遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(430) 小説 私は居ない(4) 他 孤影は深く

2023-01-15 13:21:56 | つぶやき
          孤影は深く(2023.1.12日作) 


 今宵また
 独り 静かな眠りに入ろう
 総ては
 遠い日の出来事と化した人生
 砂山に咲く
 白い花を唄った 
 遠い あの日のラジオ歌謡を
 心に描きながら
 懐かしきあの頃 あの日々を
 夢の中で探そう
 今は ただ 唯一
 至福の時間となった眠りの中
 今宵もまた 楽しかりし日々
 苦悩 悲しみ 怒り 淋しさ に満ちた
 あの時 あの頃 あの日々を
 夢の中で生きるのだ
 残り少ないわたしの人生
 昨日 あの人が逝った 今日はこの人・・・・
 長く生き 歩んだ末の
 残された時間 
 孤影はいよいよ色濃く 深く
 わたしの日々
 残された人生 時間を彩り
 包む
 




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            私は居ない(4)



 
 私はだが、そのまま素直に女の言葉を聞き入れる事は出来なかった。
 まず、私の心に浮かんだのは、偽物ではないか、という警戒心だった。
 私の家の財産を知る者の、あわよくば何がしかの利に与ろうとする魂胆ではないか。
 私は女への胡散臭い思いと共に、多少の反発心を抱いて言った。
「〆香なら死んでしまってますよ」
 だが、女は私の言葉を聞くと意外な事を聞くという風な、呆然とした表情を見せ、私の顔を見つめて言った。
「〆香が死んでいる ?」
「ええ」
「誰が・・・どなたが、そんな事を言ったのですか ?」
 女の表情には、満更、演技ばかりでもないといった真実感がこもっていた。
「確かな、その筋の人です」
 私は言葉を濁して言った。
「その方が〆香が死んだって言ったのですか」
「そうです」
「三十数年前に東陽町に居た〆香ですよ」
 女は更に、問い詰めるようにして聞いて来た。
「そうです」
「いったい、誰がそんな事を言ったのでしょう。宜しかったら、お教え願いませんか ?」
 女の何処か真剣な様子と共に私は、別段、この事を口にしても川万の元女将という老女に迷惑の掛かる事もないだろう、という思いに捉われて、私自身も女の何処となく真実味の溢れた様子に興味をそそられ、事実を口にしていた。
「〆香が居た置屋の当時の女将が言ったんです」
「川万のですか ?」 
 女は澱みなく川万という言葉を口にした。
「ええ」 
 すると女は、
「あなたは誰かに嘘をつかれているのです。川万の元女将は二十五年も前に亡くなっています」
 と、はっきりとした口調で言った。
「川万の元女将が亡くなっている ?」
 今度は私が驚いた。
 私はこの時になって初めて、女が偽者の〆香だという確信を抱いた。
 事実、私は川万の元女将にこの間、会ったばかりではないか !
「あんたは一体、何を企んでるんです。私はついこの間、川万の元女将という女性に会っているんですよ。その人が死んでるなんて、よく、そんな見え透いた戯言(たわごと)が言えますね。私を騙そうとしても駄目ですよ」
 私は多少の腹立たしさを込めて強い口調で言った。
 その強い私の口調を受けて女もいささか気持ちを昂ぶらせたようで語気を強め、
「いいえ、わたしは何も企んでなんかおりません。本当の事を申し上げているだけで御座います。川万というと、あの東陽町と坂町の間に流れる川の橋のたもとにある置屋ですよ」
 私の言葉を問い質すようにして言った。
「そうです。そこの、もう七十歳を超えていると思われる元女将が言ったんです」
「あなたは誰かに騙されています」
 女の口調はきっぱりしていた。
「じゃあ、伺いますが、あなたは〆香だと言う。その〆香だという、確かな証拠となるような物は持ってますか ? 持っていたら見せて下さい」
 私は堂々巡りのような会話に嫌気が差して来て、けりを付けるような思いで聞いた。
「わたしは、あなたのお父様の事をよく存じております」
 女は自信に満ちた口調で言った。
 それを口にする表情には誇らしげな様子さえが窺えた。
「どのような事です ?」
 私は意地悪く聞いた。
「どのような、と言われましても・・・・。お父様に付いてはいろいろ、思い出が御座いまして一口には」
 女は心底、父を偲ぶかのような愁いと懐かしさを込めた口調で呟くように言った。
 その様子に私はふと、女が満更、嘘ばっかりを言っている訳ではないのでは、という思いに捉われていた。
 自身の出自への興味と共に私は改めて、この女に話しを聞いてみるのも悪くはないと思うようになっていた。




