あなたへ(2023.4.24日作)
もし 人生に
生きる事に 目的
目標が持てない 見い出せない
そういう あなた 日々
眠って過ごしなさい
眠って 眠って 眠って 眠る
眠りは人に取っての仮相の死
眠っているその間 人は
夢を見る事はあっても 何も
眼にする事はない
仮相の死 その死 眠りに
総てを託し 眠り 眠りなさい
仮相の死 死者は何も思い煩う事がない
そして もし あなたがその死
仮相の死 眠りに疲れたら
あなたはただ 歩いて 歩いて
歩きなさい 何も考えず 何にも
心を留めず ただ歩きなさい
歩いて 歩いて 歩いて行く
何処までも 何時までも
あの道 この道
あの村 この町
あの川 あの森
あの山 あの谷
あの景色 ただただ 何も考えず
何も見ないで歩いて行く 歩いて行く
歩いて行く事は あなたの日常
あなたの人生 あなたの人生そのもの
あなの日々は ただ 同じように過ぎて行く
朝が来て 夜が来る その繰り返し
日々 あなたは
時間の中を歩いている
歩いている その時間の中 あなたの意識は
あなたの脳裡は確実 着実に 無意識裡 きっと
何かを掴み取っている
ただ歩く 歩いて行く 日々 あなたは眠り
眠りーー仮相の死に疲れたら 歩いて行く
何処までも 何時までも 歩いて行く
歩いて 歩いて 歩いて行く 歩いて行くその中で
あの道 この道
あの村 この町
あの川 あの森
あの山 あの谷
あの景色 あなたが眼にする
野に咲く花々 小川のせせらぎ 鳥の声
家々 各 家々 おのおの過ごす家庭の灯り
そのたたずまい 町の様子 それらの景色
見たもの総てが あなたの心に灯りを点し
あなたの心に何かを生み出し
あなたが掴み取った何かはやがて あなたの心に
何時の日か あなたが気付かぬままに きっと
何かの花を咲かせてくれるだろう
何時かはきっと 何かの実を稔らせてくれるだろう
眠って 眠って 眠って 眠る
歩いて 歩いて 歩いて 歩く
何処までも 何時までも
何時までも 何処までも
歩いて 歩いて 歩いて 歩く
眠って 眠って 眠って 眠る
あなたの人生あなたのもの
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いつか来た道 また行く道(10)
宮本俊介は今度もまた、わたしを信用して一任してくれた。
秋も深まったこの季節、来年に向けての準備で忙しい、と宮本俊介は言った。
わたしは早速、交渉に入ると伝えた。
中沢栄二からの電話が来たのは二日後だった。
彼からの電話だと分かるとわたしは即座に受話器を置いた。
彼は何度も掛け直して来た。
わたしは受話器を取らなかった。
翌日も彼は掛けて来た。
彼だと分かった後は受話器を取らなかった。
電話はしつこく鳴り続けた。
頭の芯に突き刺さるようなその音に耐え切れなくなってわたしは受話器を取った。商談電話が何時、掛かって来るかも知れない事から受話器を外して置く訳にはゆかなかったのだ。
「なによ ! 煩いわね。電話もしない約束よ」
彼の声を聞くとわたしは受話器に向かって怒鳴り返していた。
「いゃ、ちょっとだけ会って貰いたいんだ。その事とは違うんだ」
わたしの気迫にたじろいだかのように中沢は言い訳がましい言葉をしどろもどろに並べた。
「その事もこの事もないわよ。もう、あなたとは関係ないはずよ」
「いゃ、ちょっとだけ話しを聞いて貰いたいんだ」
「聞く話しなんてないわ」
わたしは投げ捨てるように言って受話器を置いた。
怒りに満ちた声が外に漏れなかったか心配した。
その日はそれで電話がなかった。
翌日もなかった。
わたしはそれでも落ち着かなかった。
中沢栄二が一年以上も過ぎた今になって、改めて電話を掛けて来た事がわたしの不安を誘った。
これからも同じ事が繰り返されるのではないか ?
最初の金を渡す時、わたしは今日の日のある事を想像していなかった訳ではなかった。それでいて彼との交渉に応じたのは、あるいは、という微かな可能性に望みを託してのすがる思いからだった。そして今、その思いが打ち砕かれていた。
わたしは、宮本俊介の依頼を受けて本格的な店舗造りが始まろうという矢先の、中沢栄二からの電話に苛立った。古傷をえぐられるような心の痛みと共に、彼の存在が障害物のように眼の前に立ち塞がって来るのを意識した。
わたしの心は晴れなかった。憂鬱な日々が続いた。
中沢はあの翌日から電話を掛けて来る事はなかった。
それが一週間程続いた。
だが、わたしの不安は不安に留まらなかった。彼からの封書がまたわたしの事務所に届いた。前回と全く同じ手口だった。
中身は違っていた。
ベッドの上の写真である事と、下手な文字の手紙が添えられている事だけは違っていなかった。
" どこかにかくれていた箱の中からこの写真が出てきたので送ります。たぶんこれでおしまいだと思うので買ってください "
わたしは下手な文字の書かれた一枚の紙切れと数枚の写真を掴み取ると、誰がこんなものを相手にするもんか、と怒りに任せて呟きながら手の中で破り裂いた。
残った写真も次々に破り捨てた。
遣れるんなら、遣ってみるがいい !
