soramove

読書と旅行と柴犬のブログ
目標は留学生に日商簿記3級合格を!
ヤプログから引っ越してきました。

「L change the WorLd」松山ケンイチの世界を見る

2008-02-22 00:46:28 | 邦画
「L change the WorLd」★★★
松山ケンイチ主演
中田秀夫監督、2008年



大ヒット作、「デス・ノート」から生まれた
もう一つの物語、
こんな安い企画やってるようじゃーなーと、
思いつつも劇場へ。

しかし、
面白かった、これが。

もちろん、「デス・ノート」ファンが期待して
行ったら、安い出来に怒るかもしれないが
無理やり1本作ったにしては、こんなものだろう。


まずは主人公の「L/エル」の断片的な部分を
前2作で知っているから、
新たな彼の行動が面白い。

子供の扱いに不慣れで戸惑う様子や、
ムリして走ったり、背中を真っすぐにして
歩こうとしたり。

しかもその少し前向きな人間的な
部分を見せられた後で思う、
「ああ、エルはもうすぐ死んでしまうのに」
完全に話に乗せられているけれど、
そのウソ臭さも含めて
これこそ作り物の醍醐味、
充分にもしもの世界を楽しんだ。

冷静に考えたらバカバカしいけど、
大真面目にウイルスの恐怖や
大切な人を失った喪失感なんかを見せられると、
役者のなりきりぶりも後押しして
仮想現実を遊ぶことができるのだ。

出来は凄くススメるようなものじゃなく、
悪くない程度、
レンタルまで待っても大丈夫だけど、
この旬の今だからこそ劇場で見なければ。

★100点満点で70点

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タイが撮影場所となった部分は
それでもかなり大掛かりなセットで、結構マジだったのか。

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「サラエボの花」サラエボの美しい空をいつか見たい

2008-02-20 08:16:22 | ミニシアター系映画
「サラエボの花」★★★
ミリャナ・カラノヴィッチ 、 ルナ・ミヨヴィッチ主演
ヤスミラ・ジュバニッチ 監督。2006年、
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、95分



90年代前半、ユーゴスラヴィアの
解体の中で起きた悲惨な内戦、
同じ国の者同士が殺しあった現実。

映画自体にはかつての戦争自体の話しは
ほとんど出てこないが
子供の遊ぶ隠れ場所が「立ち入り禁止」の
砲撃を受けて無人となった建物だったりする。

父親を戦争で亡くし、
子供の修学旅行の代金の金策に走る母親、
なんとなく自分の居場所を見つけられない娘。

映画館の劇場入り口にユニセフの募金箱が
そこには内戦時の兵士による民間女性への暴行や、
そのことにより生まれた子供がいるという事実の報告と
募金についての呼びかけがある。

そうだ、この映画に出てくる
親に反抗し始めた12歳の何処にでもいるような
普通のかわいい女の子も
戦争の悲劇で生まれた子供なのだ。

この映画ではそんな惨たらしいシーンは登場しない、
あちこちに戦争の傷跡を見せる街中、
人々の心
けれど明日へ向かって懸命に生きようとする
希望のほうが目立つ。

だからこそ、戦争がもたらした
消せない事実が恐ろしく心に湧き上がる。


でも自分はこの映画を見て
人々の希望や肉親への愛情ばかりが
心に響いた、そして忘れてはならないことはあるとしても
そこに何か明るいものを見出したいと思う。

人は変われる
そして希望はある


悪い部分をことさら声高に叫ぶよりも
ぐっと染み込むものがある、
映画の力を感じる、そして
いつかそんなサラエボの空も見たいと思った。

★100点満点で70点くらい★

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映画の出来と映画が語る事柄の意義はまた別物。

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上位2作強し!エリザベスが3位発進!国内映画興行成績(2/17付)

2008-02-19 08:01:20 | 映画のランキング
最新国内映画興行成績(2/17付)

先週  先週   
 1   1  L change the WorLd

劇場はどこも混んでいるようですが、
今週末は監督と松山ケンイチが全国を
縦断して宣伝を行うようで、
かなりの上乗せが期待できそう、
まだ見てないので今週にでも行きたい。

 2   2  チーム・バチスタの栄光

こちら、宣伝がいまひとつじゃないかと感じるけれど
まあまあ健闘してますね。
見に行ってガッカリするような出来ではないので
まだまだいけそう。

 3  初   エリザベス:ゴールデン・エイジ



前作から9年ぶりという作品が3位発進。
アカデミー主演女優賞に再びノミネートと
予告の見事ななりきり振りで、
見る前から内容はある程度保証済み、
これもそのうち行きたい。

