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読書と旅行と柴犬のブログ
目標は留学生に日商簿記3級合格を!
ヤプログから引っ越してきました。

「アメリカを売った男」誰かに認められたい、それは誰もが持つ密かな欲求

2008-04-30 18:49:51 | ミニシアター系映画
「アメリカを売った男」★★★☆オススメ
クリス・クーパー 、ライアン・フィリップ 主演
ビリー・レイ 監督、2007年、アメリカ、110分



FBI訓練捜査官の主人公は
定年間近の特別捜査官の監視の命令を受ける。

家族ぐるみで親しくなっていくが
不審な点は感じられず、そんな仕事自体に
疑問を持つようになるが、
対象者が実はスパイであると知らされ、
上官を騙すことに後ろめたさを感じながらも
任務を遂行していく。

実際にあった20年以上に渡る
スパイ容疑で捕まった男の最後の2ヶ月を描いた。

クリス・クーパーは地味ながら
脇役で常にいい味をだしている、よく見かける顔だ、
大好きな「遠い空のむこうに」では
主人公のお父さんを演じていた。

そんな彼が「役者だなー」と思わせる
存在感ある演技でこの映画を引き締まった
緊張感あるものにしている、
そしてもうひとりの主人公である
ライアン・フィリップも顔だけが良い役者から
どうしてどうして、脆い心の内側を好演。

奥さんがアカデミー主演女優賞獲ったから
頑張ってもらいたいが、
この映画では彼の心の動きが痛いほど分かった。

信頼という言葉は重い、
それは仕事だけじゃなく、人間的にある程度
好きにならないと相手の心にもう一歩深く
入り込もうと思えないのと同じで
うわべの付き合いでは得られないものだ。

対照的な二人は
隠すほうと見つける方に分かれながらも
ヒリヒリするくらいそのギリギリの心情が
伝わって面白かった。


地味で小粒な映画ながら
こういう映画に出会うと、わざわざ時間を合わせ
お金を払ってこの映画を見ることが出来たことが
嬉しくなる。

実際の事件だから見つかってしまうのだけど
見つかって欲しい様な、欲しくない様な
主人公と同じような気持ちで映画を見つめた。


何故、20年にも渡ってスパイを続けたのか、
その理由は想像するしかない。

★100点満点で75点★

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レンタルまで待ってもいいけれど、
劇場での濃密な空気、一対一という感じが
この映画には必要かもしれない。

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「NEXT」2分前の未来が見える

2008-04-29 20:26:21 | 大作映画ハリウッド系
「NEXT」★★★
ニコラス・ケイジ主演



自分の持つ超能力を
隠して生きる主人公、
ラスベガスでいんちき臭いマジックで暮らし、
ギャンブルも注目を浴びない程度に
小さく勝つようなせこい生き方をしている。

そんな彼の能力に気づいたFBl捜査官が、
アメリカに持ち込まれた
核爆弾を見つけてもらおうと
彼に接触するが、FBlの動きに気づいた
核を持ち込んだ組織も彼を殺してしまおうと
事件に巻き込まれてしまう。

あり得ないと思ってしまうとつまらないので、
ここは映画の虚構の世界を楽しみたい。

良く考えるなーと感じるうまい脚本と展開、
あまり宣伝もしてなくひっそりと
公開されたワリには十分楽しめた。

ただ、こういうアクションものは
ニコラス・ケイジには似合わないんじゃないかな、
それからあっさりと主人公と恋に落ちる
展開もムリがある、
全然魅力的に感じないのが致命的、
ブラッド・ピットじゃあるまいし、
見つめるだけで恋に落ちるのは
非現実的だ。

もっと若手のアクション向きの役者なんて
ハリウッドにはたくさんいるだろうに、
もうニコラス・ケイジの名前で客を呼べるほどの
力もどうなんだろう。

ワリと良い映画に巡り合ってるから
ヒットはしてるけど、どれを見てもニコラス・ケイジで
なくてもそこそこ行けそうに感じるのだ。

すぐ先の未来が見えたら
予測される失敗を回避する事ができる、
それは素晴らしいことだ、
でも一般人にはそんな
能力はないから、経験と自分の勘で
それを予測し回避するしかないのだ。


でも時々、ほんの時々だけど
信じられないようなことが起こったりするのは
小さな超能力を誰もが持ってるからかも。

★100点満点で70点

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劇場で見た方が勢いとかも楽しめるが、
レンタルまで待っても損失は少ないかな

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「パラノイドパーク」伝えたい何かを感じられない失敗作

2008-04-27 09:31:36 | ミニシアター系映画
「パラノイドパーク」★★☆
ゲイブ・ネヴァンス、テイラー・モンセン、ジェイク・ミラー出演
ガス・ヴァン・サント 監督、2007年、アメリカ、フランス 、85分



主人公は16歳の少年、
始めたばかりのスケボーに夢中だ、
ある日誘われてスリルを味わうために
貨物列車の飛び乗りに参加する。

その時、注意された
鉄道警備員を死なせてしまう。

チラシで得た情報で映画を見ていると
面白いことが起こる、
それは映画は少年の語りで進行していくので
少年は事件を「誰か」宛の手紙に書くが
おもいつくまま書いているので
時間が前後して、分かりにくく
それがこの映画に風変わりな味付けをしている。


