Dream Gate ( 中野 浚次のブログ )   

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【東京・2009夏】新感線流の『牡丹燈籠-渋谷・シアターコクーンー

2009-08-31 | 演劇


     三遊亭円朝を知らなくても、「カランコロン、カランコロンと下駄の音・・・」で知られているお露と
     新三郎のコワ~イお噺はご存知でしょう。
     これが円朝の代表的な怪談噺『牡丹燈籠』なんです。

     『怪談 牡丹燈籠』は、人気を博した円朝の落語を脚本家の大西博行が劇化し、1974年に
     文学座で初演され、杉村春子の代表作の1つになりました。
     このたび、段田安則さんら新メンバーが渋谷のシアターコクーンで上演。
     中日(なかび)に観てきました。

     ダイナミックな活劇で知られる劇団☆新感線のいのうえひでのりの演出。
     若い浪人の新三郎に瑛太、幽霊になったお露に柴本幸。
     貧しいながら睦まじく暮らしていた伴蔵(段田安則)とお峯(伊藤蘭)の夫婦ですが
     ひょんなことから運命が狂うのです。
     お国(秋山菜津子)と源次郎(千葉哲也)は、愛欲が絡んで血塗られた末路をたどります。

     ありきたりの怪談劇ではなく、3組の男女を中心にして人間模様が描かれています。
     人間の業や欲が明かになる世話物的な部分は、現在風でわかりやすい。
     とはいえ、しっとりとした人間ドラマが、いのうえの手に掛かると劇画になる。
     ロックが大音響で流れ、立ち回りこそないが、無数の”仕掛け”があり、盆を使って、
     テンポのよさもありますが、世話物の雰囲気が皆無。
     もっと座り心地のよい舞台に仕上げてほしい。

     前半は説明的すぎるし、後半は、お峯(伊藤蘭)の嫉妬だけが前面に出て、
     伴蔵(段田安則)の殺意が上がらない。2人とも怒鳴り過ぎ。もっと抑えた芝居をしてほしい。

     お国の秋山菜津子は淋しい女の感情を出して上出来。
     ことに小料理屋「笹谷」の酌婦になってからが秀逸。
     お米の梅沢昌代には存在感がありました。


                       

     お露の柴本幸はともかく、瑛太(↑画像)の新三郎はおいしい役。
     舞台初出演だそうですが、これではイケメン人形にすぎない。
     もう一度出直してきてほしい。やはり映像の人。
     ちなみに観客の8割が瑛太ファンとおぼしき若い女性だった。
     人気スターさえ出ていれば、客席は満員になるという時代でもない
     でしょう。

         いつもならハードロックに激しい殺陣と様式美の『いのうえ歌舞伎』だが、
     今回は、下野したどこかの政党のように、”ぬるま湯”に浸かった『牡丹燈籠』であった。
     






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