とっても遅くなりましたがダマー映画祭inヒロシマ2012のレポートです。
我らが作品「罪と罰と自由」がダマー映画祭inヒロシマ2012に入選し、11/16から11/18の3日間にかけて上映されました。残念ながら入賞はできませんでしたが、とても楽しく実り多い映画祭でした。
この映画祭には初めての参加でしたが、相当いいです。規模大きく、質高く、待遇よいです。
この映画祭に入選したら、多少の出費をしてでも行くべきです。キャストやスタッフの方も連れて行けばきっとすごい刺激になるでしょう
ダマー映画祭の魅力の一つが入選監督に対する高待遇にあると思います。
1)宿泊費監督一人に限り3泊分出していただける
2)映画祭の入退場はもちろん自由で、招待作品もフリーパスで鑑賞できる
3)私は映画祭初日に行くことはできなかったが、他の入選監督さんのfacebookの日記などを見ると、開会式に続けて会場まで敷かれたレッドカーペットの上を一人一人歩いて、なんかスター気分を味わえたらしい!!
4)映画祭最終日の後の打ち上げも1名まで無料
5)韓国、台湾の作品も入選しており、監督さんも来ていたのですが、ちゃんと韓国語、中国語の同時通訳の方をつけており、表彰式では日本語のアナウンスに続けて英語のアナウンス。本物の国際映画祭を体感できます。
6)一番すごいのは、映画祭が始まる前のことなんだけど、英語字幕を付けるから脚本を送ってほしい、と言ってきたのです。国際映画祭の場合「英語字幕をつけて応募すること」という条件にするのが普通なのですが、この映画祭は追加料金なしで、字幕を付けてくれた上にネイティブチェックまで入れているというのです。しかも英語字幕付き版はそのままどこかよその映画祭に出品しても構わないとまで仰る。
最後の打ち上げでは、各監督さんやキャストの方々とたっぷり話せて、審査委員長の廣木隆一監督や、招待上映された「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督、特別上映された廣木監督の新作「RIVER」主演の蓮佛美沙子ちゃんら著名人ともお話できました。
廣木監督と
吉田監督と
蓮佛ちゃんを囲んでダマー映画祭入選監督のみんなで
なんといっても、ダマー映画祭inヒロシマの代表を務める部谷京子さんがいいです。美術監督として「Shall we ダンス?」や「それでもボクはやってない」「天地明察」などなど映画界の第一線で活躍され、2012年の東京国際映画祭では滝田洋二郎監督やアメリカB級映画の帝王ロジャー・コーマン氏らとともに審査委員長を務められた方です。と書くと、なんだか雲の上の人みたいで近寄りがたい印象うけますけど、実際会うと「やたらテンションの高い気さくなお話し好きのおばちゃん」みたいな、いい意味で大物感ゼロの方です。
またダマーに行きたいと思わせる理由の一つにまた部谷さんに会いたいというのがあります。
部谷さんと
そして何よりもダマーを魅力的にしているのは「心と心をつなぐ」をテーマに日本とアジア全域からエントリーされ入選した10作品の質の高さです。
今回は韓国から20作品くらいがエントリーされ、そのうち3作品が入選。台湾からも1作品が入選。そして日本の作品が6作品でした。
さらに言えば日本の6作品中5作品は東京など首都圏で撮られている皆さんの作品で、地方都市からのエントリー作品は我らが「罪と罰と自由」一作でした。
そして私は東京や韓国、台湾の自主映画のレベルの高さを思い知り、打ちのめされました。
演技も映像も、とても洗練されています。
各入選作品の芝居している感の極めて薄い、ナチュラルな演技に感動しました。世間的な知名度でいえば我らとそうかわらない各自主映画の皆さんなのにこの差はなんだろう。
作品にかける思いや熱さの差も感じました。
グランプリをとった「The Faint Light」の原監督は、現場で役者に対しキレキレで、稽古で鎖骨を折った主役に対してもかなりキレまくったとかなんとか。私の場合、ノーギャラで出演してくれている役者に対してどうしても遠慮がちになり、キレたり怒鳴ったりはとてもできないのですが、それじゃいかんのかなと思いました。
