こんにちは。駿台ニューヨーク校です。
今日は「心情を考える問題」について考えたいと思います。
「『涙を流した』A君の気持ちを答えなさい。」
(ア)うれしい
(イ)悲しい
(ウ)悔しい
(エ)痛い
少なくも(エ)は感情ではないですから, 答えからは除外して良いと思います。
(記述問題なら,感情について触れられていない解答は問答無用に×です。)
しかし,涙は感極まったときに意図せず流れるもので,これだけではどんな感情が極まったのかは判断できませんから,
どんな場面でA君は涙を流したのかを観察する必要がありそうです。
➜「『返却されたテストが80点だったのを見て涙を流した』A君の気持ちを答えなさい。」
(ア)うれしい
(イ)悲しい
(ウ)悔しい
「自分」がテストで80点だったらうれしいな,だから(ア)! とはやまらないでください。
聞かれているのは「A君」の気持ちですから,A君についての情報が必要になります。
➜「『返却されたテストが80点だったのを見て涙を流した』のび太君の気持ちを答えなさい。」
(ア)うれしい
(イ)悲しい
(ウ)悔しい
「のび太君」はいつもよくない点を取ってお母さんに叱られ,友達からも笑われることが多いというキャラクターと
さらに,今度こそは70点以上取るぞ!と苦手ながらも必死に努力した姿が描かれていた(知っていた)とすると,
のび太君の涙の意味はしぼれるのではないでしょうか。
仮にA君が出木杉君だったら,(ア)ではなく(イ)や(ウ)に近いものになるでしょう。
答えがしぼれるのは,「のび太君」のキャラクターや「のび太君の頑張り」と「その結果」を知っているからです。
実際の問題に登場する人物は,初めて知る人物ばかりですが,
その人物がどんな性格で,どんな家族環境で育ち,何が得意で何が不得意か,友人との関係はどうかなどの情報は
問題文の中に十分にちりばめられています。
『場面(出来事)』+『人物像』から『心情の変化』を読み取ることは物語文を読み解く上での方程式ですが,
実生活においても,たとえ他人の涙でもその反応を捉えて,その理由・原因を思いやることはとても大切な気づきでもあります。
物語文を読む勉強はこころを読む勉強ですから,
見たことも聞いたこともない人物の気持ちなんてわかるはずがない!
ボクならこう感じるからコレが答えだ,それ以外の気持ちはわからない!
というボヤきは封印して,疎んじず軽んじず,じっくり取り組んで欲しいと思います。
駿台ニューヨーク校 SH