またまたクラシック音楽と関係ない投稿で申し訳ありませんが…
ヴァンゲリスが亡くなるという衝撃的なニュースを朝に聴き、大きすぎる喪失感に囚われています。
中学の頃、札幌すすきのの小さな映画館ジャブ70ホールで『ブレードランナー』を鑑賞し、終わると夜で映画館を出るとすすきののネオンが私の前に広がり、脳内には勝手に今観た映画の音楽が、正確にいうと音楽っぽい電子音が再生されました。
あの日以来、私の愛する作曲家の1人です。
何曲か現代音楽の巨匠でシンセサイザーの魔術師ヴァンゲリスの曲を紹介したいと思います
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あの『ブレードランナー』というよく考えなくてもアラもツッコミどころもありまくりな作品がこれほど名作然としているのは、ルトガーハウアーの人外級の存在感とともに、ヴァンゲリスのあまりに美しい音楽があるからこそだと思います。
『ブレードランナー』サントラより「ティアーズ・イン・レイン」
いまだに夜の街中で雨が降ると自然と脳内に響く名曲です。
『ブレードランナー2049』でも似たシーンでこの曲がかかりました。個人的にはあまり評価してない2049ですが、ティアーズインレインのシーンは唯一の目頭熱くなるシーンでした
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アメリカンニューオーケストラ『ブレードランナー』カバーアルバムより「メモリーズ・オブ・グリーン」
ヴァンゲリスはしばらく「ブレードランナー」のサントラをリリースしませんでした。
映画音楽の人と思われたくなかったかららしいです。
それで苦肉の策のように、アメリカンニューオーケストラというオケが電子音でなく、オケの生演奏でブレードランナーのサントラから数曲をカバーしたアルバムを発売したのです。
ヴァンゲリスの電子音を愛していた私らは、そのアルバムの楽曲のオーケストラによる演奏の数々を、いやそうじゃねーだろ!とツッコミながらそれでも愛聴していました。
しかしその中でも「メモリーズ・オブ・グリーン」は正直いうとオリジナル版より好きになってしまったほどの名演でした。
もともとこの曲はブレードランナーのための曲ではなく、ヴァンゲリスが自身の既成曲を映画に転用した曲だったのですが、その流用曲がしかもカバー版になって多くのファンに愛されるという変な巡り合わせの曲でした。
ちなみにリドリー・スコットは「誰かに見られている」という(あまり面白くない)作品で、このアメリカンニューオーケストラ版の「メモリーズ・オブ・グリーン」を使っています。
映画自体の作曲担当はダイハードなどのマイケル・ケーメンだったのだが…
それだったら最初からヴァンゲリスていけばよかったのに
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『ミッシング』メインテーマ
実は映画は観たことないのですが、この曲は大好きで大好きで…
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ヴァンゲリス『炎のランナー』メインテーマ
結局なんだかんだでこの曲が一番好きだよって人多いですよね。
私もです。
20世紀初頭のイギリスの話なのに80年代的シンセサイザーの音がざくざく刺さりまくりました。砂浜を観ると脳内でこの曲が自動再生されます。
問答無用の名曲。
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『1492コロンブス』サントラより「Hispanola』
この映画をほめる人に会ったことはありませんが、私はかなり好きな映画です。もしかするとリドスコ作品だとエイリアン、ブレランは別格としても、その次くらいに好きかもしれません。
そして音楽がまた絶品。楽園が地獄に変わる様を電子音と西洋的コーラスと異文化的パーカッションで見事に描出していました。
リドリー・スコットが「1492コロンブス」の音楽にヴァンゲリスを指定した理由が、ヴァンゲリスの音楽なら13世紀の物語に現代性を与えることができると思ったからだそうで、さすがにわかってらっしゃると思いました。思えばリドリーとヴァンゲリスのコラボがブレードランナーと1492コロンブスの二作品だけで終わったのは残念です。
例えば『白い嵐』や『ハンニバル』や『キングダムオブヘブン』の音楽がヴァンゲリスだったら…
あるいは『オデッセイ』や『プロメテウス』といった最近のリドリーSFをヴァンゲリスが作曲していたら…
いずれももっと高く評価された映画になったのでは?なんて思ってしまいます。
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私の青春のヴァンゲリスさん
数々の名曲をありがとうございました
謹んでご冥福をお祈りいたします