竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

わが泳ぎいつか水平線上に 石田よし宏

2021-07-04 | 今日の季語


わが泳ぎいつか水平線上に 石田よし宏

自分の泳ぐ姿をみることは叶わないのだが
きっと水平線上にあるのだと作者は確信している
句意は平易だが言えそうで言えない措辞だ
(小林たけし)


【泳ぎ】 およぎ
◇「水泳」 ◇「競泳」 ◇「遠泳」 ◇「クロール」 ◇「バタフライ」 ◇「背泳ぎ」 ◇「平泳ぎ」 ◇「犬掻き」 ◇「海水浴」 ◇「汐浴び」(しおあび) ◇「川浴」
夏のスポーツとして最も爽快なもので、激しい夏日の下、きらめく海に色とりどりの水着や日傘が映え、躍動感に溢れた夏の風景が展開される。古くは「水練」といったが、武術の1つとして色々の型や流派が存在する。

例句 作者

およぎつゝうしろに迫る櫓音あり 及川 貞
愛されずして沖遠く泳ぐなり 藤田湘子
泳ぎ終へしわが脂浮く中の姉 大屋達治
寂しさに背泳ぎの空独りじめ 岸田雨童
遠泳の終りは海を曳き歩む 柴田佐知子
飛込台しなひて止る時空かな 藤原照子
墓地抜けて潮浴びにゆくゴム草履 森重 昭
泳ぎ子に紺鳥山のよこたはる 加藤三七子
泳ぎ来て青年の声透きとほる 河野南畦
暗闇の眼玉濡らさず泳ぐなり 鈴木六林男

腹力糞りて脱けゆく半夏なり 豊山千蔭

2021-07-02 | 今日の季語


腹力糞りて脱けゆく半夏なり 豊山千蔭


半夏という季語が句意の俗っぽさを消している
季語によって句意を浄化するお手本のような句だ
脱げゆくもなかなか言えない
(小林たけし)


【半夏生草】 はんげしょうぐさ(・・シヤウ・・)
◇「片白草」(かたしろぐさ) ◇「三白草」(みつしろそう)
ドクダミ科の多年草で「カラスビシャク」の漢名。「半夏生草」の名前は半夏生(七十二候の1つ:夏)の頃に葉が白くなるからとも、葉の半分が白く化粧をしたように見えるからとも言われる。

例句 作者

半夏生草のはみ出す縁の下 若井新一
諸草に伸び立つ花穂の半夏生 石川風女
恙とも怠けとも見え半夏雨 的井健朗
明るさを水に重ねて半夏生 白石みずき
海へ向く細脛ばかり半夏生 渡辺誠一郎
老いるとはかくもけだるき半夏生 林壮俊
耿々と半夏雨降る神田かな 本多豊明
鯉の口朝から強し半夏生 藤田湘子


白ハンカチ青春は畳みこんで置く 蔦 悦子

2021-07-01 | 今日の季語


白ハンカチ青春は畳みこんで置く 蔦 悦子

このハンカチは白でなければならに
青春のほとばしる汗
悲喜交々の涙
このハンカチが知っている
青春の全てが畳み込まれて明日へと向かう
(小林たけし)


【ハンカチ】
◇「ハンケチ」 ◇「ハンカチーフ」 ◇「汗拭き」 ◇「汗手拭」 ◇「汗拭」
汗を拭くための手巾。年中使用され夏季に限ったものではないが、夏に最も重宝することから夏の季語とされる。

例句 作者


よれよれのハンカチとなり夜となる 不破 博
ハンケチ振つて別れも愉し少女らは 富安風生
領巾振山にハンケチ振りて雲湧かす 成瀬櫻桃子
たはむれにハンカチ振つて別れけり 星野立子
ハンカチをいちまい干して静かな空 成田千空
ハンカチ一枚干す神の舌のように 寺田京子
人に振るハンカチいつか我に振る 中村正幸