「病気になると健康のありがたさがわかるし、失業すると仕事
があることの安心感がわかる、同じように孤独になってはじめ
てなにげない人の優しさが身にしみる」これはコラムニスト上
原隆氏の言葉である。
上原氏は私と同じ団塊世代である、「友がみな我よりえらく見
える日は」「喜びは悲しみのあとに」等の著作がある、世の中
から注目される人たちでない人に光をあて、渾身の取材と巧み
な文章力、誰にも物語があるということを気付かせてくれる内
容が読み手を惹きつけてる。
人と会い、話を聞き行動を共にする、ひとりひとりの心の奥に
眠っている「本当のところ」に触れるために取材の相手に最も
聞きにくいことを聴く努力をしているという、それが登場人物
を丁寧に描写し、心の機微を感じさせるのかもしれない、実際
誰にでも貴方にも、私にも物語があることは確かである。