昨年公開された「パリ、ジュテーム(2006年」
好きな映画だったな。
「ラストデイズ(2005年」はいまひとつだったけど
「エレファント(2003年」は、伝えたい「何か」を感じた、
この映画は「エレファント」に似た感じだが
決定的に違うのは、何も伝えようとしていないことか。


自分を含めてガス・ヴァン・サント の映画だからと
劇場へ来た客は
この映画の中に必死で「何か」を探すだろうけど、
あっけなく終わるラストで
その期待は裏切られたと、やっと分かるのだ。

ストーリーを追うというより
カメラが切り取る、様々なシーンのスケッチの
断片的な中から、監督の伝えたいであろう
「何か」を見つけるのにやっきになるが
ホント気の抜けるような事実を知る、
そうだここには「何も」無いのだ。


★100点満点で50点

soramove
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印象的なシーンに色々な意味を見出せないこともないけど、
これは失敗じゃないかな。
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「ヒットマン」痛快アクションにはもうひとつ激しさが足りない

2008-04-25 17:58:47 | 大作映画ハリウッド系
「ヒットマン」★★★
ティモシー・オリファント 、オルガ・キュリレンコ 主演
ザヴィエ・ジェンズ 監督、2007年、アメリカ、93分



コードネームはエージェント47、
彼は遺伝子操作によってエリート暗殺者となり
指令を確実にしかも優雅に全うする。

そんな彼が殺すことをためらったのは
ロシア女性暗殺の指令だった、
そこから逆に彼が組織に命を狙われることになる。

テンポよく次々と目的を阻むものを
蹴散らしていくさまは、やはりゲームのようだ、
そこに人間の感情が入ったとき
それがこの映画の致命傷となる。


「アドレナリン」という破天荒な映画があったが
あれほどの無軌道な爽快感はなく、
人間の感情を見せた時点でこの映画の
勢いがそがれてしまったのは何とも残念。

途中まではB級の傑作の予感もあっただけに
もっと無慈悲でマシーンのようであって欲しかった、
そして時々人間らしさを出せば
そこに泣けたかもしれないが
そのあたりのさじ加減を間違えたか。

こういう勢いのある映画が好きだ、
言い訳もなく、がむしゃらに突き進むその
勢いと少しの感傷
このバランスは難しい、この映画は途中までは
完璧にバランスを保っているが
惜しいことに後半で足を滑らせたように
「あらら」と勢いを失った。

それでもこのイキの良さは収穫だ、
大作でなくてもこのくらいの気持ちいい
意味のない破壊が見られるからだ、
多くの映画はそこに何らかの意味づけをし
失敗してしまう。

ほとんど無名の人ばかりの映画でも
これだけ楽しめたのは収穫だった。

映画的には好き、
でももうひとつ。

★100点満点で70点

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「ニキータ」や「アドレナリン」等々、傾向が似た映画は
多いが、かなり面白く見ることが出来た。

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「大いなる陰謀」未来を決めるのはこの一瞬一瞬

2008-04-23 19:24:45 | 大作映画ハリウッド系
「大いなる陰謀」★★★
トム・クルーズ、メリル・ストリープ主演
ロバート・レッドフォード監督、2007年、92分



膠着状態が続く中東情勢、
アメリカ軍の死亡者は増え続けている、
ひとりの政治家が新しい作戦を
ジャーナリストの独占取材中におおまかに
披露する。

それはマスコミを動かして
国民の同意を得たいがための戦略でもあった。

その頃、新しい作戦で二人の志願兵が
遠い異国で血を流し、無残に戦死していた。

映画は何の意志も示さず
「あなたは、どう考えるか」と突き付ける。


はっきり言って今のアメリカの進んでいる
状態は自国の国民はもちろん、
世界からも疑問視されている。

この映画はそのこと自体について
アメリカの国民は考えるだろう、
そしてその対岸にいる
自分はどう感じたか、
それはこの映画の示すものとは少し違う。

大学教授であるこの映画の主人公の一人は
自分の生徒を志願兵として見送ったことを
残念に思いつつ、
新しい生徒を前に、彼らがより良い選択を
してくれることを願っている。

いつか今の選択を後悔する時がくるだろう。

何をもってそんなことをノー天気な
学生に言ったのかその真意はいまひとつ
分からないが、
自分も人前に立って、時に自分の考えを話す時、
これが他の人になんらかの影響を与えることが
あるだろうかと、考えずにはいられない。

自分のことは自分で決めたい、
今までだってそうやって生きて来たと思っている。
でも何にも影響されず、自分独自のものということは
ありえない、
自分はずいぶんと変わった道を歩いてるかもなと
思ってもどこかの誰かの歩いた道を
たぶんなぞっているのだ。

それでも触れ合う人達から
影響を受けることは多い、
何か変わるというより、そういう選択肢もあるのだと
漠然と考えることが多い。

それが経験と言うことだろう、
でもその経験が生かされなかったら、
その間に費やした時間はどうなるのか。

多くの人がこうしている、
こんなふうに考えている、
そんなことを気にしている自分に気が付く、
でもそこでどう選択するかは
やはり自分なのだ。

この映画は唐突に終わる、
ちょっと中途半端な感じで驚くが、
誰も究極の正しい選択を示せない限り
この終わり方しかなかったのかもしれない。

「無関心でいることが最大の罪のひとつなのだ」と提示して。

★100点満点で70点

soramove
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ロバート・レッドフォードが皺々の顔で20歳そこそこの
学生と真摯に向かい合うシーンは良かったな。

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