遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(353) 小説 優子の愛(5) 他 雑感 五題

2021-07-11 12:17:55 | つぶやき
         雑感四題(2021.6~7月作)


 1 人間にとって一番大切な事は
   日常があり 明日が期待出来る
   という事だ

 2 捉われるな 
   捉われれば 心は 動かない
   何事にも捉われない 空の 心
   その心はいつでも 自由に羽ばたく
   羽ばたく心は 自在に
   虚偽にも 真実にも 
   到達出来る

 3 理論や知識を通して 物を見ている限り
   物事の真実に到達する事は 出来ない
   物事の真実はいつも 理論や知識を越えた
   その向こう 奥にある

 4 真に深く物事を知る人は
   やたらに ぺらぺら喋らない
   喋れないのだ
   総て 物事の本質には
   一言では喋り尽くせない 真実が
   その奥深くに 隠されている
   物事の真実を知る それには
   その物 本体に触れ
   自身の身体 五感で感じ取る
   それ以外に 方法はない

 5 人が日々を生きる行為は
   人の命を繋ぐ という行為であり 
   それが どのような行為であっても
   人の命を生きる 人としての行為であれば
   そこに 価値の優劣は生まれない
   人の命を生きる 人としての行為の総ては
   それなりに貴重であり
   美しい



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           優子の愛(5)



