以下は前章の続きである。
総理夫人に人権なし?
巷間言われるように、昭恵さんに「脇の甘さ」があったことは否めない。
女性官僚を夫人付に起用したことも誤解を招いた面があったし、何より、彼女の行動範囲の広さ、活発さは「奔放」と映り、第二次政権発足直後には、安倍支持者の多い保守層からも批判が聞かれた。
この頃、昭恵さんは夫の政策と異なる「脱原発」などの考えを持つ「家庭内野党」だと言われていた。
そんな彼女に、当時は朝日新聞も寛容だったし、自称リベラルな著名人らは昭恵さんを持ち上げてすらいたと記憶している。
しかし何度も言うが、昭恵さんは森友について一切不正を犯していない。
そして今般、書き換えの問題で公表された資料からは、昭恵さんや夫人付きの官僚はもちろんのこと、鴻池氏、平沼氏ら国会議員とその秘書ら全員の「無実」が明らかにされているではないか。
公文書での昭恵さんについての言及は、すべて例の籠池氏が語ったことの伝聞に過ぎない。
にもかかわらず、朝日の紙面、特に見出し周りでは「夫人が怪しい」という印象操作が行われている。
これを真似てか、同じ系列のテレビ朝日のワイドショーでは、「森友文書改ざん問題経緯」という大きなパネルに昭恵さんの顔写真を貼り、その横にわざわざ「吹き出し」(漫画などでのセリフを入れる枠)を付けて「いい土地ですから前に進めてください」と書いた。
同じような例は、他局の番組でも散見された。
これに対し、コメンテーターと称するタレントさんたちが、「昭恵さんの写真があると8億円の値引きの説得力が増す」だの何だのと言いたい放題で、印象操作に励んでいる。
既視感のあるこの光景。昨年一年間、ずっとやってきた「モリカケ」追及ごっこの繰り返しであると同時に、都政の件で石原慎太郎氏に対して行われた「人権侵害」と同様のことが昭恵さんにも向けられている。
総理夫人が一般の主婦と違うことは誰でもわかっている。
しかしだからといって、彼女に対し何をしてもいいわけではない。
夫が総理になったら人権まで奪われるのかと思うような魔女狩りを、私たちの社会は許すべきではない。
この稿続く。