soramove

読書と旅行と柴犬のブログ
目標は留学生に日商簿記3級合格を!
ヤプログから引っ越してきました。

「こわれゆく世界の中で」タイトルは大袈裟だけど見るべきところアリ

2007-05-31 08:09:22 | ミニシアター系映画
「こわれゆく世界の中で」★★★☆
ジュード・ロウ、ジュリエット・ヴィノシュ主演
アンソニー・ミンゲラ 監督、2006年イギリス



仕事は順調、夫婦間もとくには問題なく
毎日を過ごしている。

新しいオフィスへ引っ越したその夜に
データの入ったノートパソコンを含めた
パソコンやモニターの盗難に遭った主人公。

そのパソコンを盗んだ少年を
あるきっかけで見つけ、自宅を確認し、
母親が仕立屋を営んでいることを知り、
母親にスーツの仕立直しを依頼、
そのうちに彼女にひかれて行く。

設定としてはありえないし、
母子が内線状態の国から
逃げてきたという背景も
必ずしも必要には思えなかった。

物語の中のジュリエット・ビノッシュも
何かを壊す覚悟を持つほど魅力的には思えない。

でもリアルなのは
満足した生活の中にふと忍び寄る
軽い疑問。

自分って幸せなのか、
そんなこと十分分かっているのに
ざわつく胸のうち、
もうそうなると善悪の区別が曖昧になっていく。

もともと十分すぎるほど持っていると、
何かが足らなく思えるものらしい、
今度はわざわざ入り込まなくてもいい
災いの穴へ自ら転がり込んで行く。

物語の中のラストは
再生の兆しを見せて終わるが
本当のところ、どうかな。
一度失った信頼は100%取り戻すことはできないだろう、
お互いに安心仕切った生活にはもう
戻れないのだ。

でもそんなふうに信頼って築いていくものなのかな。
ところどころ修復しつつ、
苦笑いを浮かべ、それでも大切な手だけは離さないのか。
ジュード・ロウは最近の「ホリディ」でも
独特の存在感を見せた。

この映画でも、だめはだめなりにそれでも
なんとかなりそうなギリギリの予感を信じられそうな
なんとも難しい役を飄々と演じていて、
役者だなーと思いつつ、
それでも結構楽しんでいる自分を見つけた。

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演技しているようには見えないジュード・ロウの
作品の選び方とかも結構気になる。

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「リーピング」怖いけど途中で醒める

2007-05-28 00:20:09 | 大作映画ハリウッド系
「リーピング」★★★
ヒラリー・スワンク、デヴィッド・モリッシー主演
スティーヴン・ホプキンス 監督、2007年アメリカ



宗教と不思議な現象を研究している主人公は
かつてアフリカで医療ボランティアをしていたとき、
蔓延する病気の生け贄で
夫と娘を失った経験から
信仰を捨てていた。

今時、生け贄なんてありえない話しだが、
まあそのへんはそういうこともあるかなと
疑問の「?」を飲み込む。

主人公をヒラリー・スワンク、
アカデミーを取った映画があまりに強烈なので、
そのへんにいる、一般人で出てくると
なんか違和感があるが、今回はワケアリの
活動的な女性で登場、
行かなければいいのに、怖い方へ
怖い方へと近寄っていく。

恐怖の時の効果音連発で
これでもか、これでもかと恐怖心をあおる、
この辺はキライではないの
一体どんな秘密が明かされるのか、
つまらない結論だと許さんよくらいの気分で
行くへを見守る。

地で染まる川、
突然の不審死
何か隠してるような街の人々。

お膳立ては揃って、
「さあ、そろそろいいよ」と思った時、
宗教がらみの結論を提示される。

日本人にはそこまでは
受け入れられないよ、
急に気持ちが醒めて行く
だいなしだ。

シャマラン監督の「シックスセンス」以外の
映画のオチのような、
割り切れないものが心に残る。

劇場でこの結末を見せられると
キビシイかな、レンタルくらいの気安さだと
前半の怖さは及第点。

やはりこういうのは
「そうなんだ!」という
目から鱗の結末じゃないと
なかなか納得出来ない。

オカルトホラー系ではよくある着地点、
期待しなければわりと面白いと感じるのかも。

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ヒラリー・スワンクは最高の勲章を二つ抱えて
それがなかなかキャリアを邪魔しているように感じる、ガンバレ!