 4   3  母べえ

10億を超えて、いちおう目標はクリアしたんじゃないかな。
小百合さん映画は成績はいまひとつというのが
多いけど、この作品はなんとか。

 5   4  陰日向に咲く

ゆっくり後退、感想は概ね好評ですが、
あのありえない設定にみんなは違和感を持たないのかな。
ひとりひとりの役者は納得の演技なので
もう少しなんとかして欲しかった。

 6   初 マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋

早く行かないと上映が少なくなりそう。

 7   5  アース

 8   6  アメリカン・ギャングスター

2人のアカデミー俳優が激突、
出来も悪くないのに淋しい興行成績、
このままだと10億はムリそう。

 9   7  スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師

この内容で17億あたりの成績は立派、
だた今回映画を見た人が、次のジョニー・デップの新作に
行くのを躊躇しそう、大丈夫か。

10   9  リアル鬼ごっこ


以上、新作は「エリザベス:ゴールデン・エイジ 」が3位に
食い込んだが、上位2作が強いようだ。
10作中4作見てるが、今週は何本見れるかな。

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上位10位に入らなくても、単館で良作の映画が多く、
そういう映画こそ、紹介して多くの人に見てもらいたい。

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「乳と卵」卵を自分にぶつけるには勇気が要る

2008-02-17 10:29:12 | 読書の時間
「乳と卵」★★★☆138回・芥川賞受賞作品
川上見映子著



芥川賞受賞を知って、2月末に本になるというので、
待ち切れずに文藝春秋を買って読んだ。

またしても会話というか、思ったままを
そのまま文章にしている様な
整然とした文章とは違う書き方、
この書き方が文章から
勢いを立ち上らせているのだ。

一気に読んで思ったのは、
あふれ出るストーリーを
ただがむしゃらに書なぐったのではなく、
しっかりと抑制していること。

どこかで破綻しそうで、
ちゃんとラストで決着をつけている。
こういうのって才能っていうのだろう。


ただし、読んでいる間中に
そして、読み終えて思う、
この人の書いたテーマは好きになれないと。

ここに書かれているいくつかの要素の
どれ一つとして好きになれなかった。


言葉を封印し、筆談する少女、
豊胸手術に取り付かれたような母親、
その2人を迎える東京に住む叔母。

どの人物の心の動きも
自分には少しも訴えるものが無かった、
そんなことどうでもいいよと
感じてしまうのだ。

これは不幸なことだ。

登場人物の誰かのどこかしらに
自分に似た部分や、
よく分かる部分を見つけるとその作品が
ぐっと近づいてくるが、どこにも見つけられず、
では想像の中で新しい発見があったかというと
それも感じることは出来なかった。

新しい才能はここに確かにある、
次の作品にオレの心を突き刺すような
「何か」や「誰か」が現れてくれるのを待ちたい。

★100点満点で評価すると65点くらい★

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作品の出来とその作品が好きかどうかは
別物と改めて痛感した。

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「ラスト、コーション」情熱をもって生きるとは、陳腐なことなのだ。

2008-02-16 11:09:55 | ミニシアター系映画
「ラスト、コーション」★★★★
トニー・レオン、タン・ウェィ主演
アン・リー監督、アメリカ 中国 、2007年、158分



日本軍占領下の1942年の上海、
大学生だった主人公は、演劇仲間と抗日運動に
加わり、ある男の暗殺計画に強力する。

トニー・レオンに冷酷な役はどうかなと思っていたが、
スクリーンで寡黙な男は
強い意志を持った謎の男だった、演じるとは
こういうことなんだなと納得。

そしてその男を暗殺しようと
自分の体も捧げる抗日のスパイは
新人のタン・ウェィは
堂々とした存在感を見せて強烈な印象を残した。

憎むべき相手に近づいたが故に
愛してしまう主人公

好きだとか愛してるだとかの意思表示は特にされないが、
丁寧に微妙な表情や動作を捉えることで
その感情の揺れを的確にこちら側に
伝えている。

自分ではコントロールできない感情は
誰にでもあるもの、

その断片を疑似体験しながらも
安泰の今の世の中の漠然とした幸せを
ふと感じる。

言葉で簡単に心情を告げてしまうような
薄っぺらな作品が多い中で
何も言わないことで、これほど饒舌な映画は珍しい、
そしてそのことが映画館へ足を運んだことを
嬉しく感じさせてくれるのだ。

日本がかつて中国をも支配しようとしていた時代、
自分たちはその近代史をいつもは
忘れている、でも隣の国と付き合う時
そういった事実も踏まえて挨拶をしあわないといけないのだろう。
もちろん口に出すことはない、
それでも心の中でしっかり認識して
未来を語りたい。

自分の情熱を何に賭けるのか、
その様は傍から見たら陳腐かもしれない
でも光り輝いて見えた。


★100点満点で80点

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ともすると古臭いメロドラマになりそうだけど、
時代考証がしっかりとされた作りこまれた映像は陳腐じゃない

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