おかしな話だ(2023.5.6日作)
Ⅰ 辞書によれば
貢献するとは 貢ぎものを捧げる
あるいは その捧げ物とある
貢献-ー物事や社会に力を尽くし
良い結果をもたらす事 そこに
貢献-ー物事や社会に力を尽くし
良い結果をもたらす事 そこに
人 人の心 意志 精神性 の
感じ取れる行為を指す言葉
今の世の中 やたらに 貢献
この言葉を使いたがる
風が貢献して船が動いた
雨が貢献して作物が稔った
風や雨 自然が引き起こす現象
人の力ではどうする事も出来ない事象
言わば 物質的 無機質的現象 そこには
捧げる という意志も 精神性もない ゆえに
この場合 風や雨の力が寄与して と言うべきところ
それを今は やたらに 貢献という言葉を使いたがる
しかも 新聞 放送 その分野で
一流と思われるマスコミ関係者までもが
臆面もなく この言葉を使っている
おかしな話だ
2 予想ーー結果を心に思い描き推し量る
想定ーー思い定める 考えを巡らし仮に決める
この二つの間には明らかな違いがある
それを今は混同して なんでもかんでも「想定」
この二つの間には明らかな違いがある
それを今は混同して なんでもかんでも「想定」
という言葉を使う
予想 想定 この微妙な違いを理解出来ない人の
如何に多い事か !
おかしな話だ
3 今の現状
現状とは 只今現在 眼の前にある状況
現在の有り様
「今の状況」これが正しい使い方
「今の現状」ーー「馬から落ちて落馬した」
これと全く同じ言い方
知識人 いわゆる知識人ー(この言葉のなんと厭な響き)までもが
平気で「今の現状にかんがみ」などと使っている
おかしな話だ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつか来た道 また行く道(7)
今日、わたしは事務所の終業時間の六時になると遣りかけの仕事も放り出して帰宅した。
中沢栄二に会うためだった。
自宅へ帰ったわたしはシャワーを浴び、化粧を落として髪まで洗った。
普段のわたしとは別のわたしになる為だった。
鏡に向かったわたしは、目尻の皺も皮膚のたるみも隠そうとはしなかった。誰が見ても一目でわたしとは気付かないようにする為だった。
人目を避ける意味でわたしは、夜も遅い午後十一時を中沢と会う時間に指定した。
若いバーテンダーは中沢栄二にオンザロックを出すと離れて行った。
彼が再びわたし達の前に来る事はなかった。わたしと中沢との間に流れる不穏な空気を敏感に感じ取っていたらしかった。
中沢はポケットから煙草の箱を取り出すと一本を抜き取り、わたしに差し出した。
わたしは黙ったまま小さく首を左右に振った。
中沢はその煙草を口に咥えるとライターを取り出し、火を付けた。
吸い込んだ煙りを天井に向かって大きく吐き出した。
彼もまた、そうして気持ちを静めているのかも知れなかった。
空いた右手でオンザロックを手元に引き寄せると中沢はわたしに視線を向けて、
「驚いた ?」
と聞いた。
「なぜ、あんな事をしたの ?」
わたしは彼に横顔を向けたまま、怒りを抑えた声で静かに言った。
中沢栄二は悪びれる様子もなかった。
「これも生活の為なんだ」
と、まるで他人事のように言った。
「これまでも何人もの女(ひと)にこんな事をして来たの ?」
わたしは言った。
「そんな事はないよ。でも、女の人は気まぐで、何時、心変わりをするか分からないから」
と、以前と少しも変わらな穏やかな口調で彼は言った。
「誰が撮ったの ? 何処で撮ったの ?」
「それは言えない。言える訳ないでしょう」
「ベッドの様子から大体、見当は付くわ」
「訴えるの ?」
彼は面白そうにわたしを見て言った。
「訴えるって、何処へ訴えればいいの」
中沢は思わず笑い出した。
「そうだね。訴える所なんてないものね。でも、警察や弁護士なら秘密にしてくれるかも知れないよ。ホストクラブの店員と寝て、写真を撮られたって言えば」
わたしは怒りが込み上げた。
弄ばれているような気がした。
「でも、そんな勇気はないでしょう。それとも暴力団を雇ってぼくを消して貰う ?」
「警察に訴えるぐらいの勇気はあるわよ」
わたしは 彼の弄びに対抗するように怒りを込めた強い口調で言った。
中沢はまるでからかうかのように驚いた様子を見せて首をすくめた。
何時もの優男という印象は何処にもなかった。
ふてぶてしくさえ見えた。
「じゃあ、やってみる ?」
彼は言った。
「ええ、やってみるわ」
