すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

キヨちゃんとの珍道中記4

2015-04-11 21:21:09 | うちのキヨちゃん
 4月5日、いよいよ帰路に着く日である。泊めてもらったのが90近い伯母の家なので、キヨちゃんは終始、
 「片づけはお前がしてあげな。」
と言っていた。手伝えることは手伝うのだが(例えば配膳とか洗い物とか)、片づけだけは家の人間でないと後で探すことになるので任せることにした。観て、明らかに同じ皿があるものだけそこにしまった。
 さて、前日キヨちゃんのウオッシュレット騒ぎで起きるまで、私はちょっと横になっていた。伯母が気をつけてくれて、そっとひざ掛けや上着を布団がわりに掛けてくれ、枕もしてくれていた。キヨちゃんの騒ぎですっかり起きてしまった私は、掛けてくれていたひざ掛けなどは畳んで部屋の隅に置いた。するとキヨちゃんが、
 「枕も片づけなんだら。」
と言う。しかし前述の通り、片づけ場所が分からない場合は、下手に片づけると家主が困ることになる。そう説明すると、
 「おばちゃんは、押し入れから出してくれた。」
と部屋の押し入れを指差した。出所が分かったのなら話は早いと、私は言われるままに枕を片づけていた。
 ところが、朝起きて最初に伯母に言われたのが、
 「すず、枕はどこにやったの?」
である。
 「え?押し入れ。」
と言うと、
 「昨夜は枕がないし、二人とも寝てるから起こすの可哀想だし、仕方ないからひざ掛けを丸めて寝た。」
と言うのだ。そうなのである。あれは伯母が自分の枕を私に貸してくれていたらしい。何が、「押し入れから出していた。」だ!
 朝食の後、私は話の盛り上がる二人を置いて散歩に出た。少し歩くとセブンがあったので、コーヒーとチョコを買って戻ることにした。実は普段はインスタントだが、キヨちゃんはちゃんとしたコーヒーが好きなのである。
 暖かいコーヒーを持ち帰り、
 「砂糖とミルクはどうする?」
とキヨちゃんに聞いた。
 「母ちゃんはミルクだけで良い。」
と言うので、ミルクを入れ、砂糖のスティックは手元から遠ざけておいた。
 ところが、何を思ったのかやおら砂糖を持ち上げると、端を切ってしごくようにした後、首をひねりながら逆さまにした。
 「あ!!まけよるまけよる!(こぼれてるこぼれてる)」
私が慌てて制止したが時すでに遅く、砂糖はサーっとキヨちゃんの膝に、更にはフローリングへとこぼれて行った。
 「砂糖いらん言うたでえ。何でそれも逆さまにするんよ。」
 「母ちゃんストローかと思った。」
 そもそもホットのコーヒーをストローですすろうと何故考えたのかは、この際考えない事にする。確かに細くて砂糖には見えないかもしれないが、砂糖を振りまくというのは本当に厄介である。
 伯母がコロコロやダスキンモップを持ってきてくれたので、二人で掃除したが、ついに伯母が笑いながら、
 「あんたの母さん手間かかるね。」
と言った。まさしくその通りである。
 そうこうしていると、従兄が予定より早くやってきた。今回の旅行で目的以外に観光もしていない私のために、伊藤伝右衛門邸に連れて行ってくれるというのだ。「花子とアン」で吉田剛太郎さんが演じた炭鉱王のモデルである。
 従兄はキヨちゃんと伯母は留守番して話をしてもらい、私だけ連れて行く気だったようだが、キヨちゃん行く気満々だったので、一緒に出掛けることにした。

       

 敷地はとても広く、お屋敷も調度品も庭園も素晴らしかった。キヨちゃんが歩けるか心配だったが、結構頑張って歩いて、十分に堪能できた。ただ、2階の白蓮さんのお部屋だけは、階段が滑るというので諦めた。
 観光の後、家に戻ってかしわ飯をいただいた。

     

 それから、従兄の車で飯塚を後にして従兄の家に向かった。そこで休憩してから帰路に着く予定だったのだ。ということで、続きはまたの話に。

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コメント (2)
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