わたしは煮えたぎる怒りの感情と共に、眼の前にはいない中沢に向かって言っていた。
中沢栄二は翌々日に前回と同じように電話を掛けて来た。
「写真、見てくれた ?」
「ええ、見たわ」
わたしは煮えたぎる怒りを抑えて静かな声で冷静に答えた。
「今度は何が欲しいの ?」
「会って貰える ?」
中沢は言った。
「ええ、いいわ。何を条件に会うの ?」。
「細かい事は会って話せば分かると思うんだ」
「バカな事を言わないでよ。あなたの話しなんて百年経ったって分かりっこないわよ」
「ずいぶん手厳しいんだね」
感情を昂ぶらせたわたしをからかうかのように中沢は言った。
「当たり前でしょう。こんな卑怯な事をされて好い顔が出来ると思ってるの。で、何時会うの ?」
「会って貰えるんなら、今日でも明日でもいいんだ」
「駄目よ、今日や明日だなんて。あんたみたいな暇人じゃないのよ」
「じゃあ、何時がいい ? なるべく早い方がいいんだ」
「相変わらず身勝手ね。なるべく早くって言ったって、わたしにはわたしの都合があるのよ」
「じゃあ、何時がいいんだよお」
中沢はしびれを切らしたように声を荒らげた。
「とにかく、二、三日待ってみなさいよ。わたしの方から電話をするから。電話番号はこれまで通りでいいんでしょう」
「うん。じゃあ、待ってる」
「でも、電話番号、忘れちゃったわ。教えて頂戴」
中沢栄二の電話番号を改めてメモをするとわたしは受話器を置いた。と同時に一気に湧き上がる怒りの感情に捉われて、書き留めた電話番号の上に大きく力を込めて✕印を書き込んだ。
誰が、あいつなんかの思い通りにさせるもんか !
心の内で呟いた。
その日、わたしは一日中、仕事が手に付かなかった。中沢栄二の影があらゆるものの上に絡み付いて来てわたしの気持ちを乱した。わたしは早目に事務所を出た。気分がすぐれないので、と秘書には言い残した。
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桂蓮様
お身体の悪い中 有難う御座います
新作 拝見しました
良い言葉が並んでいます
長いトンネルは通ってゆくより出る方法がない
目先の危ない橋もわたらないと向こうへゆけない
好悪ないまぜそれが人生ですね 人は死ぬ その死を意識した時
人生の素晴らしさが見えて来る 人間の深みも増す
それでもなんでも 人生 悪運の無い事が何よりも一番の望みですが
人の運命だけはどうする事も出来ません ただ 一日一日を精一杯生きる
人に出来る事はそれだけですね
長いトンネルも抜ければ明るい空が開ける
危ない橋も渡れば大地がしっかりと支えてくれる
暗いトンネルを抜ける 危ない橋を渡る 人の努力以外
達成できるものはありません
どうぞ 長いトンネルの中を通過中だと思い 日々 頑張って再び
明るい日々をお迎えになられる事を願っております
それにしても くれぐれも御無理をなさらない様にして下さい
何事に於いても無理強いは禁物です
冒頭の写真 相変わらず心洗われる風景です
こんな良い環境にお住まい 羨ましい限りです
有難う御座いました
takeziisan様
美しい花々 写真 堪能致しました
なにやら梅雨の気配 鬱陶しい日が続いたりしますが
花々は一層鮮やかにその色彩を増しているように拝見出来ます
それにしてもこれだけの花々 カメラに収めるのも並大抵ではないと思います
感服です
内臓脂肪 御本人に取っては意外や意外 という結果でしょうか
日々の散歩 水泳 畑仕事 身体を動かしているはずなのに・・・・
分からないものですね
わたくしはほとんど自己流体操が習慣のようになっていますので
事改まって体操教室に通ったりはしませんが おおむね検査結果は毎年
合格点が出ます 病院通いもしていません
毎年 六月十五日を検査の日と決めていますので 今年もその予定です
うつらうつら 眠くなったら即 眠る それが一番良いようです
やはり年齢には勝てません 無理は禁物と自戒しています
おたいらに・・・良い響きですね 以前 何処かで耳にしたような記憶があります
柔らかい響きに感銘した覚えがあります
それにしても東北地方始め 北国の言葉はなぜ こうも優しく心に沁みて来るのでしょう
寒さの厳しい中 お互いに労わり合う心が芽生えるせいでしょうか
なぜか北の国々 新潟 秋田 青森 岩手等々 北の国々には心惹かれます
以前にも書きましたが暖かい地方で育った者の無いものねだりかも知れません
今回も楽しい時間を過ごさせて戴きました
有難う御座いました