遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(443) 小説 いつか来た道 また行く道(3) 他 神とは

2023-04-16 11:58:03 | つぶやき
            神とは(2022.4.16日作)


 神とは
 人それぞれの中に
 自ずと生まれ
 眼には見えないが
 人の心が 育むもの
 説教などで 押し付けられる
 神など 神ではない
 全知全能 そんな神など
 存在しない
 道端の 一つの石
 田圃の畦道 そこに立つ
 一本の柳の木 
 神は そこにも宿る 存在する
 ましてや 神の存在に
 金銀 財宝など
 必要ない
 神に 必要なもの
 人の心 信じる心
 自身の心が生み出す神
 自身の心を託す事の出来る 物 
 その存在こそが 真の神
 真実の神





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           いつか来た道 また行く道(3)



 わたしは彼を店から連れ出す時に使った金に加えて、更に店で使っていた分に近い金額をも彼に渡した。
 一晩で二十万に近い金が使われた。
 彼が店に出る前に連絡しさえすればよかった。
 何時でも好きな時に会えた。
 彼はそれでもわたしの生活に侵入して来る事はなかった。
 わたしが仕事で忙しい昼の時間帯に夜の仕事の彼は、マンションの自分の部屋で眠っていた。
 わたしに取っては、そんな二人の生活環境はこれ以上にない組み合わせのように思えた。その上、彼はわたしの仕事に関してもまるで関心がないかのように尋ねる事もなかった。
 無論、彼もわたしが幾つものブテックを経営している事は知っていた。
 それでいて彼が、そんなわたしの生活環境に踏み込んで来る気配さえ見せない事にわたしは、彼の職業意識の高さを見る思いがして、一層の好感情を抱いた。
「どうしたの、それ ?」
 初めて会った夜から中沢の左腕には、白いサポーターが巻かれていた。何度、夜を重ねてもそのサポーターの外される事がなくてわたしは、幾分、気持ちも打ち解けて来た頃に、如何にも不自由そうにシャワーを使っている彼に聞いた。
「ああ、これ ? 子供の頃に傷めた関節のずれが慢性化しちゃってサポーターが外せないんだ」
 彼はわたしの顔に視線を返してから、顔色一つ変えずに言った。
「シャワーを使う時ぐらい外せないの ?」
「取ると関節がずれちゃって力が入らないんだよ」
 彼に取っては既にそれが当たり前の事で、気にもしていないかのよう言った。
 そのサポーターが、注射の跡を隠す為のものだと分かったのは偶然からだった。
 外で会うようになってから五カ月近くが過ぎていた。
 その夜の中沢は珍しく無防備だった。少し、深酒をしたせいかも知れなかった。
 それとも、何度も同じような夜を過ごした馴れによる、気の緩みがあったのか ?
 ベッドの上の乱れた上掛けから彼の裸の上半身がのぞいていた。
 これまでにも、同じような事は何度かあったが、左腕のサポーターがずれているのは初めて眼にする光景だった。
 サポーターの下には更に、白い包帯が巻かれていた。
 それも僅かに緩んでずれていた。
 注射の跡は始め、枕元の暗い灯りの中で黒いシミのように、僅かにわたしの眼に映っただけだった。
 それでもわたしはその時、何故か不穏なものを感じ取って、おやッ、と思っていた。
 わたしには麻薬の知識はなかった。
 注射の跡さえ見た事がなかった。
 それでいながらわたしはその時、何故か咄嗟に、不穏なものを感じ取っていた。
 おそらく、わたしの防衛本能の為させる業に違いなかった。
 わたしの胸は早鐘のように打った。
 わたしはその時既に、それが麻薬注射の跡だという事を全く疑っていなかった。
 週刊誌か何かで麻薬に関する記事は何度か読んでいて、そういうものか、というぐらいの知識は持っていた。
 どうしよう、どうしよう、わたしはわたしの気配にも気付かずぐっすりと眠り込んでいる中沢の傍らでただ、おろおろするばかりだった。
 そのうち、中沢がわたしの気配に気付いたかのように、突然、身体を動かして寝返りを打った。
 わたしは慌てて、片肘をついて中沢の顔を覗き込んでいた姿勢からベッドに身を戻し、眠ったふりをした。
 中沢は眼を覚ました訳ではなかった。
 再び、深い眠りの吐息を吐き出した。
 その夜、わたしはそれ以上、眠る事が出来なかった。
 じりじりとする長い時間だった。
 翌朝、中沢が眼を覚ましたのは五時頃だった。
 わたしは彼の目覚めに気付くと眠ったふりをしたまま、様子を窺うために少し体の向きを変えた。
 彼はわたしのそんな動きを気にする様子はなかった。そしてすぐに彼は、自分の腕のサポーターのずれている事に気付いて瞬間、息を呑む気配を見せた。
 慌てたように彼はわたしに視線を向けるとずれているサポーターを引きずり上げた。
 枕元の暗い灯りがそんな彼の一部始終をわたしの眼に投じさせていたが、薄眼を開けてまつ毛の間から彼の動作を見守っていたわたしの視線には、彼は気付かなかった。
 わたしの動かない様子を見ると彼は安心したようにベッドを下りて急いだ様子でシャワー室へ向かった。
 戻って来た時には、左腕の白いサポーターはきっちりと元の位置に戻されていた。黒いシミの跡は隠されていた。
 わたし達は何時もと同じように夜明け前にホテルを出た。
 何時もと同じように別れた。
 わたしはだが、自分が居るマンションへ向かうタクシーの中で、何時ものような幸福感に酔う事が出来なかった。
 突然に変わった局面が黒い感覚を伴って重苦しくわたしの心にのしかかって来た。
 これからわたしはどうしたらいいんだろう ?
 中沢栄二とは二度と会いたくなかった。
 出来れば彼の存在を過去をも含めて、わたしの世界から抹殺してしまいたかった。
 麻薬常習者の彼・・・・?
 そんな男と付き合っていたら、わたし自身がどうなってしまうか分からない。
 わたしは、わたしの身に黒い噂が立つ事はどうしても避けなければならなかった。
  たとえ、彼の麻薬が遊び半分のものであったにしてもだ !
 高校卒業以来、一人で東京へ出て来てようやく手にした現在のわたしの地位だった。< 女性経営者会議 >の会員にもなれて、経営者としてもようやく世間に認められるようになっていた。
 そんなわたしの現在を、危険に陥れるような事は絶対にしてはならない のだ!
 世間から後ろ指を差されるような麻薬常習者との関係など、断ち切ってしまわなければならない ・・・・。 
 それには、どうすればいいんだろう ?
 中沢栄二との関係は最初は<ブラックホース>という得体の知れない店を通しての客と店員との関係だった。しかし、今度の場合、それで済まされるか、という事だった。
 そこに愛情関係はないにしても、既に二人だけの密約の世界が築かれていた。事柄はそれ程、単純に済まされるようなものではなかった。
 取り敢えずは、中沢栄二への電話は控えなければならないが、それで彼が納得するだろうか ?
 麻薬常習者の彼が金欲しさから付きまとって来る事はないか ?
 わたしは自分の眼の前が全くの暗黒に覆われている事を自覚せずにはいられなかった。

