カラオケの店員さん

大阪のJ町で会社時代の先輩にあった。
カラオケに行った。
アクユウという作詞家の話になった。
「ピンクレディはアクユウとトクラシュンイチが手掛けて
ヒットしたんや」と先輩が言った。
「そんならピンクレディ歌おか」
と僕は言って渚のシンドバットを歌った。
「Nちゃんが歌うとピンクレディもクラシックみたいやなあ」と先輩が
言った。
先輩はホリウチタカオ、マツヤマチハル、ムラシタコウゾウそれに
僕の知らないご当地ソング、ムード歌謡の類いを
歌った。
先輩もマイクに声をのせるのがうまいと思う。
時間が来たのでお会計のところへ言った。
お会計の係りの方が「忘れ物はありませんか」と言った。
「ここで忘れ物ありますって言う人いるんですか？」と先輩が言った。
「でも忘れ物する人が多いんですよ」と店員さんが言った。
「それは困りましたねえ」と先輩が言った。
それから、和食、中華、洋食、何でも食べれるようなお店に言った。
最後に会計をしようとして財布を出したとき先輩の財布から
小銭が落ちたようだ。
先輩ははいつくばって机の下を探している。
僕もたまりかねてはいつくばって探した。
「小銭やから損害は最大でも１００円やからいいですよ」と先輩が言った。
結局１０円玉が探していた僕の目の前にあった。
それを先輩が見つけた。
「足元から鳥がたつ。近すぎて見えんかったわ」と僕が言った。
「何か落としたんですか」と店員さんが言った。
「いや、もう見つかりました。それに小銭やから損害は最大でも
１００円ですからいいですよ」と先輩が言った。
「でもその１００円が塵も積もればやから」と店員さんが言った。
「まあね」と先輩が言った。