行くと、集落の真ん中あたりの畑で3~4人が立ち働いて
いるのが見えます。道路端に車を止めてから畑脇の作業スペースへ向かうと、4人が分業
して茎から葉を摘んだり、葉を並べて乾燥させたりしています。
お話を伺うと、畑に植えられているのはやはりアイで、見渡すと僅かながら花が咲き始め
ています。花を付けた株は全体の数パーセントしかないので、花の盛りは2~3週間後で
しょうか。葉も花もイヌタデによく似ていますが、葉の幅がやや広いようです。
二枚とも2021.8.24撮影
アイの原産地はベトナム南部で、我国へは飛鳥時代以前に中国から渡来したとされます。
藍は古くから京都や大阪の近郊で栽培されていましたが、江戸時代中期以降は阿波国(徳島
県)が最大の産地となりました。現在でも藍は栽培されていて、徳島県、北海道、青森県の
栽培量が多いそうです。
青色成分である「インジカン」は葉の部分だけに含まれていているので、葉を収穫し、乾燥
させます。これが葉藍で、含まれている「インジカン」は酸化により「インジゴ」となります。
その後、水をかけて発酵させたものが染料の「すくも」です。
これをアルカリ性の水溶液に溶かし、微生物の働きで「インジゴ」を「ロイコ体インジゴ」へ
と還元させ、瓶の中の水溶液に溶け出させます。溶けているロイコ体インジコは、繊維に
吸着させた後、空気中の酸素と結合(酸化)させることによりインジゴとなり、青色を発色
するのだそうです。
二枚とも2021.8.24撮影
タデ科イヌタデ属の一年草で、原産地はベトナム南部。草丈は50~90cm。
日当たりを好み、栄養分を欲しがるので畑には堆肥、石灰、鶏糞をすき込む。
茎は紅色で節が目立ち、よく枝分かれする。
葉は互生し、葉身は長楕円形~披針形で長さ5~10cm。先端は尖り、基部は楔形で短い柄
がある。葉を傷つけると青くなる。
藍染原料とする葉は7~9月に収穫する。
花期は9~10月で、枝先に穂状花序を出し、小さな白~紅色の花を多数付ける。
花びらに見えるのは萼で、5深裂する。おしべは6~8個。
果実は痩果、黒褐色で長さ2mmほど、中に1つだけ種子が入る。
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