尊敬(2024.11.2日作)
人間を地位 名称 経歴で評価しない方がいい
高い地位 著名な人 その者達が隠れた場所
他者の眼の触れ得ぬ場所で悪事を重ね
人を傷める(殺傷)事など よくある事だ
人間に於ける正当 真の評価は
各人 それぞれが その持ち場に於いて
人が人として 如何に正しく 真摯に その道
その本道を全うし得たかによって
評価されるべきもの
職業 職種 経歴 名声 一切関係ない
その道 その場に於ける本道 その道を誠実
真摯に生きた人 その人こそが真に賞賛
尊敬に値し得る人 と言える
空虚なもの 地位 名声 経歴 それらに
惑わされるな 他者の眼に触れ得ない
人に隠れた場所で
人が人として果たすべき役割り
その務めをしっかりと担い 果たし得た人
その人こそが真に優れた人であり 賞賛され
尊敬されて然るべき人と言い得る
その人こそが真に立派な人
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<青い館>の女(16)
彼女に近付こうとする男達はなお絶えなかった。
彼女に取っては、例え、それが社会人であったにしても、そんな男達の存在は学生時代から知り尽くしていた。今更、心を動かされる事もなくて、依然として強烈な個性の下、男達を近付け様ともしなかった。
この頃の彼女は、既に男達を弄(もてあそ)ぶ事にも飽きたかの様に極めて親しい四、五人の女友達としか出歩く事が無くなっていた。
わたしは今、思う。彼女がわたしを夫に選んだのは、わたしが何時も彼女の手の届く距離に居て、彼女の誇りを微塵も傷付ける事なく意のままに従っていたせいではないか、と。
確かにわたしのスキーの技術は彼女を魅了したかも知れなかった。
しかし、それはわたし達の出会いの場では意味を持ったかも知れなかったが、それだけで彼女がわたしを生涯の伴侶として選んだとは思えなかった。
何事にも厳しい態度で臨む彼女が、一時的な甘い感情に動かされるなどとは考えられなかった。
恐らく彼女は、数多くいる彼女に近付こうとする男達の中から誰を選ぶにしても、自ら進んで心の裡を明かす事など屈辱以外の何ものでもない、と考えていたに違いない。
その点、わたしなら、手軽な御用達的存在として重宝に思ったに違いない。
彼女のブライドも傷付けられずに済む。
わたし達はそうして、わたしの入社から六年目に結婚した。
無論、彼女の口から出た事だった。
現在、長男の孝臣は三十二歳になっている。
わたしは初め、" その事"への妻の冷淡さに気付かなかった。
女はみんなそんなものかと思っていた。
怪しげな店へは何度も足を運んでいても、妻との経験がわたしに取っては初めての女性経験だった。
結局、彼女は夫婦間に於いてもその強烈な矜持を解放する事が出来なかった。
妻に取っては敗北とも言える姿態をわたしの前に晒す事が出来なかったのだ。
何時でも妻は醒めた眼差しだけをわたしに向けていて、わたしだけが独り芝居を演じていた。
息子が生まれるとその一人芝居にも幕が下ろされた。
わたしはもう、お払い箱になっていた。
初孫が男の子であった事への義父の信じられない様な喜びと共に、妻は極端にわたしを遠ざける様になっていた。
わたしが求めるその度に不機嫌な妻の顔がわたしの眼の前にあった。
わたしの外での行動がそうして頻度を増していった。
わたしは妻に抱く不満の中で、その復讐でもあるかの様に殊更、わたしの行動を妻の前で匂わせた。
馴染の芸者や、銀座の高級クラブ、バーのホステスなどの名刺や名前の入った贈り物などをわざと妻の眼に付く場所に置いたりした。
妻はだが、そんなわたしの行動にも嫉妬という感情を知らないかの様に、決して心を乱す事が無かった。
かつて彼女に近付こうとした男達に向けるのと同じ視線をわたしに向けるだけで、
「お客様が見えたらみっともないから、こんな物は自分の部屋へ仕舞ってた置いて頂戴」
と、剣呑な口調で言うだけだった。
恐らく妻はその時、明確に理解していたのだ。
