何をもって幸福とするか価値観は人それぞれである、ただ幸福
と言うのは充実感で幸福度の持続時間の長さ、そういう意味で
は喜びや嬉しさは点、幸福は線というのは確かかもしれない。
しかし生まれてから死ぬまで幸福の連続ということはありえな
いことで浮かぶ日もあれば沈む日もあるのが普通だ、だから幸
福にあまりこだわるのも善し悪しのような気がする。
2年前に亡くなった作家の山本文緒さんの作品「自転しながら
公転する」のなかで主人公の女性が嫁ぐ娘に「別に幸福になろ
うとしなくてもいいのよ、幸福にならなきゃと思いつめるとち
ょっとの不幸が許せなくなる、少しくらい不幸でいいのよ、思
いどうりにならないものよ」というフレーズがあるが、まさに
その通りで人生なんて思いどうりにいかないもの、幸福感は人
それぞれの感じかたの問題、少しくらい不幸でいい、齢を重ね
るたびにそう思える。