 優子の夫は、仕事を兼ねて地方へ行く事や海外へ出向く事が多かった。
 その、夫の留守の間に優子は沖津との時間を重ねた。ふた月に一度、あるいは三月に二度などという事もあった。
 なぜかその時、沖津は優子の中に、単なる浮気心で自分に会っているとは思えない、深いものを感じ取っていた。優子の自分に寄せる愛の感情、といったようなもので、それが痛いほどに伝わって来て、沖津はしばしば混乱した。
 だが、そんな混乱の中でも沖津は、優子との愛を重ねれば重ねるほどにその時間が離し難い,貴重なものに思えて来て、深まる迷いの心のままに関係を続けていた。
 優子もまた、自分からは決して、夫と別れるという言葉は口にしなかった。沖津は優子との後ろ髪ひかれるような別れの時間の中で何度も、離婚をして自分と一緒になってくれ、と口にしようとしたが、その度ごとに優子の結婚の経緯(いきさつ)が心に浮かんで来て、その言葉を口にする事をためらわせた。事実、今現在、優子は恵まれた金銭的環境の中にいて、その点では何一つ不足はないようだった。
 沖津には優子との迷いの深い、この曖昧な関係が何処まで続いてゆくのか、何一つ、判断が出来なかった。ただ、漠然と続く二人の関係の中で沖津は、取り止めのない迷いと心の揺れを深めてゆくばかりだった
 そして、そんな二人の関係に突然、終止符を打ったのもまた、優子の方からだった。
「わたしのここを触ってみて」
 と優子は言って、ベッドの中で沖津の手を自分の下腹部に導いていった。
「なにか感じる ?」
 愛を交わしたあとの潤いに満ちた時間だった。
「別に ? どうして」
「赤ちゃんが出来たの。二ヶ月になるわ」
 優子は言った。
 沖津はただ虚を突かれ、呆然とした。
「もう、会えなくなるわ」
 優子は言った。
「産むの ?」
 沖津はそう言うり仕方がなかった。
「ええ」
 優子の言葉に揺れ動く思いは微塵も感じ取れなかった。
 おれの子供 ?
 沖津の頭の中には当然、その思いが走った。
 だが、その思いは沖津の頭の中ですぐに否定に転じていた。
 その子供が自分の子供だと思う事に沖津は、己惚れを思った。
 優子は人妻なのだ。優子が家庭で夫と過ごす時間は、ふた月に一度や三月に一、二度会うだけの自分との時間よりは、はるかに多く、長いのだ。優子との再会後、二人で過ごした時間は一年と少しの間に何度あったのか ?
 沖津には優子が身籠ったのが自分の子供だと考える事が不遜に思えた。
「そうーー。俺は、なんて言ったらいいんだろう。おめでとうって言ったらいいのかな ?」
 沖津は揺れ動き、混乱する思いの中でそれでも、冷静に言葉を選ぶ事が出来た。
「そう言ってくれると嬉しいわ」
 優子は言った。
「旦那さんは知っているの ?」
「ううん、まだ言ってない。出張中だし」
「子供が生まれると知ったら喜ぶんじゃない」
「そう思うわ。待っていたから」
「いい母親になれると思う ?」
「なれると思うわ」
「もう、会えなくなるのは淋しさいけど、でも、仕様がないね」
「怒らないの ?」
 優子は咎めるように聞いた。
「なぜ、怒らなければならないの ?」
「わたしが勝手だと思わないの ?」
「だって、仕様がないじゃないか」
 沖津は無力感の中で言った。
「そうね。仕様がないわね。何時でもあなたはそうなんだから」
「どういう事 ? 暴力をふるってでも、きみを俺のものにしろって言うの ?」
「そんな事、言わないわ」
「じゃあ、どうしろって言うんだい。いいかい、俺を振ったのはきみの方なんだぜ。そして、きみは今、金持ちの御主人と恵まれた毎日を送っている。それでいいじゃないか。きみの結婚が間違っていたなんて、俺に言えるはずがないだろう。俺には、きみが今している以上の生活をさせてやる事なんて出来ないんだから」
「わたしの結婚が間違っていたなんて思わないわ。わたしが進んでした結婚なんだし、今の生活を壊すつもりもないわ。結局、仕様がなかったのよ。それだけの事よ」
「なぜ、そんな言い方をするんだ。御主人を愛していないのかい」
「誰も愛してなんかいないわ」
 優子は投げ付けるように言うと身体を起こし、ベッドを降りた。
 そして、優子と再び会う事もなくなった。電話が掛かって来ないのも前回と同じだった。
 沖津は今回もまた、そんな優子をあえて追う事はしなかった。今更ながらに沖津は、優子に関しては今度の事でも自分の中には始めから、遠いものでも見詰めるような諦めにも似た気持ちの働いていた事を意識した。
 多分、優子は自分の身体の中に出来た自分の分身と共に、これからは落ち着いた家庭生活を送ってゆく事になるだろう。そして、沖津もまた初めて、自身の生活の安定を望むようになっていた。
 沖津が結婚したのは、それからほぼ一年後だった。その結婚と共に沖津の心からは、過去はほとんど消え去っていた。妻の道代がつくり出す家庭の温かさが沖津の心を和ませた。沖津は家庭の安定と共に、人が変わったように仕事への情熱を傾けるようになっていた。



           五


 招待のあった結婚式は十月の最終日曜日、都内のホテルで行われた。





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          桂蓮様

          コメント 有難う御座います
          新作 拝見させて戴きました
          感覚というのは大切ですね
          感覚は理論を越えます
          それにしても坐禅がエネルギーを
          造り出す 勿論 理解出来ます でも
          その面白さです じっと坐っているのに
          エネルギーが必要なのか そう考えるのは 
          とんでもない誤解ですね
          一点に集中する これは何事によらず
          膨大なエネルギーを要します
          内にこもるエネルギー 放出されるエネルギー 
          いずれにしても自身の中に生まれるエネルギー
          それを一番効率よく発散 発揮出来た時 人は
          大きな仕事が出来るのではないでしょうか

