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蛇にピアス [監督:蜷川幸雄]

2008-12-10 22:13:41 | 映評 2006~2008
個人的評価: ■■■□□□
[6段階評価 最高:■■■■■■(めったに出さない)、最悪:■□□□□□(わりとよく出す)]

あまり面白くなかった。
物語があまり面白くならない(ドラマもサスペンスも盛り上がりそうに見せて、盛り上げない)のは、そういう狙いだからいいのだろう。
ルイとアマとシバの三人の痛みと感情の暴走と麻痺を見せたかったのだろうし、ルイとアマとシバの三人の痛みと感情の暴走と麻痺を見せたかったのだろうし、その点でキャラたちの理解不能さも、ドラマになってない感じも、予測不能な人間関係の転がり方を楽しませてくれることに貢献していたと思う。
しかし、人間の生の感情を伝えるには主役三人の演技は軽すぎた。

主役ルイ役の吉高由里子は脱いで脱いで、セックスシーンもわんさかあって、その頑張りは讃えたいけど、台詞とか表情とかが軽い。アル中になって酒をがぶ飲みする姿もただの段取り芝居にしか見えない。
アマを演じた高良健吾も、スプリットタン(トカゲのような舌)やピアスだらけの見た目のインパクトに反し芝居はわめくだけの一本調子でつまらない。
シバを演じるARATAは三人の中では一番芝居に安定感はあったが、全編通じてぶっきらぼうなだけ。

この映画のウリかもしれないサディスティックなセックスシーンも最初はおおっと思ったが、首絞める→後ろ手に縛る→バックから攻める・・・の黄金パターンが確立されていて毎回そればっかなので飽きてくる。
漫画「はじめの一歩」で、幕之内一歩は、リバーブロー→ガゼルパンチ→デンプシーロール・・・の必勝パターンを編み出しておきながら、実戦ではそのパターンを二回しか使っていないのは何故か? それは、ワンパターンは飽きるからだ。
(もっとも、刺激への慣れ・飽きを描きたかったのかもしれないが)
超絶プレイが次から次へと飛び出す「ラスト、コーション」のトニー・レオンとタン・ウェイを見習ってほしい。

カメラは寄るでもなく引くでもない。カットも長過ぎず短すぎず・・・
いっそもっとクローズアップ多用してカット刻んだ方が「痛み」は伝わった気がする。
逆にルイが異常な行動をする時はカット切らない方が良かったかもしれない。例えばシバに殺しの疑惑を持った後の行動などでは、さっさと場面転換させずに、証拠隠滅に走り出すルイの行動を徹底的にカメラで追いかけるとかしても良かった。

あるいは俳優を使わずに、CGも特殊メイクもなしでスプリットタンや舌ピアスをしている渋谷の素人を使った方が、芝居の上手い下手を越えて現実の重みがかぶさって印象深い映画になったかもしれない。

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主要キャラたちの芝居がいけてないだけに、世界のニナガワらしい豪華チョイ役陣が印象深い。
特に藤原竜也が熱い。高良健吾にボコボコにされる役なのだが、ボコにしてる高良健吾よりボコられてる竜也の方が熱い。高良健吾の蹴りも殴りもあまり痛そうでないが、竜也が死ぬほど痛そうに芝居してくれる。竜也シーンは竜也のためにカットなど入れない。お前ら竜也を見て勉強しろと、蜷川監督は若い俳優たちに言いたかったのかもしれない。

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シバの刺青屋さんはいつも客がいない。とっておきの刺青も「エッチ1回」で入れてあげちゃう。あの店すぐ潰れるだろうなあ・・・・・

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