 わたしが気持ちを取り直して、中沢栄二に電話をしたのは二週間程が過ぎてからだった。







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             桂連様

              苦痛の中 よくブログを載せられました
             意識をそらす 何事もあまり拘ると事態を悪化させるようです 
             御文章に納得です
               バレーも退屈な人生の中での一つの楽しみかも知れませんが  
             趣味として楽しんで 余りのめり込まないようにして下さい
             身体を悪くしてしまっては 元も子もありません
             でも 楽しい趣味はやっぱりそれに携わっていないと
             日々の生活が物足りない よく分かります
             一日も早く お元気な御報告の御文章の拝見出来る日を楽しみにしております
              有難う御座いました
             くれぐれも御大事に・・・・

    


               takeziisan様

                今回も様々な花の様子 堪能させて戴きました
               正に春爛漫 でも この良い季節もあっという間に過ぎて逝きます
               人生と同じですね
                ネギ畑の雑草 なんと無遠慮な輩 御苦労が想像出来ます
               二時間で限界 理解 実感出来ます
               ネギボウズが食べられる 新鮮な驚き でも考えてみれば
               当たり前の事かとも
               一度食してみます
                カロライナジャスミン わが家ではハゴロモジャスミンが今 満開です
                強烈な甘い香りが何処に居ても漂って来ます
               秋の金木犀と共に至福の時を与えてくれる香りです
               それでも ジャスミン 余りに強烈過ぎて頭が痛くなるような感覚にも捉われます
                伸脚 屈伸・・・分かる 分かる でも日頃の散歩歩数は・・・
               見事なものです 数日前 新聞に一日 七千歩だったか      
               歩く人は長生き出来るというような記事がありました
               ふと takeziisn様の姿が脳裡に浮かびました
               どうぞ御元気でこれからも続けて下さい
                アルハンブラの思い出 好い曲ですね    
               十指に入る好きな曲の一つです
                ふるさとのはなをしよう 
               当時を思い出します わたくしもこのごろしきりに故郷の事
               若き日々の事を懐かしく回想するようになりました
               既に先の限られた人生 そうしてもう一度
               あの頃の日々を生きているのかも知れません
                どうぞ これからも美しいブログが何時までも続きますよう
               御健康でいて下さい
                有難う御座いました