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読書と旅行と柴犬のブログ
目標は留学生に日商簿記3級合格を!
ヤプログから引っ越してきました。

映画「汚れた心」届かなかった「無条件降伏」の事実

2012-08-31 07:54:05 | ミニシアター系映画
「汚れた心」★★★☆
伊原剛志、常盤貴子、菅田俊、余貴美子、
大島葉子、エドゥアルド・モスコヴィス、奥田瑛二出演

ヴィセンテ・アモリン監督、
107分、2012年7月21日公開
2012,ブラジル,アルバトロス・フィルム、インターフィルム
(原題/原作:DIRTY HEARTS )






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「戦争が終わってからも
ブラジルの日系移民の多くは
日本の勝利を信じて疑わなかった、
それでもラジオなど僅かな情報源から
日本の敗戦をそれとなく知るものは
その事実を受け入れて
新たな生活に踏みだそうとするが
哀しい事件が起こるのだった」



「勝ち組」と「負け組」
それぞれ日本の勝利を信じるものと
敗戦を受け入れたものたち、
遠く日本から離れて
心のよりどころを必要としていた
日系移民の多くは
「負け組」の粛正に乗り出し、
その命を受けた写真館の店主タカハシは
同胞を殺すという狂気を
自ら受け入れたのだ。



本当にこんなことがあったのだろうか?
今のような情報が瞬時に世界を
駆け巡ることを知っていると
こんなふうに情報から隔絶された状態は
分かるようでやはり理解出来かねる。


それでも無条件降伏を告げる
玉音放送のあと、
すぐには「敗戦」を受け入れがたいのも
それは理解できる
けれどなんとなく国民は
「負けるのかもしれない」と感じていたんじゃないかな。


誰かが言っていた
「知らないことも、また罪である」と、

戦前、戦中と国民の多くは
軍国主義に染まって
誰もが勝利こそ正義で
日本は絶対に勝つと信じていた、
その裏の事実を知らないで・・・、
だからそれも「罪」と言う事だろうが
自分はそれは酷な話だと感じる。


あれほど強い日本を信じさせられ
同時に言論統制があれば
新聞もラジオも同じ方向を示して
国民は盲目的に信じてしまっていたことは
想像に難くない、
後になれば、そんな中でも
自分の意見を持つべきだったと言えるが
本当にそんなこと可能だったのか?


この映画は戦争が終わっていと言うのに
起こってしまった事実を描いている

戦後3万人以上が逮捕され
そのうち800人以上が投獄されたが
10年経って恩赦となったという事実、
そんなことがあっただろうなと
思ってはいたが
こうして映像で見ると
これは同胞の事実として
かなり重い事実として心にのしかかる。



自分達はちゃんと学習しているのだろうか、
戦争は遠い記憶となった
平和ボケなんて言われるが
結構なこと
ボケボケで構わない
けれどそこに危うさを感じるのは
人間のとても脆い心が分かるからだ。


★100点満点で75点


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ヴィセンテ・アモリン監督作品
汚れた心(2011)
善き人(2008)
Oi ビシクレッタ(2003)

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映画「あなたへ」旅に出る訳は人それぞれ

2012-08-29 10:45:59 | 邦画
「あなたへ」★★★☆
高倉健、ビートたけし、田中裕子、佐藤浩市、
草なぎ剛、余貴美子、綾瀬はるか、
浅野忠信、三浦貴大、大滝秀治、
長塚京三、原田美枝子出演

降旗康男監督、
111分、2012年8月25日公開
2011,日本,東宝
(原題/原作:あなたへ )






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高倉健主演、通算205本目の作品


「健さんの姿をスクリーンで見ながら
何故かクリント・イーストウッド監督と重なった、
あとどのくらい・・・
不謹慎かもしれないが
ただスクリーン越しの関係に過ぎないのに
その人を気遣うような気分、
『単騎、千里を走る。』では舞台挨拶で
遠くから健さんの姿を劇場で見たが
これが205本目という
その姿を見に行く作品」



15年連れ添った妻が他界し
故郷の海に散骨して欲しいという
彼女の希望を叶えるため
高山から改造のにわかキャンピングカーで
長崎の海まで行くというロードムービー。


