TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

安楽死法のゆくえ

2014-01-16 08:14:12 | カナダ話題
カナダ最高裁は、二十年前に否決された安楽死法を再審査することに合意した。

Rodriguezケースからもう二十年もたったのか、という思いが強いが、カナダは安楽死法に関しては先進国の中でも遅れをとっている。スイスの安楽死ツアーは有名だし、アメリカでもオレゴン、モンタナなど州によっては自殺幇助が認められている。

昔は人間の寿命が短かったし医学があまり発達してなかったから、無理やり延命させられて生き地獄を味わう人々がほとんどいなかった。しかし、平均寿命が延び、心臓が止まっても蘇生されてしまう現代では、死にたいのに自殺もかなわず生きながらえている人口が急増している。そういう人々にとって自殺幇助は、救いなのだ。私は、賛成する。

だいたい今のカナダの医療システムでは、病気や怪我になってもすぐに検査や治療が受けられない。外から見ればカナダは福祉が充実しているようにうつるかもしれないが、州政府でまかなわれている医療の弱点は、全ての住民に十分な医療を提供できる予算がないことだ。だから、レントゲンの予約待ちが八ヶ月、手術の予約待ちが三年から十年、というおそまつな結果になっている。

今後も予算はどんどん縮小されるのに、高齢者や病人の数は増え続ける。満足なケアが受けられず、苦しみ続ける人々の数が爆発的に増えることが予想される。

政治家やお金持ちは、アメリカに渡って自費でサッサと治療してくる。アメリカの医療費は高額で日本の百倍以上するけども、お金さえあれば健康は買える。しかし、一般庶民はそんな芸当は無理だ。

適当な時期に引導を渡してもらえるサービスが、今後は必要になってくるだろう。

といってもその費用は国は払ってくれないだろうから、その分を老後の予算として組んでおくしかない。それと、リビング・ウィルの中に「蘇生しないでくれ」とキッパリ意思表示しておくことだ。うっかり助けられてしまったら、寝たきりで垂れ流しのまま何年も生ける屍として孤独な生涯をおくることになる。進んだ医療は、ときに残酷な結果をもたらすのだ。