すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

山間部の在宅介護2

2009-06-25 22:21:50 | ひとりごと
 先日在宅介護を相談された方のカンファレンスが病院であった。病院が遠いのでご本人様に会えてなかったので、ちょうど良かった。
 しかし、思ったよりも状態は悪い。これが平地の家でも在宅介護なら問題はない。訪問入浴なり、デイケアなりが利用できる。しかし、在宅では困難ばかりだ。
 立位訓練をしていると言っていたが、ほぼ困難であり、長座位(足をのばして座る姿勢)はとれない。つまり浴槽には寝た状態でないと入れない。簡易浴槽なら畳の高さなので、二人で抱えたとしても出し入れが難しい。この時点で訪問看護側からは入浴介助NGがでた。
 しかし、それよりも問題なのは家に連れて帰れるかどうかだった。勾配の急な坂道を息子さんが背負って運ぶ。そういう計画だった。しかし左半身マヒで右肩にはひどく痛みがある。しかも90度以上動かせない拘縮があるので、おんぶしてもしっかり掴まれないので、危険であるとの病院側の意見。
 そして、例えば担架などで無事に運ぶ手だてがあったとして、自宅でベッドから車椅子へは自分では移れない。介護士は一人で介助できるが、果たして奥さんに出来るだろうか。入浴が出来ない、自分で車椅子を動かせない。果たしてこの方にとって一番いい方法はないのだろうか。
 ご本人は帰宅願望を捨てていた。本心なのかあきらめなのか
 「無理に帰りたいとは思わない。病院にも慣れた」
と話した。
 もどってから奥さんに結果を報告した。
 「奥さんは自宅で介護なさりたいのですよね。」
そうは言ったものの、どうすべきか見えない。
 「帰りたいって言っていた声が耳について・・・。でも、無理をしてもみなさんに迷惑をかけるだけですね。」
 「いえ、私たちに迷惑なんて事はありません。それはお考えにならなくていいのですが、私たちもご本人にとってご家族にとって何が一番良いのかを考えたいんです。ただ・・・。」
 方法が・・・思いつかない。
 「思いだけでは・・・無理なことあるんですね。」
奥さんの声が揺れた。私の胸はつぶれそうだった。
 悔しい・・・。でも、無理をして不自由な在宅介護を押し進めるのもエゴのような気もする。山間部での在宅介護は、本当に困難すぎる。

にほんブログ村 介護ブログ 介護職へここをクリックしてお立ち寄りください。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする