遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(350) 小説 優子の愛(2) 他 雑感八題

2021-06-20 12:31:30 | つぶやき
          雑感八題名(2020~2021.6.1日作)


 1  学ぶ 
       学ぶ という事は
       自己の特性を見極める行為
       自己の特性を見極める事なく    
       漫然と知識を詰め込む行為は
       根のない草木に水をやる行為

 2  キャンバス
       人の生は白いキャンバス
       そこに
       どのような絵を描き
       どのような色を塗ろうと
       自由だ

 3  教育
       教育とは
       土台も固まらず 総てが柔らかい時代に
       物事の基礎 基本を教え込み
       人が人の世を生きる上で必要な
       総ての要素を養い育む事
       子供の時代に放任し
       物事の基礎 基本も教え込まず
       大学での基礎勉強など
       論外 言語道断

 4  希望
       希望とは 人が生きる源
       命の保証書
       希望のある事は
       人の命の保証される事であり
       希望を失くした時 人は
       死への旅路を辿り始める

 5  在る
       この世に神仏はあるのか 
       無い
       在るのは
       人の心だけ
       心が
       神を生み 仏を生み
       鬼を生む 悪魔を生む

 6  念仏
       念仏とは何か
       心の中 意識の中に
       仏を埋め込む行為
       仏とは何か
       あまねく
       世の中を照らす存在

 7  生き方
       東風(こち)吹けば 西に傾き
       西風吹けば  東に傾き
       竹はしなやか
       柳に風と受け流す
       雪折れ 風折れ 柳になし
       大地に巡らす根があれば

       抗(あらが)えば 波立つ 川の流れかな

 8  小説
       街を造る作業

    詩 
       ビルを建てる作業





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          優子の愛(2)
               (前回の文章の中 二箇所
               入力ミスがありましたので訂正しました)


「いろいろ、考えてみたんですけど。でも、どうしても娘の結婚式に出席して戴きたくて」
「僕に ?」
「ええ」
「二十年以上も前に終わった事なのに」
 沖津は少なからぬ戸惑いと共に言った。
「はい。でも、あの時の子供が今度、結婚するんです。それで是非、お出で戴きたくて」
「しかし・・・僕なんかが行ったら、かえって迷惑なんではないですか」
 沖津はなお、戸惑いから抜け切れないままに言った。
「そうじゃないの。是非、来て戴きたいんです」
 なぜか、優子の言葉には必死な気配さえが感じられて沖津は、一層の混乱と困惑に捉われた。
「主人が亡くなってもう十年になるんです。それでわたし今、娘と二人だけなんです」
 優子は言った。
「御主人、亡くなったの ?」
 沖津は初めて知る事だった。
「はい」
「そうだったの」
 そう言ってから沖津は、
「じゃあ、お婿さんを迎えるんだ ?」
 と、親しみを込めて言った。
「いえ、出す方なんですけど、二人でマンション住まいをするらしいんです」
 優子は言った。
「そうですか」
 と沖津は言ったが、沖津にしてみればどうでもいい事だった。
 先日、優子から電話があったその夜、沖津は帰宅すると妻には内緒で結婚式への招待状を取り出して見た。その時、父親の名前のない事には気付いていたが、その事に特別の関心があるわけではない沖津にしてみれば、改めて拘る程の事ではなくて気にもしていなかった。二十年以上も前に優子が沖津との関係を断ち切って結婚した相手は、都内に幾つものマンションを持つ資産家だった。年齢が倍近い程に離れていて、それから思えば優子の「夫が亡くなった」という言葉も、あながち特異な事でもなく思えた。
 その夜、沖津は帰宅すると妻の道代に言った。
「結婚式の招待状の主が分かったよ。元、俺の課にいて今は大阪に行っている社員だった」
 それを聞くと妻は、
「やっぱり、会社の方でしょう」
 と、先見の明を誇るように言った。
「うん」
「主席するんですか」
「しようと思う。せっかく、東京で式を挙げるっていうんだから。明日、出かける時に返事を出そう」
 妻は沖津の言葉を露ほども疑っていなかった。
 沖津は優子との電話口では出席すると返事はしなかった。
 