各地でビートたけし、草なぎ剛、佐藤浩市らと出会い、
目的の九州の小さな漁港の町では
余貴美子、綾瀬はるか、三浦貴大、大滝秀治らに
出会って妻の希望を叶えるのだが、
まさに高倉健主演映画
健さん以外誰も前に出てこない。



亡き妻が何故故郷の海に
遺骨を撒いて欲しいのか
その明確な理由は明かされない
健さんは「分かった気がする」というが
それがこちらには伝わらなかったな、
でもその理由は結局どうでも良い気もする

終の棲家
人生のしまい方

人生の向かう先に必ずあるもの、
避けては通れない
自分にとっての節目節目で
自ら考えて行動し
その行く末がどうであろうと
自分達はそれを受け入れなければならない。



妻が日常を離れて
外の世界を見せようと
健さんを連れ出したのかもしれない
一旦外へ出てみれば
また新たな出会いや
人の心にふれることもある。



優しさに満ちた作品で
おとぎ話のようでもある
目新しさはどこにもないが

健さんはイカを手洗いしたり
車の中で寝たりと
微笑ましい挑戦を見せてくれる
それだけでいいんだと感じる。


主人公は戻った場所で
あれから何をするんだろう、
それは自分達のこれからを
自分なりに考えることでもある。



次はいつ劇場で会えるんだろうか

★100点満点で75点


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書籍「鍵のない夢を見る」まったく怖くもないミステリー

2012-08-28 06:53:55 | インポート
書籍「鍵のない夢を見る」★★★
辻村深月著 ,
文藝春秋、2012/5/16
( 231ページ , 1,470 円)


<リンク:
>


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第147回直木賞受賞


「辻村深月という著者の名前は
書店や新聞の広告欄でもよく見かけたが
読んだのは初めて、
直木賞の効果ってのはこういうこと、
5つの短編ミステリーで
読みやすいけど
だからどうなんだっていう深みは無かった」



文章は読みやすく
何が書いてあるのかと
読み返すような部分も無いほど
こなれて丁寧だ、

だからなのか心に迫って来ない、
目の前をさーっと流れて行くだけで
内容がこちらに突き刺さるようなものは無い。


もちろん本の内容がその都度
こちらに突き刺さっていたら堪らないが
それでも「何か」少しくらいは
欲しい
文学の方向がこういう方向へ
向かっているとしたら
なんだか淋しい。



バカげててもいいから
どこかリアルがあって
なんか気になって仕方がないだとか
しばらくは忘れられないだとか
そのくらいの傷は残して欲しいのだ。



ラストの「君本家の誘拐」なんて
子育てをしていれば
そんな瞬間はあるのかもしれないが
でもなーって思う、
そんな瞬間を切り取るのじゃなく
もっと別の視点で捉えてくれないと
これじゃあ誰にでも分かるよ。
それでは本を読むこちらは物足りない。


今回の芥川賞、直木賞
どちらもその賞に値するかは疑問、
自分的にはまったく押せない作品だった、
でも次には期待したい
何か見たこと無い風景を見たいからだ。



★100点満点で70点


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映画「イテウォン殺人事件」結局被害者ばかりが浮かばれない

2012-08-27 10:06:45 | 韓国映画・アジア映画
「イテウォン殺人事件」★★★wowow鑑賞
チョン・ジニョン、チャン・グンソク、シン・スンファン出演

ホン・ギソン監督、
121分、2010年9月8日公開
2009,韓国
(原題/原作:이태원 살인사건/梨泰院殺人事件 )





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韓国での観客動員は50万人。

「1997年、梨泰院(イテウォン)のハンバーガーショップで
実際に起った殺人事件をベースに、
丁寧な資料調査や証言から
本当は何が起こったかを再度提起した映画、
この映画がきっかでイテウォン殺人事件は
12年ぶりに捜査が再開され話題になった。」



話題のチャン・グンソク主演映画を
wowowで録画して見た、
解明されない部分を残して
裁判が終わってしまい
結局誰が犯人だったのかは
密室で起こった事で解明されないという
被害者にとっては
とても納得できない結末。



