ダイニング・ウィズ・ワイン そむりえ亭

料理にワインを
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 樋口誠

ピーター.レーマン

2011年11月04日 03時25分30秒 | ワインの事

今年の2月にオーストラリアを訪れたことは前にも書きました。

そのうちの一つは南オーストラリア州クレア.ヴァレーのグロセット。ここのワインは先日のジェフリー.グロセット氏のワインメーカーズディナーで登場しましたし、それ以来グラスでも開けています。

この旅では他に3軒のワイナリーを廻っています。

最初に訪れたのは同じ南オーストラリア州バロッサヴァレーのピーターレーマンです。

グロセットは言わばドメーヌ。得意のリースリングを中心に計7種しかワインを造りませんし、数量も限られています。

それに対してピーターレーマンは数多くのワインを造りますし、殆どが買い葡萄です。つまりネゴシャンなのです。

彼=老齢のピーターレーマン氏は貧しいこの地区の農家に呼びかけます。

「良いワインを造れば豊かになれる」と100軒近くの農家の葡萄を買い上げて様々なタイプのワインを造りだすのです。

価格のレンジも味わいの幅も多様です。つまり、貧しい農家でも何か得意の葡萄がある訳ですから、それを生かそうと言う訳です。

バロッサの救世主、とも呼ばれる彼のワイン。

「ドメーヌ」ではない「ネゴシャン」的な性格を持つと書くとワイン通と言われる方々からは敬遠されるかも知れません。しかし、これも以前書いたことですが、ドメーヌは自社の葡萄が良くなくても使わなければなりませんから、アレンジ、ブレンドの幅も狭い。対して、ネゴシャンは年の欠点をカバーすることが可能なのです。

それだけではなく、彼の素晴らしい所は稼いだお金を貯めこまず、教育につぎ込むことです。

次世代のワインメーカーや農家を啓蒙するのは本業としても、ソムリエの育成をオーストラリア国内に留まらず、世界に向けて行っています。例えば前々回の世界コンクールのチャンピオンのアンドレアス.ラーション氏に若手ソムリエの啓蒙を委ねています。今月は日本にもやってきます。

そむりえ亭では今月は2種類の彼のワインを開けています。次月もいくつか開けるつもりです。

オーストラリアの農家の集大成的な「これがオーストラリアのワインだ!!」と感じるワイン。どうぞ、お楽しみください。