すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

雄叫び

2006-10-12 11:26:20 | うちのキヨちゃん
 うちのキヨちゃんはニュースが好きである。新聞も欠かさず読む。それは大変感心なのであるが、ニュースを見ている時でも新聞を読んでいる時でも、それを家族にも伝えようとしてくれる。
 「まあ!火事で・・・へえぇ!」
 「・・・ひき逃げ、31歳・・・へえ・・・」
大声で、内容を台所にいる私にも聞こえるように読んでくれるのだが、さっぱり伝わらない。
 そうなのだ。キヨちゃんは読めない漢字は飛ばして読む。ひどいときには、平仮名しか読まない。しかも勘で適当に解釈して読む。だから結局気になって見に行く羽目になるのだ。一体火事でどうなったのだ? 31歳は被害者?加害者?となるわけだ。
 ある朝、居間から「あぁ~」というキヨちゃんの雄叫びが上がった。何事かと急いで駆けつけた。座っている所を見ると、事件ではなさそうだ。さては、ひどいニュースでも見て、悲鳴を上げたのだろうかと思っていた。それにしても長い悲鳴である。
 「どしたん?」
 「ん、大声大会やって。」
見るとテレビでは大声大会の様子が流れていた。彼女はニュースに勝手に参加していたのだ。眠気も吹っ飛ぶ朝の雄叫びであった。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする