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2010年のイ・サン文学賞を取った、パク・ミンギュ。
「朝の門」の日本語訳をもらったので、読んでみました。
ご覧のとおり個性的な見た目ですが、作品も個性的。
というか、3作読んで全部違う作風で、①と②のあまりの落差に面食らいました><
①아침의 문 「朝の門」
2010年 第34回イ・サン文学賞作品集より 大賞受賞作
ぐっすり眠って起きたさわやかな朝ではなく、眠らずに迎えた絶望的でどんよりした朝。ここに出てくる門はこの世の出口でもあり、入口でもあります。
取り扱っている社会問題は日本と共通なので共感できる部分もあり、主人公の住むオクタッパン(屋上に追加で建てた賃貸部屋)は韓国らしい風景を連想させます。
どんよりと曇って、ちょっと寒い朝に、最後に一筋希望(・・なのかな?)が差すストーリーです。
②딜도가 우리 가정을 지켜줬어요 * あえて訳しませんが
2010年 第34回イ・サン文学賞作品集より 大賞受賞者の自薦代表作として
生活に疲れたさえないセールスマンの話と思って読んでいると、奇想天外なエログロSFな展開に。
・・・・あ~、びっくりした~。
で、ちょっとばかばかしくてスッキリします。
③龍龍
龍龍
(ずれてない?龍を4つ四角くくっつけて1文字です)
2009年 第33回イ・サン文学賞作品集より 優秀作として
日本語だと「テツ」あるいは「テチ」でおしゃべりな様子を表すらしいのですが、この小説では4匹の龍=4人の不死身の武道の達人を現しています。
不老不死といっても「無学な老人」で60歳くらいの姿をキープ。
時代ごとに戸籍を作り直す、といったディテールの設定がすばらしいです。
主人公のじいさんは大天拳王キム・イルヘ、もう一人は青龍剣帝チェ・イルウといった具合にネーミングされていて、これって三国志?それとも北斗の拳??といった趣です。
「大義だの名分などといって戦う時代は終わった。戦うべき悪もない。」と嘆く姿は武闘派ですが、長生きしすぎて現代の行き方がわからない老人たちの活躍(?)には時代に相容れない全ての人が共感できるでしょう。
短編集が出ています。
たぶん、一言では表せない奥の深い~作家さんなのだと思います。
18作品もあれば、皆さん好きな作品があるんじゃないでしょうか。
食わず嫌いしないでぜひ。
どのお話のあらすじもおもしろそうで…
短編集、手に入れて読んでみようかしら。
「あなたたちの天国」読み終えました。やはり一応モデルになる人物がいたんですね。
自分では良いことをしている、と思っていても大きく見るとまったくそうではないことがある、と言うことですねぇ。
ところで、李箱文学賞=芥川賞=新人発掘だと思っていましたが、今年はコン・ジヨンでしたね。
ちょっと賞の性格が違うかな~??と思いました。
>Marieさん
素敵な2冊組み、表紙のマスクマンはご本人だそうですよ。
>ハーちゃん
「朝の門」にはもれなく②もついてきますから、ぜひ。
著者の自薦だし、一面的に見られたくないのかもしれませんね。