            御質問 有難う御座います
          魅力的な女性
           見た目ではないですね
           美人でもつまらない女性がいます
           見た目は今ひとつ という女性にも  
           思わず引き込まれるような人がいます
           そのの違いは何か ? 結局 人間性ではないで  
           しょうか 女性には男性には持ち得ない体内に
           命を育む事の出来る特権があります 命を育む
           という事は優しさ 繊細さ を必要とします その
           優しさ 繊細さ 思いやり その心に満ちた女性は
           男性に取っては魅力的ですね 男には持ち得ないもの
           を持っている 魅かれます
            男らしさ
           これは一も二もなく 強さでしょうね
           単なる頑強 屈強という意味ではなく 精神的強さ
           体内に命を宿す事の出来る女性を守り切るーー女性を
           単なる弱いものとして捉えるのではなく 一つの
           命を育む繊細な存在としての女性ーー
           その女性を守り切る精神的強さ 
           それを持った人こそが男らしい男と
           言えるのではないでしょうか 
           空威張りは男らしさではありません
            人間らしさ
           これは命の尊さを自覚する事の出来る知性を持つ
           その事に尽きるのではないでしょうか
           命の尊さを知らない人間 他者の苦悩を実感出来ない
           そんな人間は野生の動物と一緒です 
           他者を思い遣る心 それがあってこそ初めて
           人間だと言えるのではないでしょうか 人間は
           一人では生きられない 人の輪の中でしか
           生きられない その知性を持たない人間は
           人間の形をした動物にしか過ぎません
            上品な人 下品な人
           上品な人は他人の立場を思い遣る事の出来る人
           ではないでしょうか 自分をただ売り込む
           それだけの人間は上品とは言えません
           トランプ元大統領 あの人が良い例です
           どう見ても上品とは言えません ただ自分の
           我を通す 下卑た行動です 下品です
            人は六対四の立場で自分を保持する
           これが一番良いのではないでしょうか
           六を他者に四を自分に 人は控え目である方が
           美しく見えます かと言って 控え目であり過ぎる
           これもまた いけません 他者に無視される
           危険性もありますし また 見苦しく見えたり
           他者に不快な感情を抱かせる場合もあります
           何事も過ぎたるは及ばざるが如しで その兼ね合いを
           旨く捕らえ得る知性を持った人 そんな人が上品に
           見えるのではないでしょうか
            以上 勝手な思いを並べ立てましたが
           わたくしの認識はそのようなものです
            桂蓮様はどのようにお思いでしょうか 改めて
           良い勉強をさせて戴きました
            いつもつまらないブログにお目をお通し戴き
           感謝申し上げます 有難う御座いました



           takeziisan様

           有難う 御座います
           今週もまた 楽しませて戴きました
           相変わらずの美しい写真 クスッと笑える川柳 
           それにしても川柳 天使も歳を取るんですかね
            二年前とさして違わない世の中 人間の力 存在
           など 小さなものだと つくづく実感させられます
            遠野 何時見ても懐かしい風景です 遠野物語が
           自ずと浮かんで来ます
            雑草の山 それにしても・・・よく体力が続きます
           ドクダミ 八重 初めてです この白い花が好きで
           庭に咲くのを放置していますが 終わると即座に
           引き抜いてしまいます 蚊の群生場になりそうな
           気がして
            「月光価千金」わたくしに取ってはやはり
           エノケンです 「エノケン ロッパ」喜劇王
           エノケンは早くに亡くなりましたが ロッパは 
           日劇の前で出会った事があります 
           一口に喜劇俳優とは言えない知性が感じられて
           感じ入った事を覚えています
            それにしてもこうして拝見させて戴けるのも
           週に一度の短い時間なので あれもこれも と
           思っているうちについ 失念してしまうものが
           あります 先日も広沢虎造の浪曲を拝見して
           懐かしいな と思い 春日井梅鶯が千葉県房州の   
           出身であった事から ちよっと得意に思った事などを
           書きたいと考えたのですが、失念してしまいました
           梅鶯の「赤城の子守唄」三門博の「唄入り観音経」  
           綾太郎の「壷坂霊験記」など 昔の人達の芸には
           重みがありました 
            何時も懐かしい映像 楽しく
           拝見させて戴いております
            有難う御座いました