 沖津は自身、なぜ、今は遠い他人でしかない優子の娘の結婚式に出席しようという気になったのか、その心理が自分でもよく分からなかった。無論、興味本位、などとという軽い気持ちではなかった。何かしら、必死さを感じさせる優子の気配と共に、自分の心に絡み付いて来るものを、沖津は感じ取っていた。それが何なのかは自分自身にも分からない。それでいて、心に絡んで来るものがある。その絡んで来るものに突き動かされた形で結婚式への出席を決めていた。
 考えてみれば何時も、優子に振り廻されて来た、という思いが改めて沖津の心に浮かんだ。今度の事にしてもそうだったが、過去に於いてもそうだった。思いも掛けない優子の言葉に振り廻され通しだった。ーー沖津の心にはそんな思いが浮かんだ。だが、それでいて何故か沖津には優子が憎めなかった。何処かしら、人を素直に寄せ付けないような奇妙な雰囲気があって、それが沖津に限らず、誰をも彼女から遠ざけるようなところがあった。奇妙な孤独の影、とも言えるようなもので、一度は誰もがその影に魅かれて吸い寄せられたが、それと共にまた誰もが、その不思議な影の近寄り難さに音を上げて離れていった。ーー沖津が優子との関係を深めるようになったのは、ただ、偶然の結果にしかすぎなかった。そして、それらの事柄からは既に二十年以上の月日が流れていた。



          三



 沖津が川田優子と最初に出会ったのは、大学の趣味のサークル「パーティーの会」での事だった。それは出会いとも言えなかった。二年後輩の優子がその会に入会して来た。沖津は特別、川田優子に興味を持つ事もなかったが、優子にはその頃から既に、人を惑わせるような独特の雰囲気があった。何処か愁いを含んだようにも見える優子の美貌が入会と共に、たちまち男子部員達の注目の的になっていた。月に一度行われるダンスパーティー、ディナーパーティー、ティーパーティー等の会場では必ず、何人かの男子学生達の輪が彼女のまわりに出来ていた。優子の何処か、孤独感を漂わせた雰囲気が男子学生達の気を惹いてやまなかった。誰もが簡単に友達になれそうな気にさせられるのだった。そしてまた、誰もが必ず、彼女の漂わす孤独感に満ちた影の前で立ち往生をさせられていた。優子といる時、その相手は誰もが、自分が優子の世界から締め出されているような疎外感を味わった。しばしば優子は、眼の前にいる相手を忘れでもしたかのように、ふと、遠くを見るような茫然自失の眼差をした。それは、喫茶店でテーブルを挟んで向き合っている時にさえそうであった。それがいつも相手の男性を戸惑わせた。男性達は誰もが優子が自分といる時間に退屈しているのではないかという思いの中で屈辱感を味わった。男性達はそうして次第に優子に近付かなくなった。
 だが、実際には優子はその時、その場に退屈していた訳でもなく、相手の男をないがしろにしていた訳でもなかった。優子の視線はその時、男達の存在を越え、その場を越えて、自身の見えない心の裡にそそがれていた。そしてそれは、優子が意識して、そうしている事ではなかった。優子自身の身の内に備わった独特の性癖とでも言えるようなものだった。





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            桂蓮様

            コメント 有難う御座います
            世の中の指導者達 これからは
            ますます仕事がし辛くなってゆく事でしょうね
             今回 ブログ 二篇 とても楽しく
            読ませて戴きました バレーと坐禅
            対極にあるようですが 物事の基本 本質
            そんなに変わらないものなのですね 動と静 
            人間の身体 意識の中では総てが
            繋がっているものなのかもしれません
             55歳になって
            人の品位 付け焼刃で出来るものではないですね
            人の心はそのまま 表に現れます
            心の中に何を持っているか 常に人は他人を
            見ています 油断は出来ません
             うぬぼれ要因 自覚がある以上 大丈夫ですよ
            自覚のない人間こそが恐ろしい 厄介ものです
             人間の品性 見た目や経歴などに
            左右されるものではないですね 心の有り様
            それこそが知らず知らず 表に出ます
            自戒したいものです
             何時も有難う御座います


            takeziisan様

            有難う御座います
            鬼のいぬ間は・・・・   
            軽妙な御文章 笑みと共に拝見しました
            ビリー ヴォーン 懐かしいですね
            この頃の演奏には良いものが多いです
            今の騒がしいばかりの音楽とは情緒が
            違います 小雨降る径 わたくしは
            高英男 芦野ひろし などよく聞きました
            当時が甦ります
            山羊 わたくしの小学校でも飼っていました
            当番があって 日曜日に当るとわざわざ
            小屋から出したり 入れたり 学校へ
            行かなければなりませんでした ひどく
            力が強く 引きずり廻される程でした
            川柳 相変わらずユーモアと皮肉 特権ですね
            野菜の収穫 新鮮な色を見るとなぜか
            心洗われる気がして野菜同様 新鮮な気分に
            なります
            今回も楽しませて戴きました
             有難う御座います
            
            

             
             

 
 
 


 
 
 
 
       

       

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