わたしがどれだけ外で遊んでいても、結局、妻に離婚を突き付ける事はないであろうと。
事実、わたしの思いのうちには妻との離婚という考えは全く浮かんで来なかった。
むしろ、彼女の前に自分の遊びを誇示しながらも、心の何処かでは離婚を怖れていたと言えるかも知れなかった。
妻と別れてしまえば、会社に残る事も出来なくなるのではないか。
会社では社長の娘婿という立場で、かなり優遇されていた。
義父が持つワンマン的性格から、その経営に口を挟む事は出来なかったが、経歴の割には早くして営業本部長に引き上げられ、将来的には社長に、と誰もが見ていた。
事実、わたしの意識の中にもそんな思いはあって、それだからこそ、不満の多いこんな生活にも耐えられるのだ、という気がしていた。
無論、営業部長という地位から得られる高い報酬もその生活に執着させていた。
当時、既に役員に就任していた妻の報酬と合わせると、わたしの多少の遊びも苦にならない程のものが約束されていた。
決して豊かとは言えなかった生活の体験を持つわたしには、妻との多少の亀裂には眼をつぶっても、その生活を維持したいという思いが強かった。
妻はそんなわたしの心の中などは疾うに見透かしていた。
彼女から離婚を言い出さなかったのも、結局はわたしが、彼女の手の内で踊っている存在にしか過ぎないと見抜いていたからに他ならなかった
わたしは妻に取っては、何時まで経ってもかつての彼女の取り巻き達の一人にしか過ぎなかった。
わたし達が結婚する時、彼女の父はわたしの家の貧しさと家柄の違いを盾に反対した。
妻はそれでも敢えてわたしの真面目さを強調して、彼女に言い寄る数多くの男達の中からわたしを選んでいた。
わたしが何時まで経っても彼女のしもべであり続ける事を彼女はその時、早くも見抜いていたのだ。
事実、わたしは現在までそんなしもべと言い得る立場に甘んじて来た。
しかし、そんなしもべの役も牧元家の跡継ぎが出来てしまえばもう、終わりだった。
牧本家の跡継ぎの息子は、仕事に掛けてはわたし以上の遣りてで通っている。
その上、わたしは既に、快癒の見込みの無い病と共に人生の境界線をも眼の前にしている。
心に浮かんで来るのは深い虚無の思いだけだった。
彼方に見えて来るものは何も無い。
絶望の深い淵が黒々と口を開けているのが見えて来る。
希望の光りは何処にも無い。
そして今、北の小さな漁港街の如何わしい店の年若い女の何気ない言葉に心動かされている。
その女に愛しさを覚える。
この女との時間が何時までも続けばいいと考える。
わたしは女に言う。
「今度からは、此処ではなくて別の場所で会える様にしてくれないかね」
ベッドの上で毛布に包まり、わたしの手で小さな乳房を愛撫されていた加奈子の顔に一瞬、恐怖にも似た色が走った。
「別の場所って ?」
加奈子は息を呑んだ様な気配と共に恐る恐る聞いて来た。
わたしを見詰める眼に明らかに警戒の色が浮かんでいた。
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takeziisan様
お忙しい中 お眼をお通し戴き有難う御座います
この地方もようやく冬らしい寒さになって来ました
それでもやはり紅葉の美しさは見られません
我が家の木々も紅葉は無く黄葉のまま散ってしまいました
何れにしても身体的には楽な冬です
シャコバサボテン見事です
でも 何故 マンボ ?
心の裡のなんとはない踊りだしたい気持ち ?
理解出来る気もします
ピラカンサ サザンカ そんな季節ですね
赤が眼に染みます
ハクサイ 自家製梅酒 この贅沢 羨ましいです
わたくしなどはもっぱら安物ウイスキーです
それにしても鳥の胃袋 どうなっているのでしょう
大きな獲物をまる飲み 人間ならひとたまりもありません
野生に生きるものの強さでしょうか
スイミング終わり 歩く事に頼るのみ ?
でも 身体は動かさないとーー
川柳のちょっと斜に構えた視点 何時読んでも楽しいです
三ケ日ミカン 我が家にも今は物が入って空箱があります
有難う御座いました