TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

従順な羊

2010-01-02 18:29:50 | インポート
を操るのは簡単。

今年の元日はどこにも出かけないことに決めた。テレビをつけたらMooreの
Sickoをやってたので、雪遊びのあとTABIがくーくー寝ている間に夫婦で
観た。

この映画の問題は、虚実がないまぜになっていること。アメリカの医療保険制度
の酷さは、四年もアメリカに住んだから理解している。医療も歯科医療
もべらぼうに高いし、突然の病気のため新車を手放した人も知っている。
だが、Mooreの常套手段である、自分の主張を前面に出すため事実をねじまげる
手法は、見ていて気分が悪い。

ミシガン州の女性が、米国内では治療ができないため国境を越えてカナダ側
に入り、カナダ人男性と偽装結婚を装ってカナダで無料の治療を受けようと
試みる。昔々は知らないが、こんな簡単にオンタリオ州政府の医療保険が悪用
できないことなど、カナダに住む人なら誰だって知っている。だが事情を
知らない人は、素直に信じてしまうだろう。

フロリダでゴルフ中に怪我したカナダ人が、アメリカで治療を受けずに本国
へ帰国する。「だってカナダはタダだものね」というオチであるが、実は裏
を返すとMooreの礼賛するカナダ医療制度は、海外での疾病はまずカバーせず
一歩カナダを出たら最後、面倒を見ないということである。隣の国とはいえ
アメリカは外国なのだから、海外旅行保険をかけておくのは当然のことだ。

イギリスやフランスの医療制度にしても、それぞれの国に居住経験のある人
で「あの国の医療は理想的」と言う人に会ったことは、個人的に皆無だ。
むしろ、「制度は破綻してる」と話す人のほうが多い。具体的なことは、ネット
でググればいくらでも出る。一例として、どの国も金の儲かるアメリカへ
医師が流れてしまい、本国にはロクなのしかいない、という共通事情がある。

圧巻は最後のキューバである。これを見て「変だ」と気づかないようではね。
アメリカで百ドル以上する薬がキューバではほんの数セント、というのは
「日本円で二万円をルピーに替えればインドで一ヶ月暮らせる」のと同じで、
キューバが恵まれている国なのではない。ここでも高度な医療を受けられる
のは、一部の特権階級のみだ。

この映画を観て「Mooreよくやった!アメリカ最低!」と素直に感動する羊さん
は、「外国を知らないアメリカ人」「加、英、仏、キューバの医療事情を
知らない方々」のみではなかろうか。


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今年の抱負

2010-01-02 13:31:56 | インポート
<b><font size=5 color="#ff0000">Get Over It!!!!!</font></b>


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