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書籍「羊と鋼の森)/宮下 奈都 著」何をするかは、生き方そのもの

2016-03-30 01:09:28 | 読書の時間
書籍「羊と鋼の森)/宮下 奈都 著」★★★★★オススメ
宮下 奈都  著 ,
文藝春秋 (2015/9/11)
243ページ、1.620円

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「ゆるされている。世界と調和している。
それがどんなに素晴らしいことか。
言葉で伝えきれないなら、
音で表せるようになればいい。
ピアノの調律に魅せられた一人の青年。
彼が調律師として、人として
成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、
祝福に満ちた長編小説。」

(Bookデータ HPより)


「才能があるから生きていくんじゃない。
そんなもの、あったって、なくたって、
生きていくんだ。
あるのかないのかわからない、
そんなものにふりまわされるのはごめんだ。
もっと確かなものを、
この手で探り当てていくしかない。(本文より)」


とてもいい気分だ、
素晴らしい本と出合った。
この幸せな時間にホント感謝したい。



誰もが自分の「天職」について
考えることはある、

自分にピッタリで
自分を生かし、そのことで
社会に貢献出来るような
自分にとって定められたような仕事が。


今、関わっている仕事が
ホントに天職なのか
それは実は自分でも分からない。
それでもその時間を自分なりに
有効に生かしていると
確信出来る瞬間があるなら
それは近い存在なのかもしれない。


主人公は運命のような瞬間を体験し
その瞬間が彼の人生の道を
決めた事も実感している、

そして調律師という仕事に
真摯に向き合うが
自分が描く理想と
自分の力量の差に落ち込んだりもする。


そういう光景は
本人はキツイと思うが
読んでいるこちら側は
かつてそういう瞬間があったと
彼を応援したくなる

自分の仕事に満足出来る瞬間なんで
そうそう訪れてはくれない事も
分かっているからだ。


ピアノの調律という仕事は
比べれば裏方で
その仕事が多くの人に評価されることはない
それでもピアノを弾く人が
自分に合った調律がされている事を
分かってくれればそれでいい。


ただ、合っているとか合っていないとか
もっと軽やかにとか
もっと深い音を強調してとか
表現の仕方は色々あっても
感じ方は個々で違っていて
決められた「ただひとつの音」
なんてものは存在しないから
彼の仕事は到達点が見えない。


自分はピアノも弾かないから
本を読んでいてそういうことは
感覚としてしか
想像も出来ないが
その想像の世界を
すっきりとこちらに見せてくれる
この小説の語りや
展開は素晴らしいと感じた。



本を読むと、全く違う場所に
連れて行ってくれる、

それが安定した世界だと
こちらはどっぷり浸かって
想像の世界に足を踏み入れる事が出来る。


読み終えて、ため息をつく、
この素晴らしい世界から
また現実の世界へと
戻る瞬間だ。

とても面白かったので
この作家の本をいくつか読んでみようか。


★100点満点で100点


soramove
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