さ~て、
こわ~い話と、
続編の続き、解決編です。
「今日は私、ここで泊まって、
あんたが寝た後で何が起きてるか、見届けてあげる。」
時期は、確か今くらいの夏休み時期だったと思います。
夕方学校帰りに彼女の家に遊びに行ったりした時など、
私がマンガを読んでる間、彼女がよく仮眠を取ったりしたこともあったので、
私がそう言うと、A子はほんの少し躊躇して、わかった、と答えました。
その話の後は、私はいつものように、
定位置の、窓際のA子の勉強机のイスに座り、
A子は改めて下の階から冷たいジュースを持ってきてくれ、
日が落ちかけてもなかなか冷めない部屋の熱気を逃がすために、
窓の向い側にある部屋のドアを開け放してくれました。
そして、暗くなってきたね、と言って部屋の電気をつけ、
ドア側の壁に沿って置いてあるベッドに座ったA子と、
クラスの友人の話やテストのことなど、少し話をし、
私は足元に無造作に置いてある雑誌を読み始めました。
A子もまた、話のネタが尽きると、
ベッドに横になり、枕元のラジカセで音楽をかけ始めマンガを読み始めました。
「遊ぶ」といっても、だいたいいつもこんな感じで、
時間を潰していました。
それから30分くらいしてからでしょうか、
A子がマンガを閉じ、寝てしまったように見えたのは。
その後も、私は、寝てしまったA子をよそに、
その辺に置いてある雑誌やマンガを、ずっと読みふけっていました。
そうして、A子が寝てからさらに30分くらい経ったでしょうか。
突然、A子がむっくりと起き始めました。
私は、その時の彼女が、なぜかとても不機嫌そうに見え、
いつもと様子が違うことに気づきました。
彼女がそれほどまでに不機嫌になっている様子を、私は今まで見たことが無く、
以前、「自分は影番を張っていた(表向きは真面目な学生ですが、
実はウラで不良グループを牛耳っていた)」という
中学の頃の彼女を彷彿とさせるのには充分でした。
私は、・・・正直ビビっていました。
その部屋の様子を、他の誰かが見ていたら、
その時の私は、たぶんとても落ち着き払っていたように見えていたでしょう。
でもそうではなく、本当は、
A子に声をかけることができなかったんです。
私は息を殺して、ベッドの縁に座ったままの彼女の様子を窺っていました。
彼女は、眠りから覚めた時と同じくらいのスピードで、
のっそりと、不機嫌そうに立ち上がり、
私の前を横切り、真っ直ぐに部屋のドアの所まで行き、
力任せに、バーン!とドアを閉めました。
まるで、「ちっ!誰がドアを開けっ放しにしやがったんだ?
肌寒くて寝れねぇじゃねーか。」と言いたげに。
彼女はドアを閉めると、部屋の中央に戻ってきて、
私が座っている目の前まで来て、
じっと彼女の行動を見ている私とは全く目を合わさずに、
部屋の電気の紐を2度引っ張りました。
まるで、「ちっ!誰が電気をつけっ放しにしやがったんだ?
明るくて寝れねぇじゃねーか。」と言いたげに。
彼女はベッドに戻り、また横たわりました。
そして、かすかに音楽が流れているラジカセのスイッチを、バシッと叩きました。
そうです。まるで、「ちっ!誰がラジカセをつけっぱなしにしやがったんだ?
うるさくて寝れねぇじゃねーか!」と言いたげに、です。
こうして彼女は、また眠ってしまったようでした。
私は、・・・勝手に彼女に電気を消されて真っ暗になった部屋で、
今の今まで読んでいた雑誌を手にしたまま、呆気に取られていました。
でも、心のどこかで、
やっぱりな、とも思っていたのです。
そう。彼女は、睡眠障害だったんです。
私はそれ以前にも、クラスの友人の相談などを彼女にしたことがあって、
ベッドで黙って横になっている彼女に、
「あのさぁ、○○のことなんだけど・・・」と言うと、
自分の知っていることをペラペラしゃべってくれるんです。
で、「う~ん、状況はわかったけど、どうするかもうちょっと考えてみるよ。」
と答えた後で、改めて帰り際などに、
「さっきのことだけど、やっぱりそういう状況なら、こうするよ。」
と言うと、さっきの話のことは全く記憶に無い、ということが数回あって、
最初はからかわれているのかと思ったんですが、
その(記憶に無い)時の彼女の言葉は、
あまりにも理路整然としていて、普段の彼女じゃないようだったので、
どうも本当に記憶が無いみたいだ、と確信したんです。
でも正直、こんなふうに起きているのと変わらない様子で、
堂々と行動されると、自分の目を疑ってしまいます。
その後彼女は、しばらくして本当に目を覚ましました。
今度は本当に目が覚めたという感じがすぐわかりました。
私が、音楽も無く、電気も消され、
部屋のドアも閉まっている状態を、全て説明をすると、
彼女もやっぱり薄々気がついていたようで、
ショックは無いようでしたが、
でもやっぱり、けっこう落ち込んでいたようでした。
さて、あの天井の手の跡のことですが、
その後彼女の家族に聞き込み調査をした結果、
やっぱり、A子が眠りながら、
ジャンプをしてつけたものだということが判明しました。
それどころか、A子は、
寝ながら腹筋をしている姿を目撃されていました。
寝ながらでも体を鍛えてたんですね。
・・・でも、何のために?
ね~!生きている人間の方が恐いでしょ~?
恐くなかった人、ごめんなさ~い