すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

山間部の在宅介護

2009-06-15 21:17:32 | ひとりごと
 田舎でケアマネージャーをしていると、介護の相談を受けて悩むことが多い。普通ニーズがあれば大抵の物は介護保険の範疇で何とかなる。しかし田舎ではいろいろと問題もあるのだ。
 先日在宅介護の相談があった。事故で障害が残ったご主人を介護したいという。今まで布団だったのでベッドと車椅子が必要だ。そして、入浴にも介助がいる。
 電話を受けて自宅を訪ねた。地図を見てもピンとこない場所だった。何度も通った道なのにそこから横に道があることは知らなかった。迷いながらようやく畑の真ん中の道を見つける。分からないので歩いて降りたが、きちんと車が通るように舗装されている。
 しかし、駐車場から自宅までは人ひとりがようやく通れる道が、結構な傾斜でうねうねと下る。場所によってはちょっと高所恐怖症の私にはスリル満点だ。
 ここに車椅子はともかく、ベッドをどうやって運べばいいのだろう。鞄一つでびびりながら降りた私には、ベッドをかつぐ姿は想像できない。
 お風呂も本人の状態を考えたら、この坂道を連れ出すことは不可能だ。訪問入浴車は入らない。自宅は大きな日本家屋なので、申し分ない広さがあるので、浴槽を運んで自宅のお湯を張る方法もあるが、この傾斜である。
 ヘルパーによる介助入浴はどうか。自宅の風呂は外風呂である。屋外に15センチ以上の段差のある階段が3段もある入り口に、昔ながらの風呂がある。足の立たない人を入れるのは困難だ。ふたりで介助したとしてもリスクがある。
 生活をするだけでも山間部は大変である。そこで在宅介護をするのはもっと大変である。
 「今はね、こうやって相談できるところがあって、助けてくれる所があって、最後入れる施設もある。昔は家で見るのがあたりまえやったからね。」
 そう話す人もいるが、こんな時無力を感じる。施設を探すのも大変だが、在宅介護を希望しているのに立地条件だけであきらめなければならない人もいる。
 何かいい方法はないだろうか・・・。

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コメント (5)
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