竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

先頭はすでにまぼろし風の盆 中里麦外

2020-09-01 | 今日の季語


先頭はすでにまぼろし風の盆 中里麦外

3日3晩、町中が踊り続けるという風の盆
先頭はせでにまぼろし
このフレーズに作者の本音が伺える
目前の踊りの列の先頭のことと解釈もできるが
己の来し方が見えているのかもしれない
この踊りの列は黄泉の国へとつながっている
(小林たけし)



【風の盆】 かぜのぼん
富山県八尾町で9月1日から3日間行われる民俗行事が有名。胡弓の調べに乗せ「越中おわら節」を歌って踊り明かす。暴風を吹かせて稲に害する悪霊を、踊りに乗せて送り出す目的で行うことからこの名がついた。

例句 作者

この世には胡弓の吐息風の盆 森岡保子
ちらほらと話題になりし風の盆 桑垣信子
対岸は燈の帶となる風の盆 長尾信子
幾山河恋いし胡弓を風の盆 田口晶子
深爪の指先愁う風の盆 進藤紫
父はやく死にしあと母風の盆 古沢太穂
立ち方の美男にありぬ風の盆 田口晶子
風の盆朝から鶏の目が濡れて 加藤三陽
山墓は山に囲まれ風の盆 松山足羽
風の盆八尾は哭きに来るところ 白根順子
闇に指返しそらせり風の盆 加藤耕子
街裏に瀬波の白さ風の盆 沢木欣一
踊る身の風となるまで風の盆 国保泰子
踊るとは生きることかも風の盆 中村苑子
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