そして原監督はグランプリ受賞でその名が呼ばれ、受賞のスピーチをしながら感極まって泣くんです。それを同じステージのスポットのあたらない脇の方で観ながら、「俺、泣けるくらい映画に思いを込めただろうか?」
と考えてしまいました。これだけの想いの差があれば入賞逃したのも仕方があるまい・・・と納得してしまった自分に、ちょっと腹が立ちました。
だからといって役者に怒鳴りまくる監督には性格上なれないと思うのですが、もっともっと役者とぶつかっていかなくてはならないと思いました。
「Faint Light」の原監督(右)
それは単に演技の巧い下手とか質や方向性の問題ではなく、演出に差があるように感じました。
前述の「Faint Light」の原監督は意図的かどうかはおいといて、ネガティブな役を演じる役者を精神的に追い詰め、さらに厳寒の海で撮影することでアドレナリンが大量に出るだろうと、肉体的にも厳しいところに追い込みました。
「色声」という映画、これも主演の役者の演技が素晴らしかったのですが、非常に特殊な人物設定でありながら役者の演技に演じている感があまり感じられません。どうやってあの役柄を役者に定着させたのかと監督(八幡貴美さんという女性監督)に聴いてみたところ、「とにかく役者といっぱい話をした。演技のことも関係ないことも」というようなことを教えてくださいました。
私なりにダマーで得た教訓は、監督と役者の距離を縮めてビジョンを共有することである・・・ということでした。
ビジョンも何も今までは、自分自身に映画の出演者やキャラクターに対するビジョンが薄く、役者におまかせしていた感もあったと反省しました。
ダマー映画祭で数々の作品を観ることで、自分の中で映画の特に役者に対して求めるビジョンが明確になった気がしました。
比較的多種多様な映画を集め、映画の革新を目指しているような印象のある蓼科高原映画祭とは違い、ある意味似たような映画を集めるダマー映画祭だからこそ、感じることのできた刺激でした。
一方で評価される作品というのはマジメな作品が多いなという印象も。自分としてはユーモアのある映画を撮りつづけて一線を画していきたいと思いました。
というわけでこれからは「罪と罰と自由」が、自分にとっての最低ラインとなります。役者、スタッフの皆さんには難しい注文や要求が増えると思いますが、そうでなくては日本の自主映画の上の方には行けません。皆様よろしくお願いします。
そして、当面の目標は、ダマー映画祭にもう一度入選。まずはそこにしぼりたいと思ってます。
日記風のレポートをあと幾つか投稿予定・・・
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ブロガーによる00年代(2000~2009)の映画ベストテン
↑この度、「ブロガーによる00年代(2000~2009)の映画ベストテン」を選出しました。映画好きブロガーを中心とした37名による選出になります。どうぞ00年代の名作・傑作・人気作・問題作の数々を振り返っていってください
この企画が講談社のセオリームックシリーズ「映画のセオリー」という雑誌に掲載されました。2010年12月15日発行。880円
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自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
我らが作品「罪と罰と自由」がダマー映画祭inヒロシマ2012に入選し、11/16から11/18の3日間にかけて上映されました。残念ながら入賞はできませんでしたが、とても楽しく実り多い映画祭でした。
この映画祭には初めての参加でしたが、相当いいです。規模大きく、質高く、待遇よいです。
この映画祭に入選したら、多少の出費をしてでも行くべきです。キャストやスタッフの方も連れて行けばきっとすごい刺激になるでしょう
ダマー映画祭の魅力の一つが入選監督に対する高待遇にあると思います。
1)宿泊費監督一人に限り3泊分出していただける
2)映画祭の入退場はもちろん自由で、招待作品もフリーパスで鑑賞できる
3)私は映画祭初日に行くことはできなかったが、他の入選監督さんのfacebookの日記などを見ると、開会式に続けて会場まで敷かれたレッドカーペットの上を一人一人歩いて、なんかスター気分を味わえたらしい!!
