ダイニング・ウィズ・ワイン そむりえ亭

料理にワインを
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 樋口誠

葡萄品種の罠

2019年03月17日 02時12分18秒 | ワインの事
ワインを知るには「産地名」か「品種」と古くから言われています。

例えば「北のワインは酸が多く、南のワインは酸が少ない」とか「南のほうが色づきがよい」などと言われます。

それは決して間違いではありません。

品種も同様に確かに特性はあるものです。


ですから「典型的な産地」の「典型的な主要品種」を知ることでワインショップなどでの買い物の基準になるのでしょう。


しかし、そこで危険なのは「この品種はこうであるべきだ」という思い込みです。

産地や醸造法が違うと「ワインの顔も変る」というのです。


ドイツのワインを昔に飲んでリースリングを憶えた人とオーストラリアのリースリングで憶えた人では香りの印象は全く違います。

南仏のローヌのワインの中間価格のワインでグルナッシュやシラー、ムールヴェドル(いわゆるGSMなどと言われる品種群)を憶えた人の中には「甘い樽の香り」は少なく、オーストラリアなどニューワールドで憶えた人にはあり・・・

品種によっては産地差が少ないものもありますが、概ね印象は違います。

更に言うとブレンドされたワインは「ある品種」の比率が多いからといって必ずしもその品種個性が強く現れるわけでもありません。

「畑はAという品種が多いが、Bという品種が秀逸な年」とか「Cという品種は自社畑でDという品種は買ってきた葡萄」など条件など千差万別なんですね。

ですから生産者に「セパージュ(品種)の比率を教えて」などと知ったかぶりで聞くのは、あまり意味があることではないとも言えます。


いえいえ、それでも同業の若い人は品種も産地も勉強しなければいけないことに変わりはないと思います。


で、結果として「お客様にはコレが良いですね」「その料理にはアレでお勧めです」と使えれば、ということに尽きます。


今月はフランス中心ですが、その差の面白いラインアップ。

お試しいただければと思います。


             樋口誠