すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

訪問入浴

2009-09-28 21:46:57 | ひとりごと
 うちの父もお気に入りだった訪問入浴。うちの愛は地球を運ぶ号は温泉である。だから湯ざめもしにくいし、お肌にもいい。
 今日は新しい担当さんの初めての入浴だった。
 実はその方は末期癌である。全く症状がなく、ある日突然手にしびれを感じて通院したら、すでにそこらじゅうに転移していてしびれは脳への転移からだった。診断からわずか一週間で寝たきりとなってしまった。
 ご家族は「長くて3カ月」と言われたその方のために、出来るだけの在宅介護をしようと心に決めた。訪問入浴もそのひとつである。
 しかし、状況はかなり厳しいものだった。進行は驚くほど早く、一日一日弱っていくらしい。せめて一度でいい、お風呂に入れてあげたいとの思いだが、いつ発作を起こしてもおかしくない。入浴の許可の範疇を主治医に聞いたが
 「注意事項、その他なし」
つまり、好きなようにしてあげてやってほしいというものだ。
 気持ちはスタッフも同じだが、入浴中に急変という事態もありうるわけで、かなりリスクがある。不安をあおるように二日前には救急車で運ばれていた。
 しかし、今日は今までで一番の顔色で、笑顔でおしゃべりもしてくださった。バイタルも問題ない。そっと気をつけながら、明るいおしゃべりをしながらスタッフは入浴を実施した。
 久しぶりの入浴に、その方は最高の笑顔で
 「ああ、さっぱりした。」
と言ってくださった。入浴後のバイタルも安定していた。
 体力から考えて週1回のペース以上は無理だと判断している。後何回入浴させてあげられるだろう。転移が脳で麻痺があるためか、幸い癌特有の激しい痛みや嘔気はないらしい。どうか、このまま痛みや苦しみがないまま、出来るだけたくさん自宅で幸せな時間が過ごせますように。

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コメント (4)
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