「春の雪」★★★☆
妻夫木聡、竹内結子 主演
仰向けに小船に寝そべる
主人公の恍惚にも似た
表情が画面を横切る
そして幼なじみの聡子が
あでやかな着物で登場、
彼女の顔を今度は下から
ゆっくりとカメラは横切っていく。
どのシーンもひとつの絵のように完結している。
同じ景色の輝く光に包まれた夏の日、
やがて同じ窓から、雪の降る光景が見える。
小説に書いてしまえば
一瞬のことも
視覚で表現するのは
難しいことと実感する。
主人公、清顕は
己の美意識から
自分の心のうちをうまく伝えられず
それが悲劇的な結末を導いてしまう。
こんなに有名な作家の作品を映像化するのは
困難な作業と思うが
作品世界は見事に映されていたと感じた。
しかしそれぞれのシーンを、あまりに
文章から想像した視覚的な展開にこだわるあまり
大事な「人の心」の描写が希薄になったのが
残念だ。
一枚の絵に収まった主人公たちは
動き、言葉を発していても
それが、見ているこちらには届かない、
それは完璧な一枚の絵にしか見えないから。
ただ、小説世界も
本心をありのままに伝えるのが不作法な時代に、
美意識にがんじがらめにされた
主人公の心の内はやはり、
何かに囚われていたのだとすると、
この映画は小説世界を
描ききったといえるかもしれないが
映画的な伝える何かを、
その一番大切な「何か」を
唯一描けていないのかもしれない。
美しい映画、主役も輝くほど美しい。
でも足らない、そこには伝える何かが決定的に欠落している。
残念。
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「残念」とまで書いているが、評価は★3つ半なので上々。
期待しすぎなので、見ても損ナシ。
絶賛した「蝉しぐれ」が出来が良すぎたので、肩透かしを
食ってしまったが、よく出来た作品だった。
ただ「蝉しぐれ」が、同じように美しい景色を描きながらも
ちゃんと絵の中から主人公の「心の声」が聞こえていたところが
決定的に違っている。
でもこの調子で、このレベルの作品を作り続けてほしい。
そのうちに唸るほどいい作品にめぐり合えそうだ。
妻夫木聡、竹内結子 主演
仰向けに小船に寝そべる
主人公の恍惚にも似た
表情が画面を横切る
そして幼なじみの聡子が
あでやかな着物で登場、
彼女の顔を今度は下から
ゆっくりとカメラは横切っていく。
どのシーンもひとつの絵のように完結している。
同じ景色の輝く光に包まれた夏の日、
やがて同じ窓から、雪の降る光景が見える。
小説に書いてしまえば
一瞬のことも
視覚で表現するのは
難しいことと実感する。
主人公、清顕は
己の美意識から
自分の心のうちをうまく伝えられず
それが悲劇的な結末を導いてしまう。
こんなに有名な作家の作品を映像化するのは
困難な作業と思うが
作品世界は見事に映されていたと感じた。
しかしそれぞれのシーンを、あまりに
文章から想像した視覚的な展開にこだわるあまり
大事な「人の心」の描写が希薄になったのが
残念だ。
一枚の絵に収まった主人公たちは
動き、言葉を発していても
それが、見ているこちらには届かない、
それは完璧な一枚の絵にしか見えないから。
ただ、小説世界も
本心をありのままに伝えるのが不作法な時代に、
美意識にがんじがらめにされた
主人公の心の内はやはり、
何かに囚われていたのだとすると、
この映画は小説世界を
描ききったといえるかもしれないが
映画的な伝える何かを、
その一番大切な「何か」を
唯一描けていないのかもしれない。
美しい映画、主役も輝くほど美しい。
でも足らない、そこには伝える何かが決定的に欠落している。
残念。
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「残念」とまで書いているが、評価は★3つ半なので上々。
期待しすぎなので、見ても損ナシ。
絶賛した「蝉しぐれ」が出来が良すぎたので、肩透かしを
食ってしまったが、よく出来た作品だった。
ただ「蝉しぐれ」が、同じように美しい景色を描きながらも
ちゃんと絵の中から主人公の「心の声」が聞こえていたところが
決定的に違っている。
でもこの調子で、このレベルの作品を作り続けてほしい。
そのうちに唸るほどいい作品にめぐり合えそうだ。