TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

母の裁ちばさみ

2015-04-03 14:47:22 | その他
小ぶりのトートバッグを作ってみた。



SPCAに寄付する小物用にいろんな犬柄の布をためてあるので、その中から表地を選んだ。裏は、小さい車の柄。犬用の水皿や予備のリード、おしぼりなどを入れて車でおでかけするときに使うバッグだから、この車の柄がちょうどいい。車にのせる犬グッズ用バッグは大きいのを一つ作って使ってきたが、今回小型車を購入してからというもの中に乗せるものも全てダウンサイズしている。なので、トートも後部のコンパートメントに入るサイズのを作ることにした。


中は、リードなどを入れるポケットつき

裁縫は昔から好きで、海外に住むようになってもいろいろ縫っている。が、これまで裁ちばさみのいいのにはこちらで出会ったことがない。

母は若い頃洋裁をしていたので、ものすごく切れ味のいい裁ちばさみを持っていた。高級紳士服の仕立てに使うはさみだ。子供のころ、このはさみだけは触るのを禁じられていた。初めて使わせてもらえたのは、私が高校生のとき。その切れ味の鋭さに驚いた。プロの道具は、こんなにも違うのかと思った。

実家で遺品整理をしている際に、母のお裁縫箱が出て来た。どうしようかと思ったが、海外まで持ち帰ることを考えると裁縫箱までスーツケースに詰めたら他のものが入らない。結局、あきらめた。だけど、今思うとあの裁ちばさみだけでもなんとか持ってくれば良かった。布を裁断するたび、母のはさみを思い出すのだ。

冬の夜、コタツにあたりながら縫い物をしていた母の姿が目に浮かぶ。
母が長年大事に使ってきた道具こそ、母の形見と言えるのではなかったか。それなのに、留袖や真珠やらといったもの方に目がいって、そういうものばかり持ち帰ってきてしまった。もちろんそれも思い出深いものばかりだが、母が私に使って欲しかったのは、あの裁ちばさみだったかもしれない。

お母さん、ごめんね。