ケンのブログ

日々の雑感や日記

神経衰弱の対処法

2017年10月05日 | 日記
谷崎潤一郎の細雪を読んでいたら神経衰弱への医師の
アドバイスとしてこんな記述があった。

夕刻に辻博士が見え、診察後しばらく悦子と問答などをして
神経衰弱という診断を下した。
そして、まず脚気を十分に治療する必要があること、
投薬に依ってでも食欲を促進させ偏食を直すようにすること、
学校は気分次第にして遅刻や早退させるのはよいが
全然学業を廃して転地療養等をするのは不可であること、
なぜなら精神があるひとつのことに向けられていると、
かえっていろいろな妄想を描く余裕がなくなるからであること、
興奮させてはならないこと、
わからないことを言っても頭から叱りつけず、
じゅんじゅんと説いて聞かせるようにすること、
等々を注意して帰った。

僕はもちろん医学の素人だけれどこの辻博士のアドバイスの
内容を読んで今でも十分に通用するひとつのひな型、手本のような
アドバイスだなと思った。
こういう医師のアドバイスの内容まで本当によく吟味して
書かれている。
やはり文豪と言われるような人はちょっと違うなと思う。

※新潮文庫から引用しましたが、仮名遣いは新潮文庫と異なります。