沈み行く船の行方

犬クラブのクリスマス・パーティー。

体調万全ではないが、いいかげん外の空気を吸いたいので出かける。
ポットラックなので、私はお得意の海老のキャセロールを作って持っていった。

いつもはテーブルと椅子が所狭しと並び、人々で一杯の会場なのに、今年は
閑散としている。新会長のやり方に賛同できない会員たちが、こぞって欠席
を決めたからだ。このクラブの今後を暗示するようなパーティーである。

それでも、二つの七面鳥と大きなハムが用意され、持ち寄られたいろいろな
ご馳走がテーブルに並び、それはそれで楽しかった。私のキャセロールは
大人気で、５分もしないうちに空っぽになってしまった。

けなげな子

TABIを見ていて、つくづくこの子はけなげだと思う。

私が不在の間は、夫も仕事が忙しいので散歩だって一日朝晩の二回、それも
短時間しか連れてってもらえなかった。餌を食べさせるのを忘れたことも。
ある日、夫が帰宅すると、キッチンの床に鳥の羽が散らばっていた。
どうやら、ひもじくて仕方のなかったTABIは、ドッグドアから裏庭に出て
庭にやってくる鳥をつかまえて持ち帰り、食べたらしい。

そんな具合だったから、空港に迎えに来た時のTABIの喜びようといったら。
「これでまた毎日美味しいご飯が食べられる！」と、踊りまくっていた。
しかし、私が熱でダウン。

帰国してすぐの週末は、アジリティ競技会だった。
うちから車で二時間ほどの町なので、ホテルを予約してあった。しかし、私
は高熱で歩くのもやっと。私はいいからTABIを連れて行って来て、と夫に
頼んだが、「うちに帰ったらお前が冷たくなってた、なんてことになったら
大変だから」と、夫は私を極寒地用寝袋でくるんで車のシートを倒して寝台車
みたいにして寝かせ、アジ荷物を積んで会場まで走った。

ホテルはスイートだったので、私は暗くした寝室で二日間、眠ったきり。
その間、夫とTABIは競技会で合計５つのQ、全て一等を獲得。TABIは、新しい
お友達もたくさん作ったらしい。

その後も数日間は私はダウンしたままだったが、TABIは「遊ぼう！」とせがむ
こともせず、昏々と眠り続ける私につきあって私の足元に丸くなり、一日中
一緒にいてくれた。気分が悪くなり洗面台にヨロヨロ歩いていくと、とぼとぼと
ついてきてすぐそばに座る。ベッドにもどると、またついてきてくるりと
丸くなり、目を閉じる。あの子の体温の暖かさが、どれほど慰めになったことか。

この子は、私の宝物。
授けてくれた神様に、感謝。

髪を切る。

髪は女の命という。

確かに、髪が長いときのほうが霊感が強くなる気がする。
でも私はあまり、自分の髪に固執しない。

今日は、鏡で見ながら自分で髪をバッサリと切った。
１０センチから１５センチくらい。TABIの散髪用のハサミが役に立った。

夫が長い髪が好きなので、ここ二年くらい伸ばしていた。
亭主の好きな赤烏帽子である。しかし、今回高熱で寝込み、お風呂のあと
髪を乾かすのに時間がかかると微熱が下がらないのでうんざり。
だから切った。シャンプーとドライにかかる時間が、確実に短縮された。

夫は、私の頭と床に落ちた髪を見てビックリ。
「うっとおしいから切ったのよ」とサバサバしてる私、泣きそうな顔の夫。
普通は逆なんじゃない？

「GIジェーンみたく剃ってもいいんだけどさ」と言うと、やめてくれ！と、
本気で困っている。さすがにそれはしないわよ。

髪なんて、すぐ伸びる。
厄落としにちょうどいいのだ。

熱と毒消し効果

やっと熱が平常に下がる。

東京から帰ってきて一週間。
こっちの自宅に着いた夜から高熱が出て、ずっと寝込んでしまった。
すんごい強行軍だった今回の里帰りが、そうとう体にストレスをかけたらしい。

熱のため滝のような汗が止まらず、一日中サウナに入っているようなもの。
食事が喉を通らなかったから、水分だけ。すっかり痩せてしまった。
この熱で頭がイカれてしまうのでは、と思ったが、熱は体の毒素を出すため
に出るもの。薬で無理に下げるのはよくない。

どのくらい高熱なのか？
興味があったので、夫に体温計を買ってきてもらった。
が、華氏な上、デジタルで一定の温度以上は測れないようになっている。
摂氏に換算して３８度ちょっとまで測れたが、それ以上になるとエラーが
出てしまう。やれやれ。ま、いいか、下がったから。