人が人を裁くということの
限界も感じるし

この裁判が韓国系のアメリカ人という
治外法権的な要素も含んで
検察側の悔しい気持ちも伝わってくる。


誰かが殺人を犯した
それは事実だ、
けれど決定的な証拠を提示できないなら
結局は誰も罰することができないのだ、
正義だけを振りまわしても
そこにはそれだけでは収まらない
現代の良識があり
何が何でも罰するという
分かりやすい構図も簡単には当てはまらない。



なんとももどかしい展開だけれど
決定的な将校を提示できなければ
それは検察側の負けとなり
真の犯罪者が普通に街で暮らしていくという
現実を突き付ける。



とまあ映画の内容は堅いものだが
検事役のチョン・ジニョンは手堅い演技で
追い詰める高揚感や
手詰まりに追い込まれた表情など
安心して見ていられるが
チャン・グンソクはあからさまな表情を作り過ぎ
対するもうひとりの容疑者は
演出が何か方向性を押し出しているようで
このあたりは押しつけがましく
もっと冷静に見つめる視点が欲しかった。


韓国でも動員が50万人と
決して成功とはいえない興行成績
映画館で見るとその出来にガッカリするかも
レンタルで充分

★100点満点で60点


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チャン・グンソク出演作品
2002年 『宝島』
2006年 『ドレミファソラシド』、『着信アリ ファイナル』
2007年 『楽しい人生』、『待ちくたびれて』
2009年 『梨泰院殺人事件』

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映画「プンサンケ」何も語らない“犬”の叫び

2012-08-25 13:59:30 | 韓国映画・アジア映画
「プンサンケ」★★★★
ユン・ゲサン、キム・ギュリ、キム・ジョンス出演

チョン・ジェホン監督、
121分、2012年8月18日公開
2011,韓国,太秦
(原題/原作:PHUNGSAN DOG/豊山犬 )






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「予告編が良かった、
どんな内容か詳しくは分からないが
見たいと思わせてくれた、
やはり予告編は大切なのだ、
北と南を分ける38度線を飛び越える
運び屋が主人公の映画、
ラストは想像がついたが
そろそろ違う結末があっても良いんじゃないかな」



見終えてからネットで
監督のインタビュー記事を見ると
「僕たちは隣国の人間は“赤い顔した鬼”
という教育を実際に受けていました。」
そんなふうに書いてあって
最近の融和政策にあっては
そこまで明らかな「敵」のようには
教育はされてないだろうが
やはり子供時代の教育って言うものの
大切さを実感した。



最近話題の「竹島」もしかり。
日本ではほとんど知らない小さな島が
今では日韓の絆を揺るがせている、
自分達日本人はほとんどこの島のことを
学んでいないが
韓国では幼稚園から歌にして
馴染んでいる、当然彼らは領土を疑わない。


さて相変わらずの南北分断にまつわる映画、
韓国映画を分析すれば
南北問題とヤクザと恋愛ものが
ほぼ全体の9割くらいをしめていそうなくらい
何度も何度も映画化されているが
今回の映画はその危険な38度線を
犬のように軽やかに飛び越え
北と南を結ぶ男の物語。


彼は何故こんなことを始めたのか
彼は北の人間なのか南なのか
彼自身が話すシーンは皆無なので
全く分からないが
その話さないことで
お互いの国の対立や
無意味な敵対する心をあぶり出している。

ソウルへ行った際に見た
南北境界線の建物からの風景は
水量のわずかな川を挟んで
大音響の音楽が流れ
人の住んでいなさそうな建物が
ポツンポツンとあって
同じ民族なのに
家族で分断されてしまっていたり
バカバカしいなぁと感じたが
当事者にしてみればもっと切実だろう。

主人公が惚れた脱北者が
「私を北へ戻して」というセリフがあるが
豊かで自由な南が必ずしも
全面的に「善」としても描いてないのは新鮮、
このあたりには脚本のキム・ギドクの
心情が色濃く出ていたように思えた。


映画は説明も少なく
ラストに向けて一気に走り抜ける
揺れれ動く心を描くには
物足りないところもあったが
かなり気にいった作品だった。

★100点満点で85点


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ユン・ゲサン出演作品
2011年 『豊山犬』
2010年 『もう少しだけ近くに』
2009年 『執行者』
2004年 『バレエ教習所』

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