禅の世界(2023.3.10日作)
現実は理論では動かない
禅の世界では
青山 湖上を走る
橋が流れて 川が止まる
と言う
世の中 すべからく
現実を見る眼が必要
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柳は緑 花は紅
山は高く 川の 流れは長い
この根本は いつの世も
常に変わらない それを
どう見るか どのように
心に捉え 刻むか
それにより
柳は緑 花は紅
山は高く 川の流れは長い
この世界が 深くも 浅くも
なって来る
世の中 この世界の真実は常に
一定 不変 それを見る
人の心によって 世界は
動く 変わって来る
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いつか来た道 また行く道(6)
封書には中沢とだけ署名があった。
名前も住所も書かれていなかった。
わたしはこの封書が中沢栄二からのものだとすぐに察知すると、彼への激しい憎悪に捉われながら乱暴に封を切った。
中から出て来たものを眼にしてわたしは気を失い兼ねない程の驚きに捉われた。
おびただしい枚数の写真の数々だった。
そのどれもがわたしと中沢がベッドの上で絡み合っている裸の写真だった。
中にはわたしの顔がまともに写し出されているものもあった。
わたしは思わず手の中でその写真を破り捨てていた。
次から次へとわたしは手の中の写真を破り捨てていった。
これらの写真の撮られたホテルは大体が想像出来た。
どのように撮られたのかはまったく思い描けなかった。
何処かに盗写用のカメラが据えられていたに違いない。
でも、何時仕掛けたのだろう ?
あるいは、ホテル自体がそういうホテルだったのだろうか ?
何枚かも分からない写真の数々はわたしの手の中で、それが写真だという形体さえ分からない程に細かく切り裂かれた。
わたしはそれらを足元の屑籠に投げ入れると、最後に残った手紙を手に取った。
そこには小学生が書いたのかとも思われるような乱暴な文字が書かれていた。
< 二人の記念の写真を送ります。もし、ぼくに会えないのなら、この写真を買ってください。まだ、ほかにもいろいろあるので、くわしい事は会ってくれれば話します >
翌日、早速、中沢から電話があった。
「写真、見てくれた ?」
「あなた、ずいぶん卑怯な人ね」
わたしは怒りを抑えた声で静かに言った。
中沢は電話の向こうで静かに笑った。
ほくそ笑んでいるかのようだった。
わたしは新宿歌舞伎町のコマ劇場裏にあるバー <ダイヤル・M>で会う約束をした。
わたしが記憶している<ダイヤル・M>は、十人程が座るといっぱいになるカウンターと四つの椅子席があった。
まだお金がなかった頃によく足を運んだ店だった。
十数年ぶりで入った店はすっかり変わっていた。
馬蹄形をしたカウンターが店内の全部を占めていた。
若者の姿が多かった。
わたしは人目に付かない事を願って右隅の一つの椅子に座を占めた。
中沢栄二は午後十一時の約束の時間かっきりに入口の扉を開けて入って来た。
店内は客の姿がまばらになっていた。
中沢はすぐにわたしの姿を見付けると、アアーッ、という顔をして微笑みを浮かべた。
わたしはカウンターの奥の壁一面をおおった鏡の中で彼を見ていた。
彼はわたしがまだ、気付かないと思ったらしかった。すぐにわたしの背後に来て、如何にも親し気な様子でわたしの肩に手を置いて、
「こんばんわ」
と言った。
わたしはブランデーの入ったグラスを両手でつつんでカウンターに肘を付き、顔だけ彼に向けた。
「こんばんわ」
わたしは言った。
感情のない声だった。
わたしに取っては、戦闘開始の合図のようなものだった。
中沢はすぐにスツールを引いて隣りの席に腰を降ろした。
「ばかに地味造りだったから、違う人かと思った」
腰を落ち着けた安堵感の混じったような皮肉めいた口調で彼は言った。
わたしは彼の言葉には答えず、両手に包んだブランデーのグラスを口元に運んだ。
二十代後半と思われるバーテンダーがすぐに中沢の前に来た。
「ウイスキー、ロックで」
中沢は愛想よく言った。
わたしはそんな彼とは関係がないかのように、カウンターの奥に並んだ様々なボトルやグラスを映している鏡の中を見詰めていた。
その鏡の中に映るわたしは、まるでわたしとは関係のない赤の他人のように見えた。
化粧を落とし、イヤリングを外して、首まで埋まる朽ち葉色のセーターをざっくり着こんだ中年女、それを見詰めているわたしーー。
二人の女がそこに居た。どちらも自分であり、自分ではないかのようだった。
真実のわたしは何処に?
わたしが何時も鏡の中に見詰めるのはブティック経営者としての杉本美和だった。
身だしなみの見事な魅力に満ちた女性だった。
やや細めの顎、引き締まった両の頬、豊かな眼、そして細い鼻筋、華やいだ化粧が何時も一際くっきりと、その個性を浮き立たせていた。
ともすれば他人にはそんなわたしが冷たく見えて、近づき難い印象を与えていた。
それに加えて、わたしの強い性格がなおさらに、人々を遠ざけるような効果をもたらしているように思えた。
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桂連様
お身体不調の中 退屈な文章にお眼をお通し戴き御礼申し上げます
今回 新作が見えなかったので過去にも拝見しました作品を拝見しました
わたくし自身 今回 禅に付いての文をまとめて見ましたものですからーー
他人の悟り
悟りは人によって異なる
花は何一つ同じ花はない
まさしく禅の世界です
いい御文章でした
良い文章というものは何度読み直しても飽きる事がなく
読む度ごとに心に触れてくるものです
どうぞ お身体全快の折りにはまた このような御文章をお寄せ下さいませ
お身体の具合いは如何ですか
くれぐれも御無理をなさらぬようにして下さい
有難う御座いました
takeziisan様
今週も楽しませて戴きました
珍しい花々 野の花々の世界の奥の深さ 驚くばかりです
この豊かな世界 大切にしたいものです
小判草 一見 イモムシ 気味悪いようでもあり金色の小判のようでもあり
面白く拝見しました
初めて知る花です
きぬさや 新鮮 雑草 でも よく見ればどれも花はきれい
捨てたものではないですね ただ 農作業には大敵
畑地で汗だく 近所の井戸水・・・なんだか 子供の頃の田舎の情景が蘇って来ます
懐かしい風景です
茶摘みの景色 懐かしい景色 あの作業着 センスがいいですよね
美しい景色です それも最早 懐かしの景色 今は機械が一気に・・・
川柳 ゴミ屋敷・・・ わが家
八十すぎて ノーサンキュ・・・ このあいだ 用事で電車に乗り
行きと帰り 二度 席を譲られました
行きは丁重にお礼を言い なんとか断りましたが
帰りは混雑の中で断りきれず 座る羽目に・・
譲られながらなんだかプライドが傷付けられたようで
複雑な気分でした
もう二度と混雑した電車には乗りたくないと思った次第です
トビ 房州へ旅行した折り 旅館の窓から見た夕闇の中
しきりに海の上を飛びまわるトビの群れを見た事が強く印象に残っています
夕闇が濃くなるにつれ 一羽また一羽と近くの森の中へ姿を消してゆき
やがて一羽も見えなくなった海の上の光景が鮮やかに眼に残っています
こんな何でもない光景が実は なんとも言えない美しさを持っているのですね
和製プレスリー小坂一也 ステージで見ましたが
プレスリーの迫力には今ひとつ なんだこんなものか と
思った記憶があります
今回もいろいろ楽しませて戴きました
有難う御座いました