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映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

映像作品とクラシック音楽 第42回 エンニオ・モリコーネ(私的)アルバムベストテン 第3位〜第1位

2021-11-12 01:52:00 | 映像作品とクラシック音楽

さて前回に引き続きましてモリコーネのベストテンのいよいよベストスリー大発表です。って言っても有識者100人の選ぶモリコーネとかでなく、私の個人的なモリコーネテンですけど。


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第3位 ニューシネマパラダイス(O.S.T.)

私のモリコーネベストテンの第3位は…ど定番のシネパラです。ミーハーか!
と言ってもいいもんはいい1枚です。
一応言いますと私はこの『ニューシネマパラダイス』という映画それ自体の評価は微妙です。傑作ではあることは認めますが、あちこちそうじゃないだろうと思うところもあったり、そもそも映画のアウトラインが、短絡的すぎる映画愛とノスタルジーな気がして…
などと文句をつけはするものの、折りに触れて見返している作品でもあるのです。
なんでかと言えば、それはやっぱりモリコーネの音楽が聴きたいからです。モリコーネの音楽が一番沁みるような映像だからかもしれません。
まあ、あれですよ、ミュージカルやオペラやバレエに誰もストーリー性など求めないように、『ニューシネマパラダイス』という「モリコーネ劇場」にとって映画自体の良し悪しなど大した問題ではないのです。
時に凶悪な血みどろな映画も彩ってきたモリコーネが悪いもの全部流し去って彼の優しさだけが残った状態で作られた楽曲の数々のように思います。

https://youtu.be/9RYmWNWmKT4




オープニングなど随所に使われるピアノとサキソフォンの音が印象的な優しさあふれるテーマ。聴いてるだけでなんだか涙ぐんできて久しぶりに実家に電話でもしたくなってきます。

有名な愛のテーマはモリコーネで最も有名な曲の一つといって過言ではない名曲です。
いつだかのアカデミー賞授賞式でジョン・ウィリアムズがセレモニーの音楽監督を務めたことがあり、その時に映画音楽の名曲メドレーを演奏した際にモリコーネの名曲代表としてこの愛のテーマを奏でました。
連載の第16回の時も書きましたがモリコーネが亡くなった時ヨーヨー・マがツイッターで追悼として愛のテーマを奏でました。
ところが実は愛のテーマはエンニオ・モリコーネご本人の作ではなく、息子のアンドレア・モリコーネの作曲です。とは言え我々がよく聞くあのサウンドに仕立てたのはエンニオ・モリコーネに間違いなく、言ってみればこの曲に関してはコンポーザーというよりプロデューサーにしてアレンジャー的な立ち位置だったと思われます。

弦楽による「トトとアルフレード」も短い曲ですが、大好きです。アルフレードの自転車のハンドルの前にちょこんと座った幼いトトの姿が目に浮かびます。


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第2位 アンタッチャブル(O.S.T.)

実は私にとって初めてのモリコーネ体験は87年作品の『アンタッチャブル』でした。おそっ!と馬鹿にされるかもしれません。『アンタッチャブル』なんてモリコーネがストックミュージックの在庫整理しただけの仕事だよとか言う人もいるかもしれません。でも、この映画の音楽はやっぱり、いつ聴いてもそりゃあ見事なもんですよ。

オープニングメインタイトル、監獄を思わせるようなイメージ映像にズシリと重いパーカッションの音とピアノの低音部の打撃、うっすら響くハモニカ、有り得ないほどカッコ良くないですか!?

https://youtu.be/qYnN4wiyBN0



悪のマフィアってよりどっかのセレブのように豪華絢爛なイメージのアルカポネのテーマ。
エリオットネスと家族の安らかなひとときを彩るフルートの音色。
仲間を殺されて失意のネスに追い討ちかけるようなサックスによる「死のテーマ」。
あるいは、殺しが起こる直前まで不穏に唸り続ける弦とピアノの畳みかけの迫力。
戦艦ポチョムキンへのオマージュとか忘れるくらいモリコーネ節の、シカゴ駅でのサスペンス&アクションシーンのオルゴールの音色に重ねられる不安定なストリングス(銃撃が始まるとオルゴールの音が途切れて、銃声と階段を落ちる乳母車の車輪の音以外の全ての現実音が消えた中でバイオリンのトレモロが不穏に鳴り響き、そして曲の最後の方、アンディ・ガルシアが滑り込んで乳母車を止めたところで、赤ちゃんの笑顔と共にオルゴールの音が戻ってくる演出も、キマりすぎててやばいです)
アンタッチャブルズの勝利を讃えるさわやかなファンファーレのスカッと感!

