琵琶湖が見える天空の楽園 クガイソウ
妻:伊吹山の山頂駐車場に到着!県境にある山だから、ドライブウェイの途中で岐阜県
側になったり滋賀県側になったりで、めまぐるしかったわね。
車のドアを開けるわよ。ヒャ~、涼しい。
下界はすでに33度を超えていたから別世界ね。これから歩くお花畑が楽しみだ
わ。
夫:途中でイヌワシの撮影に挑戦している人をたくさん見かけたね。あのロケーション
でイヌワシを撮影出来たら、その写真は宝物になるだろうな。
妻:立派な望遠レンズが並んでいたわ。でも花の撮影隊も負けていないようよ。
登山道を見て!カメラマン、カメラ女子がいっぱい。
この山は高山植物の名所だから当然よね。さあ、行きましょう。
夫:ここは琵琶湖国定公園特別保護区だって書いてあるよ。伊吹山は1377メートル、
山頂一帯のお花畑には、たくさんの高山植物や亜高山植物が見られるんだ。
さっそく、花たちのお出迎えだよ。図鑑を見ながら鑑賞しよう。
妻:ピンクはシモツケソウ、黄色はメタカラコウ、紫はクガイソウ、白いシシウドと
オオバギボウシ。メタカラコウの黄色の大きな穂が一斉に開花する様子は伊吹山
独特のもので他の山には見られないと書いてある。
こんなに色とりどりの草花に囲まれては、何に注目したらいいか迷ってしまうわ。
夫:僕は淡いピンクのイブキフウロ、これからあたり一面をピンクに染めるシモツケソ
ウや首を傾げたようで愛嬌のあるクガイソウが好きだね。
妻:クガイソウに似ているルリトラノオは日本では伊吹山にしか自生していないそうよ。
クガイソウは葉が輪生で、一つの茎に一つの花穂しか付けないけど、ルリトラノ
オは葉が対性で一つの茎に三つほどの花穂を付けることが多いので区別できる
わ。それに、開花時期はクガイソウの方が早いの。今の時期はクガイソウよ。
ここにはイブキトラノオ・イブキジャコウソウなどイブキの名を付けた植物がい
くつかあるわね。
ところで、頂上にヤマトタケルの像があるのはなぜ?
夫:伊吹山の神と戦って負けて、病にかかった彼はその後、近くの清水でいったん回復
したけれど、伊勢に向う途中で亡くなったと聞いたことがある。
もしかしたらこの石像は伊勢の方角を向いているのかもしれないね。
妻:それにしても、ここは爽やかな風が心地よくて別天地ね。いつまでも居たいわ。
夫:でも、そろそろ下りようよ。
実は駐車場の近くにアサギマダラが集まる場所があるんだ。きっと飛んでいると
思うから見に行こうよ。それにもう一カ所、立ち寄りたい場所があるからね。
妻:アサギマダラは日本で唯一の海を渡る「渡り蝶」ね。伊吹の花とアサギマダラは写
真に残したいわ。名残惜しいけど下山しましょう。アサギマダラ、いるかな~?
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夫:アサギマダラを見つけたぞ。ここにも、そしてあそこにもいる。
妻:さっき花の写真をいっぱい撮ったから、メモリー残量が心配だな。来た!チャンス。
パチリ、パチリ。もう、メモリーの事なんて考えるのは止~めた。パチリ、パチリ。
夫:いい写真が撮れたらパソコンの壁紙に使おうよ。もう一つ紹介したいのは薬草湯だ
よ。
織田信長がポルトガルの宣教師に命じてヨーロッパから3,000種類もの薬草を移
植させて、この地に大きな薬草園を作ったそうだよ。
伊吹山には昔から薬草がたくさん自生していたけれど、新しい物好きの信長らしい
エピソードだね。
妻:そういえば「ヨモギには黒色火薬の原料の一部となる硝酸が含まれている」と聞いた
ことがあるわ。信長の事だから薬効だけでなく、鉄砲の火薬として目をつけてたか
もね。
夫:結構、するどい見方をするね~。
さてと、その薬草をふんだんに使った日帰り湯の施設があるから、帰りに立ち
寄って汗を流そうや。
妻:賛成。まだ下界は暑いんだろうな。それを思うともう少しここにいたいけど、薬草
湯も魅力あるから帰りましょう。ヨモギやクガイソウも入ってるのかしら?