「面白い。だけど、そんな事をしたら杉本美和の面目は丸潰れだよ。ぼくなんかこんな風だからどうなってもいいけど、マスコミに写真が流れたりしたら今日まで築き上げて来た<ブティック・美和>の総てが台無しになってしまうよ」
中沢は言った。
「いいわよ。あなたに脅迫されるぐらいなら、よほど、その方が増しよ」
「それならやってもいいよ。ぼくは止めないし、何も言わないから。ただ、写真とネガはいっばいあるんで、ぼくの方としてはマスコミに売り込む事は何時でも出来るんだ」
わたしは身のふるえる思いがした。
出来事の根の深さを思わずにはいられなかった。
「ーーその写真、幾らで買えって言うの ?」
わたしは聞いた。
「別に、買って貰わなくてもいいんだ。今までのようにお小遣いが貰えさえすれば」
そう言ってから彼は、
「どうして、急に気が変わっちゃったの ?」
と聞いた。
「自分の胸に聞けば分かるでしょう」
わたしは言った。
「ぼくの腕を見たんでしょう。それで、ぼくが怖くなったんでしょう。もしもの事があって、ぼくが警察に捕まったらスキャンダルになると思って、怖くなったんでしょう」
図星だった。
わたしには返事の仕様がなかった。
中沢はわたしが無言でいる事で、自分の言葉がわたしの中で何らかの効果を持ち得た事に満足したかのように、短くなった煙草を口に運ぶとまた天井に向かって煙りを吐き出した。
わたしはそんな彼の傍に居る事が急に苦痛になって来て、一刻も早くこの場を立ち去りたい思いに捉われた。
「一体、その写真、幾らで買えって言うの ?」
再びわたしは聞いた。
彼は途端に興味を見せて乗り気になったようにわたしを見ると、
「一千万円・・・でどう ?」
と言った。
「バカな事を言わないでよ。そんなお金ある訳ないでしょう」
腹立たしさと共にわたしは言った。
「<ブテック・美和>の社長にそれぐらいのお金がない訳ないでしょう」
彼は言った。
「あなたに遣るお金なんかないって事よ」
「じゃあ、写真はどうする ?」
「どうにでもすればいいわ。好きなようにすればいいわよ」
「マスコミに流してもいい ? マスコミは飛び付いて来ると思うけど」
「いいわよ。その代わり、あなたも警察に捕まるわ」
「そんな事は平気さ。ぼくの一生がそれで終わってしまう訳ではないし、それに比べたら美和の社長のダメージは比べ物にならないぐらい大きいから」
何か楽し気な様子さえ見せて彼は言った。
それからふと、思い直したように、
「じゃあ、無理を言ってもしょうがないから、七百万という事ではどう ?」
身を乗り出して言って来た。
わたしはその中沢を見ながら、独りでいい気になっている、と思った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
takeziisan様
有難う御座います
体調の優れない御様子 検査で異常なし
いわゆる老化現象・・・ではないのでしょうか
わたくしも幸い 持病はないのですが 八十歳を超えてからは
年々、体力の衰えとあちこち なんとはない不調感を意識する事が
多くなりました
とにかく体は動かさなければ衰えるばかりだと思って
動く事を心掛けているのですが その動く事自体が億劫で苦痛になって来ます
他に食事は勿論 栄養バランスに充分 気を配っていますが
サプリメントには頼りません それに睡眠にも最近
注意を払うようになりました 眠れないという事がないので助かります
どうぞ 御無理をなさらず この楽しいブログをお続け下さいませ
花々の美しさ 眼の保養です
以前 早い時期にクンシランが咲いた記事を拝見したと思いますが
また別の君子ランが ? わが家ではすっかり散りました
栴檀 以前にも書きましたが田舎の家の門の前に二本立っていた木です
花や実の生った光景が思い浮かびます 冬には枝先に残った実をついばむ為に
シギなどが来てうるさく鳴いていたものです
懐かしく思い出されます
ボレロ 好きな曲の一つです 同じメロディーを繰り返しながら
飽きさせないこの凄さ 感服です
都都逸 最近 聴く機会がすっかりなくなってしまいましたが
軽い皮肉とユーモア 川柳に通じる面白さですね
こういうものの失われてゆく事に寂しさを覚えます
せめてNHKだけでも大事にしてくれるといいのですが
最近のNHK番組のつまらなさ やたらにドラマとその宣伝ばっりが多くて
民間放送と変わりがありません しかも その番組に料金を取る
腹立たしさを覚えるばかりです ですから ほとんどテレビは観ません
見るに値する番組がないのです
今回も楽しませて戴きました
有難う御座いました