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すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

郵便屋さんのりんご

2006-10-27 19:33:13 | うちのキヨちゃん
うちの食卓には、りんごが欠かせない。何故なら、うちの父がカリウム不足の上、便秘、偏食ときている。そこで、毎朝りんごをベースにジュースを作るのだ。
 ジュースにするのだから、品質にはこだわらない。時々「ジュース用」として販売しているが、時季はずれはお高くて困る。
 そんな折、友人がいい話を持ってきた。品質はあまり良くないが、安く買えるという。ただし、箱買い。それでも、きちんと管理すればとても長持ちするらしい。さっそく友人に申込用紙を貰い、手続きした。支払いは前払いである。後は時期が来て収穫した物を送って貰うのみ。
 そんなある日、仕事から帰宅すると、うちのキヨちゃんがいきなりこう切り出した。
 「なあ、あんたりんご頼んだ?」
早耳だなと思いつつ、頼んだことを話した。
 「二級品やってな。でもジュースじゃけん、かまんって言うたんよ。11月末頃着くって、郵便さん言いよった。」
 最近の郵便屋さんはなんて親切なのだろう。わざわざ、自宅まで発送時期を知らせに来てくれた上、品質や何かの説明までしてくれるなんて。私はほとほと感心していた。ところが、次の一言で私はフリーズした。
 「1830円、払うといたよ。」
ちょっと待って欲しい。私はすでに支払っているのだ。重複して支払うなんて困るじゃないか。そもそも、郵便屋さんは「前払い」で発注済みと知っているはずだ。だとしたら、金額が少ないだけで、実は郵便屋さんを装った詐欺かもしれない。私の考えはどんどん悪い方へ傾いて行った。
 「ちょっとお母さん。お金は私が払うとるよ。」
 「え、だって、いる言われたもん」
 「郵便さんに電話せな」
 「領収書あるけん、大丈夫」
 「見せて!」
そして、領収書を見た私は、再びフリーズした。そこには私の名前ではなく、キヨちゃんの名前が書かれていたのだ。
 もし、もしだ。私の頼んだりんごであれば私の名前のはずだ。当然「娘さんの頼んだりんごのお金をください」という、話の流れになるはずである。
 私は落ち着いてゆっくり彼女に話を聞き直した。
 「郵便さんは、何て言うてきたん?」
 「ん?りんごいりませんか?って。あんまり良い品でないけど、言うから、ジュースじゃけんかんまんよ、って言うたら、1830円ですって・・・」
 甘かった。私はまだまだキヨちゃんを理解しきっていなかった。それはどう考えても、ただ注文をとりに来ただけではないか。当然私が注文しているなんて、郵便さんは知りもしないだろう。
 しかし、この話の流れで何故「娘がりんごを注文した」と思い込めるのだろう?まだまだ謎の多い母である。
コメント
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