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「バッシング」やはり同情も何も感じない

2007-05-24 23:02:51 | 邦画
「バッシング」★★★wowow鑑賞
占部房子 、 田中隆三出演
小林政広 監督、2004年


衝撃的な事件だった、
人質となった日本人が解放された時は
日本中が安堵した。

そして彼らが何故、危険な場所にいたのか
明らかになると、
あまりに稚拙な行動だと
批判的な論調が世間の一般的な声となった。

「自己責任」という言葉と
「バッシング」という言葉が
一般的に使われるようになった。

医療ボランティアで
戦争状態に近い国で活動し、
テロ組織に捕らえられた女性がこの映画の主人公だ。

助けたいという気持ちと、
誰か助けて欲しいという気持ちがあるなら
身近でなくても、駆けつけて助けることは
大切なことだ。

実際に多くの人達が今、この時間も
言葉の違う人達の補助になればと
活躍している。

美しい行為に違いない、
けれど思う、
誰かを助けたいのなら、自分の身の安全くらいは
最低限保証された場所で行うべきで、
自分の見も守れないに
誰かを助けたいというのは
ちょっと違うだろ、と感じる。

バッシングを受けたことで崩壊していく
家族や身近ん人達との関係、
そしてまたあの場所に行くことに
ギリギリの望みを託す主人公。

この映画は上映禁止騒動など、
結構話題になり評価も高かったように思うが、
やはり主人公の身勝手さだけが印象に残った。
描く価値もないとさえ感じた。

映画を見てこんなに腹立たしく感じたのは
やはり主人公を擁護する気持ちには少しもなれないという
自分を感じたからだろう。

世の中の生きている人達が
みんな幸せになれば良い、
もちろん誰だってそう思う。

けれどその気持ちと、
自分に出来ることとの間にはズレがあり、
その見極めくらいは出来るようになりたいものだ。

解放からそれほど経っていない時期に
同じように捕らえられ、
ビデオで助けを求めながら死んでしまった青年がいたが、
そういう事実を重く受け止めるべきなのだ。

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あれほど世間の注目を集めた事件も、もう話すことも無い。
そんなものなのだ。そんなものなのだ。

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「ハンニバル・ライジング」美しい顔に飛び散る鮮血!

2007-05-22 20:12:58 | ミニシアター系映画
「ハンニバル・ライジング」★★★☆

ギャスパー・ウリエル 、コン・リー 主演
ピーター・ウェーバー 監督、2007年、フランス




芸術を愛し、美食家、
驚くべき知能の高さと
反面に見せるグロテスクさ。

人間誰もがもつ才能や知的な好奇心も
博士にあっては何もかもが
一般の人間の域をはるかに越えてしまっている。

シリーズ最新作はハンニバルの
少年時代から医学部で学ぶまでの
成長の過程で経験した恐ろしい事柄と、
彼が自ら手を染めたいくつくかの復讐。

美しい顔の青年の青白い顔に
ほとばしる鮮血。
彼はそれを指でそっと拭うと舌で味わいさえする。
言葉で表現しようとするより
映像で見せる方が納得出来るものがある。

日本人として登場するムラサキを
コン・リーが妖艶に演じている、
日本人ぽくないけれど、
雰囲気は合格。

「羊たちの沈黙」からの
ハンニバルのそれぞれの時代を見てきたが、
結末は分かっていてもやはり
ジョディ・フォスター演じるクラリスと
ハンニバルのやり取りが面白かった。

それでも、全能の神のごとく
ハンニバル・レクターの神秘性は
シリーズを通して守られた。
そして今回の映画では彼の心の底に
触れることができた、
あの衝撃の顔の表情、見ているこちらも苦しい。
消せない過去を心の底にしまいこんで
血みどろのシンフォニーを奏でるのだ。

今、原作も読んでいるところ、
どんなに新作で幼いハンニバルに親しもうと
読んでいるときに浮かぶのは
アンソニー・ホプキンスの無表情な顔だ。

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もう、こうなったら色んなレクター博士の歴史を
次々作ってもらいたい、そしていつかクラリスと一緒に。

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「眉山」情緒という言葉を思い出した

2007-05-19 19:55:15 | 邦画
「眉山」★★★☆オススメ
松島菜々子、宮本信子主演
犬童一心 監督



どんな話しなのか予備知識ゼロで劇場へ。

東京でひとり働く主人公に
母親が入院したと知らせが届く、
故郷、徳島へ戻ると医者から余命3カ月と告げられる。

ストーリーは予測がつく、
しかしまだ行ったことの無い徳島の街と
どこからも見える眉山の姿、
そしてゆっくりと流れる時間、
心地良い映画との時間を楽しむ。

母親役の宮本信子が気丈だけど
優しいところをたっぷりもった人柄を好演、
思い描く母親像がそこにある。

優しく、大きくいろんなものを全て包み込んでくれるような、
多分誰もがどこかに自分の大切な人の
好きなところを見つけるだろう。

徳島の阿波踊りは、この映画のひとつの
ハイライトでそのパワーは画面からも伝わる、
踊っている人の表情がいい、
見ている人達の笑顔もいい。

観光案内っぽい部分もあって、
まだ行ったことの無い四国へ行って見たくなった。

登場人物の普通に生きている人の
かけがえのない日々が丁寧に描かれていて
良い出来の映画だった。

前日に見た「初雪の恋」も街の様子を映画に取り込んでいたが、
同じ映画という土俵でもこんなに違うのだ。

監督の力なのか、
アイデアの時点で勝負は付いていたのか分からないが、
何故か別の映画を見てさらに残念な気になったのは
この「眉山」が地方の町の生き生きとした様子を
しっかりとスクリーンに焼き付けていたからだ。

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しっかし、居酒屋でも踊りだす徳島の人々は
なんかスゴスギだった、本当かどうかは知らん。

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