そのお爺ちゃんは、口をきかない。
いつも一人で、ウォーカーによりかかりながらとぼとぼと歩いている。
目はうつろ。話しかけても、反応がない。
TABIはお爺ちゃんを見ると、尻尾を振って近寄った。
するとお爺ちゃんは、そろそろと身をかがめてTABIの頭をなでたのである。
「良い子だ、良い子だ」とつぶやきながら。
ナース達は、口々に「びっくり!」「信じられない…」と、お互いを見やる。
これまで、誰のどんな話しかけにも反応しなかったのだそうだ。
それからお爺ちゃんは、他のお年寄り達に混じって犬芸を披露するTABIを
鑑賞。お年寄り達が拍手をすると、お爺ちゃんは目はうつろながら両手を
合わせて拍手の動作をする。ナース達はまた、「すごい」「奇跡ね」と
目を見張る。
昔飼っていた犬を思い出したのだろうか。
痴呆老人の心の中は、誰にもわからない。だけど、犬にはきっと、寂しい
心のうちを感じることができるんだろう。
いつも一人で、ウォーカーによりかかりながらとぼとぼと歩いている。
目はうつろ。話しかけても、反応がない。
TABIはお爺ちゃんを見ると、尻尾を振って近寄った。
するとお爺ちゃんは、そろそろと身をかがめてTABIの頭をなでたのである。
「良い子だ、良い子だ」とつぶやきながら。
ナース達は、口々に「びっくり!」「信じられない…」と、お互いを見やる。
これまで、誰のどんな話しかけにも反応しなかったのだそうだ。
それからお爺ちゃんは、他のお年寄り達に混じって犬芸を披露するTABIを
鑑賞。お年寄り達が拍手をすると、お爺ちゃんは目はうつろながら両手を
合わせて拍手の動作をする。ナース達はまた、「すごい」「奇跡ね」と
目を見張る。
昔飼っていた犬を思い出したのだろうか。
痴呆老人の心の中は、誰にもわからない。だけど、犬にはきっと、寂しい
心のうちを感じることができるんだろう。