私たちは日常のなかで広い意味で多かれ少なかれ演技をしている、
それは自分の存在を認めて欲しい、好かれたい、嫌われたくない、
注目して欲しい、仲間はずれにされたくない、だから時には人間
関係において見え透いたお世辞を言ったり、本心をいえなくて、
心にもないことを言ったりすることがある、これがもうひとりの
自分であり、演技をしている自分である。
過去をふりかえると、本来の自分とは違う嫌悪するほどの自分に
気づくことがある、誰でも人には嫌われたくないから気づくと、
誰にでもいい顔をしてしまう、ついつい、いい人を演じてしまい、
自分を苦しめてしまう結果になることは長い人生のなかでは往々
にしてあるものだ。
内心思ってることを正直に言えない、あるいは言えない、もしく
は全く心にもないことを言ったりすることは楽しいことではない、
しかし人間はこのような演技をすることで、どうにか人間関係を
維持できるのかもしれないというのが73才の私の実感である。