戦闘機の離陸には通常2000m級の滑走路が必要である。STOLに優れたスウェーデンの戦闘機でさえ500mの滑走距離が必要である。勿論VTOL機は不要である。
然るに300m前後の空母でなぜ戦闘機の発艦が可能なのか?
それはカタパルト(発射機)やスキージャンプ台で可能となる。スキージャンプ台方式では軽量の航空機しか発艦できず、30tを超える重量の航空機の発艦はカタパルト方式でのみ実用化されている。爆装し燃料タンクを搭載した戦闘機は直に30tを越える重量となる。
現在空母のカタパルトは英国が開発し米国が実用化したスチーム・カタパルトが空母に採用されている。この方式は反復使用が容易であり、信頼性が非常に高い。
米国でのみ現在製作されている戦略製品である。優秀なカタパルトの実用化に大日本帝国海軍は成功できず、商戦改造空母の大半が低速で25ktを出せず、艦上爆撃機や艦上攻撃機を発艦できなかった。一方米海軍はこのスチーム・カタパルトの成功のお陰で低速の改造空母からも戦闘機は勿論重量が有る艦上爆撃機や艦上攻撃機を発艦できた。現在もこのスチーム・カタパルトは製造と運用と両面で米海軍のみがその技術を有する。現在では30tを超える戦闘・爆撃機(現在の戦闘機は爆撃や攻撃も同一機体となっている)の発艦が可能となった。
このスチーム・カタパルトに代わり電磁カタパルト採用の空母が米海軍に近々登場する。原子力空母の膨大な電力があり可能となった技術である。
しかし、この電磁カタパルトの技術とリニア・モーターカーの技術は極似てしている。小泉総理の時代日本が中国へのリニア・モーターカーの輸出を拒否したのはこのためである。当時の官房副長官が安倍現総理である。故に中国はドイツからこのリニア・モーターカーを輸入した。しかしこのドイツ製のリニア技術はともかくデカイ。とても空母に搭載できる大きさではない。
そのため、現在の中国の空母「遼寧」は使い物にならない。毎時18ktでスキー・ジャンプ方式では、自重20tを超える搭載機Su30の運用はムリである。ほぼ空のSu30を発艦できるが、爆装も燃料も搭載できないそれに意味があるのか。
これが民主党政権であったらと今さがながら肝を冷やす。中国が先日発表した原子力空母計画、電磁カタパルト採用であった。
日本の民生の技術は直に軍事にも応用可能であるという事実、肝に命じる必要がある。
*写真の中央に走る直線がカタパルトである