4)映画祭最終日の後の打ち上げも1名まで無料
5)韓国、台湾の作品も入選しており、監督さんも来ていたのですが、ちゃんと韓国語、中国語の同時通訳の方をつけており、表彰式では日本語のアナウンスに続けて英語のアナウンス。本物の国際映画祭を体感できます。
6)一番すごいのは、映画祭が始まる前のことなんだけど、英語字幕を付けるから脚本を送ってほしい、と言ってきたのです。国際映画祭の場合「英語字幕をつけて応募すること」という条件にするのが普通なのですが、この映画祭は追加料金なしで、字幕を付けてくれた上にネイティブチェックまで入れているというのです。しかも英語字幕付き版はそのままどこかよその映画祭に出品しても構わないとまで仰る。
最後の打ち上げでは、各監督さんやキャストの方々とたっぷり話せて、審査委員長の廣木隆一監督や、招待上映された「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督、特別上映された廣木監督の新作「RIVER」主演の蓮佛美沙子ちゃんら著名人ともお話できました。
廣木監督と
吉田監督と
蓮佛ちゃんを囲んでダマー映画祭入選監督のみんなで
なんといっても、ダマー映画祭inヒロシマの代表を務める部谷京子さんがいいです。美術監督として「Shall we ダンス?」や「それでもボクはやってない」「天地明察」などなど映画界の第一線で活躍され、2012年の東京国際映画祭では滝田洋二郎監督やアメリカB級映画の帝王ロジャー・コーマン氏らとともに審査委員長を務められた方です。と書くと、なんだか雲の上の人みたいで近寄りがたい印象うけますけど、実際会うと「やたらテンションの高い気さくなお話し好きのおばちゃん」みたいな、いい意味で大物感ゼロの方です。
またダマーに行きたいと思わせる理由の一つにまた部谷さんに会いたいというのがあります。
部谷さんと
そして何よりもダマーを魅力的にしているのは「心と心をつなぐ」をテーマに日本とアジア全域からエントリーされ入選した10作品の質の高さです。
今回は韓国から20作品くらいがエントリーされ、そのうち3作品が入選。台湾からも1作品が入選。そして日本の作品が6作品でした。
さらに言えば日本の6作品中5作品は東京など首都圏で撮られている皆さんの作品で、地方都市からのエントリー作品は我らが「罪と罰と自由」一作でした。
そして私は東京や韓国、台湾の自主映画のレベルの高さを思い知り、打ちのめされました。
演技も映像も、とても洗練されています。
各入選作品の芝居している感の極めて薄い、ナチュラルな演技に感動しました。世間的な知名度でいえば我らとそうかわらない各自主映画の皆さんなのにこの差はなんだろう。
作品にかける思いや熱さの差も感じました。
グランプリをとった「The Faint Light」の原監督は、現場で役者に対しキレキレで、稽古で鎖骨を折った主役に対してもかなりキレまくったとかなんとか。私の場合、ノーギャラで出演してくれている役者に対してどうしても遠慮がちになり、キレたり怒鳴ったりはとてもできないのですが、それじゃいかんのかなと思いました。
そして原監督はグランプリ受賞でその名が呼ばれ、受賞のスピーチをしながら感極まって泣くんです。それを同じステージのスポットのあたらない脇の方で観ながら、「俺、泣けるくらい映画に思いを込めただろうか?」
と考えてしまいました。これだけの想いの差があれば入賞逃したのも仕方があるまい・・・と納得してしまった自分に、ちょっと腹が立ちました。
だからといって役者に怒鳴りまくる監督には性格上なれないと思うのですが、もっともっと役者とぶつかっていかなくてはならないと思いました。
「Faint Light」の原監督(右)
それは単に演技の巧い下手とか質や方向性の問題ではなく、演出に差があるように感じました。
前述の「Faint Light」の原監督は意図的かどうかはおいといて、ネガティブな役を演じる役者を精神的に追い詰め、さらに厳寒の海で撮影することでアドレナリンが大量に出るだろうと、肉体的にも厳しいところに追い込みました。
「色声」という映画、これも主演の役者の演技が素晴らしかったのですが、非常に特殊な人物設定でありながら役者の演技に演じている感があまり感じられません。どうやってあの役柄を役者に定着させたのかと監督(八幡貴美さんという女性監督)に聴いてみたところ、「とにかく役者といっぱい話をした。演技のことも関係ないことも」というようなことを教えてくださいました。
私なりにダマーで得た教訓は、監督と役者の距離を縮めてビジョンを共有することである・・・ということでした。
ビジョンも何も今までは、自分自身に映画の出演者やキャラクターに対するビジョンが薄く、役者におまかせしていた感もあったと反省しました。
ダマー映画祭で数々の作品を観ることで、自分の中で映画の特に役者に対して求めるビジョンが明確になった気がしました。
比較的多種多様な映画を集め、映画の革新を目指しているような印象のある蓼科高原映画祭とは違い、ある意味似たような映画を集めるダマー映画祭だからこそ、感じることのできた刺激でした。
一方で評価される作品というのはマジメな作品が多いなという印象も。自分としてはユーモアのある映画を撮りつづけて一線を画していきたいと思いました。
というわけでこれからは「罪と罰と自由」が、自分にとっての最低ラインとなります。役者、スタッフの皆さんには難しい注文や要求が増えると思いますが、そうでなくては日本の自主映画の上の方には行けません。皆様よろしくお願いします。
そして、当面の目標は、ダマー映画祭にもう一度入選。まずはそこにしぼりたいと思ってます。
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ブロガーによる00年代(2000~2009)の映画ベストテン
↑この度、「ブロガーによる00年代(2000~2009)の映画ベストテン」を選出しました。映画好きブロガーを中心とした37名による選出になります。どうぞ00年代の名作・傑作・人気作・問題作の数々を振り返っていってください
この企画が講談社のセオリームックシリーズ「映画のセオリー」という雑誌に掲載されました。2010年12月15日発行。880円
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