https://youtu.be/D5B7T4BFbSQ




初めてのモリコーネですり込みがあるのは認めますがやっぱり誰がなんと言おうと最高の名盤だと思います。


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第1位 夕陽のガンマン/続・夕陽のガンマン 地獄の決斗(O.S.T.)

そして1位は、これもまさにまさに、超ど定番すぎるザ・モリコーネな一枚です。
これも誰がなんと言おうとあまりのかっこよさに魂がビリビリ震える名盤です。
『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(英題 "The Good, the Bad, and the Ugly"「いい奴、悪い奴、ずるい奴」の方がカッコいいです)のオープニングテーマは、モリコーネの代表曲の一つですね。ベートーベンの運命、聖子ちゃんの赤いスイートピーみたいなもんです。

第10位の「モリコーネ・プレイズ・モリコーネ」はライブ録音で、そこでも『続夕陽』のフルオケ版が聴けてそれはそれで血が沸る名演なのですが、やはりオリジナルサントラのカッコ良さにはかないません。
エレキギターや野蛮な男性スキャット、けたたましく鳴る進軍ラッパなど音の大洪水。ついでに映画だとオープニングタイトルバックのアニメも超絶イカしていてテンション上げ上げです。

https://youtu.be/sdlE323S-mg



そして、単曲でならモリコーネ史上のベストスコアに違いない「エクスタシー・オブ・ゴールド」です。
これもまたモリコーネライブの定番曲ですが、壮大なオーケストラに神々しくかぶさってくる女性スキャットに恍惚を覚える超超超名曲です。

https://youtu.be/ZkNkJ0z3_cI




ちなみに単曲でのモリコーネベストテンだと
1.エクスタシーオブゴールド
2.続夕陽オープニング
3.シネパラ愛のテーマ
4.Cocky's song(ワンアメ)
5.1900年オープニング
6.正義の力(アンタッチャブルオープニング)
7.フランティック(II)
8.夕陽のガンマンテーマ
9.ケマダの戦いテーマ
10.The Farmer and the Girl(天国の日々)
ってところでしょうか

さて、このCDのカップリング扱いの続の付かない方の『夕陽のガンマン』のスコアですが、こちらもまた名曲ぞろいなんですね。
スコア全体のバランスで言えば『続』よりいいかもしれません。
口笛が印象的なテーマ曲もしびれるかっこよさでクリント・イーストウッドになり切れるのは『続』のテーマより、こちらの方です。
『夕陽のガンマン』のテーマは、『キック・アス』(2010年 マシュー・ヴォーン監督)で、ヒットガールのマフィアアジト襲撃シーンにオマージュとして使われていたのも印象深いです。

https://youtu.be/yaEuijD624k



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そんなわけでクラシック鑑賞部屋の空気を読まずに2週にかけてお送りしましたエンニオ・モリコーネベストテンでした!

え?マカロニそれだけ?!
『ミッション』は?!
『物体X』は?!
…と、ご批判や異論反論ありまくりでしょうが、まあ一つの個人的意見としてお聞き流しください

モリコーネは最晩年にようやくアカデミー賞作曲賞を受賞しました。受賞作はタランティーノの『ヘイトフルエイト』で、映画は全く全然面白くなかったですが、モリコーネにアカデミー賞を取らせるためだけの映画だったと思うと、タランティーノを評価したくもなりました。
その時のアカデミー賞受賞式の作曲賞候補者たちの控席のレジェンド2人のツーショットはなかなか素晴らしい画だと思います。





そんなところでまた!素晴らしい映画と、映画音楽でお会いしましょう!!

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