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           桂蓮様

            新作 二篇 拝見しました
           死への思い 日常への感謝 コロナに係わらず
           病気はいろいろな事を考えさせてくれますね
            死は炭素に還るだけ 死に上下 隔てはない
           禅の世界はそれを見抜いていますよね 日頃 坐禅に励んでいらっしゃる
           こんな時 心の支えになるのではないでしょうか
           禅の世界が お書きになっていらっしゃる事から見えて来ます
            体力の衰え 一週間も運動をさぼると体力の低下はてきめんに現れます
           わたくしも年代わりの一週間程 何もしないでいたら
           筋力が明らかに落ちています 何事に付け 身体を動かす事は大切なようです
           バレーのレッスン 苦闘している御様子が眼に浮んで来ます
           生きるという事は楽しい事も辛い事も相交えてごっちゃの世界
           以前 文章の中で書いた事がありますが ある方が
           病気になり 生きるって言う事は辛い事だな と呟いた時
           五歳だったかのお孫さんが 生きているから楽しい事もあるんだよ と
           お爺ちゃんに言ったそうです
           この言葉はいい言葉ですね
           喜怒哀楽 ない交ぜの世界 それが人が生きる という事では
           ないのでしょうか
           それであるからこそ せめて人は人の心を傷付けないように 
           生きてゆきたいものです
            世間にはバカな人間が多いもので その最たるものがプーチン
           この愚か者のために何人の 命を失くさなくてもいい人間が
           命を失くしていったことか !
            心が痛みます
            体調の優れない中 いろいろお気遣い戴き
           有難う御座います
           一日も早い元の日々への復帰 願っております 
            英文が無くても面白く御文章を拝見させて戴いております
           何時も有難う御座います



            takeziisan様


             新年の御挨拶 有難う御座います
            今年もtakeziisan様に取って良いお年でありますと共に
            一層の御健康と御活躍を念じております
            どうぞ 宜しくお願い致します それこそ
            キョウヨウ キョウイク 大切にしなければと   
            改めて思います でも 年齢を重ねると キョウヨウ キョウイク
            だんだん希薄になってしまって 心しなければと思います
            成人の日 これなども今では本来の意味が希薄になり 
            お飾りとしか思えません それこそバカモノ達の騒ぐ場ですね
             ラララ川柳 面白いでわたくしも後ほど挑戦してみたいと思います
               2012年川柳 失礼ですが 現在の実力からすると
            明らかに違いが見えます 面白いものですね
            ただ 言葉を並べる作業でも 初心と練達ではこれ程違いが出る
            改めて感じ入ります
             何もせず 何も起こらず 年が暮れ
            一番いい事ではないでしょうか
            それにしても 人の命は分からないものです
            タクシーで帰る・・・・
             わたくし自身 年齢と共にとても用心深くなっている事に気付きます
            若い頃の無茶無謀はもう出来ません
             九十歳になったフジ子・ヘミング 昨年暮れ
            NHK番組で放送していました まだ元気で演奏出来るだけでも
            素晴らしいと思います
             「ひっちゃく」わたくしの地方でも使いました
            方言の一覧 同じような言葉が案外多い事に何か親近感のような感情を覚えます 
            この一覧表大切にして下さい また 雪に埋まった景色
             以前にも似た景色を拝見した記憶がありますが 雪国育ちではない自分が         
            この景色に懐かしさにも似た感情を抱くのは何故なのか
            不思議な気がします
             山岳国日本の原風景とも言える風景なのかも知れません
                                    
            何時もわたくしの退屈な文章にお眼をお通し戴きその上
            感謝の気持ちを記しただけの文章を大切に扱って戴く・・・・・
             改めて御礼申し上げます
             有難う御座います