歌舞伎座の幕間に3階にある「吉兆」で食事する。
世に「吉兆」といえば、最高の日本料理だというけれど、値段だけはとびきり高く、見栄えばかりで、お味はイマイチ。
「東京吉兆」の本店は銀座8丁目にある塀のある大料亭。
ホテル西洋、帝国ホテルにも出店がある。
「京都吉兆」が南座にあったが、最近その姿を消した。
なにぶん庶民には縁のないお店で、格式からいえば一流中の一流。
そもそも「幕の内弁当」とは、お芝居の幕間にたべる弁当のことである。
京都の南座では、土地柄、劇場外の料理屋さんから出前してもらっている観客も多い。
歌舞伎見物では、幕間に客席にいたまま弁当がたべられる。歌舞伎だけの特権である。
なかには、しばいの上演中にもさもさと弁当をたべている観客もいる。これには、さすが劇場スタッフが注意した。
これを舞台から見ていた勘三郎(十八代目)が激怒して、注意したスタッフは後でつるし上げをくった、という逸話がある。
さて幕間に用意されたのは、松花堂弁当(画像/上)。
これに、お椀、御飯、果物がつく。お値段は6300円(税込)。
全65席のカウンター席は予約客で満席の盛況であった。
飲み物は冷酒(吉兆貞翁)、生ビール、白、赤ワイン、ソフトドリンクと揃えている。
献立は月ごとにかわる季節料理。
ことさら珍しいものはなく、私的には歌舞伎座建て替え中に近くの新橋演舞場でたべた幕の内「篝火」が忘れ難い。
「篝火」はすぐ傍の料亭「金田中」の謹製だという。
「金田中」といえば、吉兆に負けない一流中の一流の格式ある東京の料亭である。
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