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竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

ひそひそと秘密基地めく蚊帳の内 流伴

2017-06-09 | 
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ひそひそと秘密基地めく蚊帳の内





蚊帳を張ることはもう無くなったが
蚊帳を張るとそこは別世界
子供のころは興奮してなかなか寝付けない
しわがれ声の祖父の怪談話もなつかしい
秘密基地のような大切な記憶がつまっている

舟よする鳰の浮巣に白雨かな



浮須には雛がいるようだ
船頭がそっと舟をよせてくれる
そっと覗きこもうとしたとこらへ
突然の天気雨
船頭は雛を驚かせないようにそっと舟を離した


遠花火かわりばんこの肩ぐるま


孫が小さい頃
河川敷の花火を見せにいった
孫は4人
そのままでも見えるのだが
かわりばんこに肩車
せがまれるのがまた嬉しかった

帰省子の創の鮮やか床柱 流伴

2017-06-08 | 
帰省子の創の鮮やか床柱




孫が4人
訳あってみんながジジババの家に何年か同居していた
現在はそれぞれの世帯を古保もたちがもっているのだが
近くに住んでいる
帰省というほどではないのだがジジババの家に来ると
誰もが自分たちの背比べの創を眺めたり触れたり
並んで測ってみたりしている


サイパンの海少年の美し滴



家族でサイパン旅行をしたのはもう10年も前になる
海に明け海に暮れるという休日だった
現地の少年と言葉を交わしたのも美しい思い出になっている


夕薄暑交わす会釈に名の云えず


梅雨入り宣言がされた
夏本番前の鬱陶しい季節になる
夕暮れは蒸し暑くウオーキングもさぼりがちになる

すれ違う人には会釈をしたり
軽い挨拶をするのだが
さて名前がでてこない
なんとか理由もなく微笑んで行きかうことが増えてきた
順調にエイジングは進行している

深ぶかと瀞のあおきに晩夏光 流伴

2017-06-07 | 
深ぶかと瀞のあおきに晩夏光





5年ほど前だが奥只見に一泊吟行をした
只見ダムのためにできた深い静かな瀞があった
山の日暮れは早い
音のない青い緑のなかに深く深く
日差しが沈んでいくさまは
幻想的でさえあった


悲鳴にも怒涛にも聴く夏怒涛



夏の大きな波頭は人によってさまざまに感じる
思い出、記憶の中にたくさんの事象がある
悲鳴や怒声
尼酸っぱい記憶もある
波の音は悲鳴にも怒声にも
また時には歓喜の雄たけびにも聞こえてくる


蝉の殻無双自在に根の走る


私は「走り根」が興味深い
樹種や土地柄によってその姿はさまざまだが
同じ形はひとつとしてない
その生命力は無双無敵、加えて自在である
どのように乾いた土であろうとも水の匂いを嗅ぐわける

蝉の殻が走り根にあったりすると
生命の広がりと輪廻の理を感じぜざるを得ない

住職の遺墨に気合男梅雨 流伴

2017-06-06 | 碧梧桐鑑賞
住職の遺墨に気合男梅雨





菩提寺の住職が鬼籍に入って5年になる
彼岸や盆、歳末には寺を訪れる
本堂での礼拝の際に住職の遺した書を拝見する

今回は折からの激しい雨のせいもあってか
思い切りの気合を頂いた


父の日の妻のねまわし尻ぬける


父の日も子供が世帯を別になると
好物を覚えていてくれて送ってくれるのが
我家の普通になっている

子供が小さい頃は妻が先頭になって
食卓を飾ったり贈り物を渡すタイミングを計画していたものだった
私は知っていても知らないふりをする役目だった


甚平のいざ清貧のこころざし


甚平を着るとなんとも開放的な気分に満たされる
物欲はもちろんの事
五欲 すべてが消失するようである

清貧 なつかしい言葉が浮かんでくる
よし これからはいよいよこの境地を歩こうではないか

ここですよくるり一閃白日傘 流伴

2017-06-05 | 
ここですよくるり一閃白日傘




白い日傘に男はみんな甘酸っぱい記憶をもっている
夏の日の初デート
少し早めに待ち合わせ場所に行くと
もう彼女は舞っている
私をみると
白日傘をくるりと回して「ここですよ」
彼女の心も満開だ


早緑の仕立てはアフロ箒杉



ときおり神社で箒杉なる巨木を観る
根元が盛り上がって枝が地面に突き刺さっているような杉もある
坂さ杉 ともいうそうだが
見上げると枝葉は乱れて繁茂の様相
一時代のアフロヘヤーの失敗作のようにもみえる

遠雷や通夜の挨拶口ごもる


先輩、同年、ときには後輩の葬儀がしきりである
通夜の挨拶にはいつも口ごもる
遺族を慰める適当な言葉などあるわけもない
遠くの雷の音が妙になつかしい

杜若アイリスあやめ相容れず 流伴

2017-06-03 | 
杜若アイリスあやめ相容れず





杜若/アイリス/あやめ
似て非なる花だ
何度かその相違点を教わったが不明のままだ

花の名に限らず「似て非なる」ものは多い
外見はそっくりでも
それぞれの自己主張に妥協はない



あめんぼう追いつめたるは己なり 


水面のあめんぼうの動きはすばやい
重力のない体は俊敏だ
その目の先に何をみているのか
自分自身の姿を追いかけているようでもある
じっと動かないのは追い詰めた自分に金縛り状態なのかも知れない

鮎嘴に川蹴る鵜や奥只見


奥只見に旅したときの朝である
宿の下駄を履いて川淵を歩いていると
突然の激しい水音
鵜が鮎を嘴に捉えて
水を蹴って飛び上がる瞬間だった

鵜の大量繁殖で鮎が全滅状態とは
あとで宿の主から聞いた

いきなりの白雨に鳴けり日雀の子 流伴

2017-06-02 | 
いきなりの白雨に鳴けり日雀の子




夏の昼下がり
青空がまだ高いのに突然の「天気雨」
幼い頃に何故か嬉しくて
わざわざ濡れて駆けたりしたものだった

寺の軒下に日雀(ひがら)の子
こちらもいきなり鳴きだした
嬉しいのか、驚いたのか


薔薇園のワインで上がり寺めふり



最近は寺社も客寄せに熱心で
薔薇園を併設したりして
参拝客や観光客を呼び込んでいる

ある寺の隣のレストラン
ワインが評判で
私も寺社巡りのゴールに決めることが多い

短夜や年初の誓い書き直す


もう6月だ
夜も短くなってきている
このままでいると1年があっという間に終わってしまう
今年こそはのあの誓い
夜には書き直そうと思っている